脳神経内科医 カテ

脳神経内科専門医として勤務しています。パーキンソン病、認知症、脳卒中などの疾患について…

脳神経内科医 カテ

脳神経内科専門医として勤務しています。パーキンソン病、認知症、脳卒中などの疾患について、脳血管カテーテルについてや、日々の論文で勉強したことなどを記録していこうと思います。少しでも参考になればと思い始めました。よろしくお願いします。

最近の記事

抗MOG抗体測定は髄液で測定するのがよいか?血清がよいかについて

抗MOG抗体関連疾患(MOGAD)は、視神経炎(ON)、脊髄炎(MY)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、大脳皮質性脳炎(CE)など多彩な表現型が指摘されています。こういったMOGADが疑わしい患者さんに対して、抗MOG抗体を測定する際に血清での測定がよいか、髄液での測定がよいか迷うことがありました。 今回、皮質性脳炎(CE)を発症した患者さんの診察をするにあたり、論文を調べていたところ、東北大学が検体結果と臨床病型についてまとめた論文がBrain に発表されていました(Bra

    • 瞳孔が緊張する?Adie症候群

      はじめに 20歳台の方でまぶしさを感じて外来に来られました。瞳孔不同があり、脳MRIでは異常はなく、症状は次第に改善しました。眼科での検査と経過からAdie 症候群と診断しました。 Adie症候群についてneurologyにもteaching neuroimages がありましたので、まとめました。瞳孔不同の鑑別として重要で、まれな症候でしっているかどうかで決まる重要な徴候と思いました。 論文 Teaching Video NeuroImages: Acute Adie s

      • 妊娠と頭痛

        はじめに 片頭痛がある方で、妊娠されて外来を受診され、片頭痛が妊娠中にでたらどうしたらよいかと相談を受けました。 一般に妊娠期間においては、第2三半期までに片頭痛は改善していくことが多いといわれていますが、妊娠と頭痛について論文を読んだので記載します。 気を付けておくこととして、この論文は救急外来を受診された頭痛の方を対象としており重症な例を集めた論文であり、通常の頭痛の方の集団とは異なることに注意が必要と思います。 論文 Acute headache diagnosis

        • 認知症と睡眠 -不眠症薬ベルソムラが髄液中アミロイドβやタウリン酸化濃度を低下させる-

          はじめに 質の低い睡眠が、アルツハイマー型認知症患者の脳内アミロイドβやリン酸化タウの増加に関連していることは以前より知られていました。今回不眠の薬でよく使用するスボレキサント(Suvorexant, 商品名:ベルソムラ)が、人の髄液中でアミロイドβとリン酸化したタウ濃度を減少させたという論文があったので読んでみました。 参考になれば幸いです。 論文 Suvorexant Acutely Decreases Tau Phosphorylation and Aβ in the

        抗MOG抗体測定は髄液で測定するのがよいか?血清がよいかについて

          造影剤使用後に目がみえない - 造影剤脳症と皮質盲

          はじめに 造影剤による後方循環系動脈瘤に対してコイル塞栓術が脳神経外科で施行された患者さんで、その検査の日の夜に両目がみえないという症状でコンサルトと受けました。診察、脳MRI などの検査をすぐに行い、結果として造影剤脳症による皮質盲で、翌日には改善しました。 造影剤脳症、また皮質盲について文献を読みました。参考になれば幸いです 論文 Incidence and Risk Factors for Acute Transient Contrast‐Induced Neurol

          造影剤使用後に目がみえない - 造影剤脳症と皮質盲

          DOAC内服中の脳梗塞発症例にDOAC switch は意味があるのか

          はじめに非弁膜症性心房細動の患者さんで脳梗塞予防目的にDOACを内服されている方が増えています。その患者さんが心原性脳梗塞を発症した際に、その後の予防薬について、元のDOACをそのまま継続、違うDOACの種類に変更、もしくはワーファリンに変更した場合に、その後の脳梗塞発症率がどうなるかを検討している論文です。また抗血小板薬追加の意義についても言及されていました。 論文 Association of Alternative Anticoagulation Strategies

          DOAC内服中の脳梗塞発症例にDOAC switch は意味があるのか

          ものが二重にみえるとき 重症筋無力症かもと思ったら

          はじめに 先日、脳神経内科外来に「物が二重にみえるようになった」と眼科より紹介いただいた患者さんがおられました。そういった症状を「複視」といいますが、よく紹介いただくことが多い症状です。 ただ、目の問題かな、もしくは老眼かなと思われ、そのまま経過をみる方も多く、症状がでてから1年程度してから受診する方もいます。重症筋無力症では、症状がでたり改善したりと病気なのかどうかわかりづらいことも多いのではないかと思います。注意すべき症状がわかり、脳神経内科に適切なタイミングで外来受診

          ものが二重にみえるとき 重症筋無力症かもと思ったら

          抗てんかん薬が効かないてんかん発作は、実は自己免疫性かもしれない

          はじめに 医療従事者向けの内容です。 てんかんの患者さんの中には、抗てんかん薬が効果をきたさない場合があります。中には自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis: AIE)によるてんかん発作である場合があります。実際、AIEによるてんかん発作を診断することは難しいですが、免疫療法が奏功する可能性があり、診断することは重要です。 自己免疫性脳炎によるてんかん発作の特徴を解析し、score を作成した論文を読みましたので、記載します。 論文 Antibodi

          抗てんかん薬が効かないてんかん発作は、実は自己免疫性かもしれない

          頭痛で病院受診する前に確認してほしいこと

          頭痛で病院受診される方は多いです。多くの人は脳神経内科を受診すると思います。頭痛の診察では、頭痛の性状や頻度などが非常に重要で、外来では頭痛について多くのことを患者さんにお伺いする必要があります。 しかし、残念なことに外来の部屋で「えーーと、どうだったかな」など突然聞かれて困られる患者さんが多いです。頭痛で困っている患者さんがこられたときに、あらかじめ外来で聞かれることを知っておいてほしいなと思ってました。 仕事を休んで病院受診をされる方も多いと思いますので、少しでも満足のい

          頭痛で病院受診する前に確認してほしいこと

          親が認知症かもと思って病院受診する前に確認してほしいこと

          はじめに  親がものわすれかもと思って病院受診をすすめようか迷うこともあると思います。嫌がる親を折角病院に連れて行ってもなにを外来で聞かれるのか、どんな検査をするのかなど非常に不安が多いのではと思います。 患者さんとご家族を前にいろいろうかがうのですが、あらかじめ知っておいてもらえたら外来がスムーズにいくのになと、いつも思っていました。 診察前に以下を理解しておいてもらえると診察がスムーズにいくのではと思って記載します。一旦思いつくことを記載します。また場合によっては聞かれ

          親が認知症かもと思って病院受診する前に確認してほしいこと

          頸動脈ステント留置術はいつするか

          頸動脈ステント留置術(CAS: carotid artery stenting)は、頸部血管の狭窄に対してカテーテルでステントを留置し、頸動脈を拡張する手術です。 頸動脈狭窄症をほっておくと、脳梗塞を発症するリスクになるため、特に頸動脈狭窄症が原因で脳梗塞を発症した患者さんでは、治療を行うことがあります。 頸動脈狭窄が起こる原因は? 多くは、動脈硬化が原因で、狭窄部にはプラークといわれる物質によって頸部血管が狭窄しています 頸動脈エコーや頸部血管MRAで評価すると不安定プラ

          頸動脈ステント留置術はいつするか

          造影カテーテルの種類

          脳血管カテーテル検査を始めたころ、「SY、、、」「JB2の、、」「35(さんご)のワイヤーだして!」など言葉が飛び交い、全く意味不明でした、、。 私と同じようにこれからカテを始めるドクターや、コメディカルの皆さんに、当院でよく使っている物品を紹介します。参考になれば嬉しいです 当院では、穿刺は右上腕動脈か、右大腿動脈で行っています。 椎骨脳底動脈を細かく見る必要があるときは右大腿動脈から穿刺を行っていますが、それ以外のときは右上腕動脈からの穿刺が多いです。理由は、患者さ

          造影カテーテルの種類