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妊娠と頭痛

はじめに


片頭痛がある方で、妊娠されて外来を受診され、片頭痛が妊娠中にでたらどうしたらよいかと相談を受けました。
一般に妊娠期間においては、第2三半期までに片頭痛は改善していくことが多いといわれていますが、妊娠と頭痛について論文を読んだので記載します。
気を付けておくこととして、この論文は救急外来を受診された頭痛の方を対象としており重症な例を集めた論文であり、通常の頭痛の方の集団とは異なることに注意が必要と思います。


論文


Acute headache diagnosis in pregnant women
Neurology. 2015 Sep 22; 85(12): 1024–1030.

要旨


目的
妊娠時の急性頭痛発作の特徴を解析する
方法
一施設での診療録を解析対象とした。急性頭痛発作で救急外来を受診し、産科から脳神経内科に依頼のあった妊娠中の方について5年間を後方視的に解析した
結果
140例。2009年7月から2014年6月まで。アメリカのMontefiore Medical center 。平均年齢は29歳。
妊娠第3三半期が最も多く(56.4%)、一次性頭痛が65%で、二次性頭痛が35%であった。一次性頭痛の原因で最も多いのが片頭痛で(91.2%), 二次性頭痛では妊娠に伴う高血圧によるものであった(51%).
頭痛に伴う前兆は39.6%の方にみられ、そのうち69.4%はこれまで前兆の既往がなかった。
二次性頭痛と有意に関連した因子としては、頭痛の既往がないことと血圧上昇が指摘された。また、痙攣、発熱と神経学的異常所見は二次性頭痛を示唆する症候と考えられる。精神疾患の併存と音過敏は二次性頭痛との関連は低く、一次性との関連因子と考えられる。
結論
入院患者の頭痛の相談を受けた妊娠例で1/3は二次性頭痛であった。
頭痛の既往がないことと、痙攣や高血圧や発熱がもしあれば二次性頭痛を鑑別する必要がある。

論文を読んでみて


一般に妊娠時期が進むと片頭痛発作は軽快していくことには変わりないと思います。この論文では救急外来を受診された方を解析したもので、かなり重症のケースに偏っているとは思いましたが、急性頭痛で救急外来を受診される場合には、1/3に二次性頭痛が含まれていることには注意が必要と思いました。
今回の論文では、前兆を伴わなかった方が妊娠後に前兆を伴う片頭痛へと変化したことが報告されていました。妊娠によって片頭痛の症候にも変化がでることが示唆されると思いました。



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