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もう一つの平家物語から見る壇ノ浦
『鎌倉殿の13人』第18話で平家の滅亡が描かれました。
ここでの主役は義経(菅田将暉さん)。
ゆえに源氏目線で話は進んでいきました。
私は平家の立場で眺めたくなって、『建礼門院右京大夫集』を紐解きました。
右京大夫の最愛のひと、平資盛も壇ノ浦で入水しました。25歳という若さで。
それを知った右京大夫の和歌三首。
ためしなき かかる別れに なほとまる 面影ばかり 身にそふぞ憂き
いかで今は かひなきことを 嘆かずて 物忘れする 心にもがな
忘れむと 思ひてもまた たちかへり 名残りなからむ ことぞかなしき
意訳
世の中に例のない、このような、信じられない、信じたくもない死別をして……それでも私の心にとどまっているあのひとの面影が……面影ばかりが我が身に寄り添って離れないのがつらく悲しい……。
なんとかして今は、嘆いてもどうにもならないことを嘆かないようになって、あのひとの思い出をあれもこれも忘れてしまう……そんな心になりたいものだなぁ。
「忘れよう」と思ってもまた、あのひとのことで頭がいっぱいの自分に戻っている。でも、思い出をすべて、なんの未練もなく忘れてしまうとしたら、それも悲しい……。
壇ノ浦の合戦は旧暦三月二十四日。春の尽きる頃ですね。
見出し画像は名残りの桜。
春も過ぎた先日、近所の公園で葉桜になった八重桜の木を見ていたら、わずかに花があったのです。
なんだか、打ちひしがれているようにも見えた桜花でした。
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