ホーホケキョと鳴くほととぎす?
旧暦五月十九日。
「明日の廿日は花散里の日だよねぇ」と私は『源氏物語』を開きました。
花散里は桐壺院(亡くなった源氏の父)の皇妃、麗景殿女御の妹。『源氏物語』に登場する女性の中で最もおだやかなひとでしょう。
巻之十一「花散里」は五月廿日の夜のことを語る短い巻。
「ほととぎすが鳴く季節だよねぇ」とページを繰っていると……
あれ?
「ホーホケキョ」はうぐいすでは?
ほととぎすは「テッペンカケタカ」では?
辞典やネットでちょっと調べてみましたが、ほととぎすが「ホーホケキョ」とも鳴くという説明は見つからず。うーむ……。
ほととぎすって托卵をする鳥ですよね。うぐいすに自分のヒナを育てさせるという。
源氏は藤壺(桐壺帝の中宮)との間にできた子を父の桐壺帝に托卵、我が子だと思わせました。また、のちには、柏木(源氏のライバル頭中将の子)が女三の宮(源氏の正妻)との間にもうけた子(薫)の世話を、自分がすることになりました。源氏はほととぎすであり、うぐいすでもあります。
花散里ものちに夕霧(源氏と葵の上の子)の母親代わりをつとめますから、ほととぎす(源氏)のヒナを育むうぐいすとも言えますよね。
ということは、
ホーホケキョ 「ほととぎすがないてますよ」
この場面はもしかしたら、
ほととぎす(が托卵したうぐいす)がないてますよ
という隠しメッセージなのでしょうか?
いろいろと考えてしまう場面です。
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