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世田谷みやげの「アップルパイ」のお店は、人々をつなぎ、勇気をくれる、素敵な喫茶店でした。

東急大井町線・尾山台駅から徒歩2分のところにある、「パイ焼き茶房」。

お店の外観は、落ち着いた雰囲気の喫茶店。
ですが、ホームページを見てみると、「就労継続支援B型事務所」「チャリティ展示会」「せたがやみやげ」といった言葉が。一体どんなお店なのでしょうか?

今回はパイ焼き茶房・管理者の荒木さんにお話を伺ってきました。

パイ焼き茶房

「パイ焼き茶房」ができるまで


パイ焼き茶房が設立されたのは今から25年前の1998年。
当時は現在と比べ、精神障がい者に対する支援が足りていないという現状がありました。

そこで、精神に障がいがある、心に病があるといった方々が仕事をできる場として創られたのが、お菓子の製造等を行う「パイ焼き窯」です。

当初はイベントへの出店などをメインに、「パイ焼き窯」で作られたお菓子を販売していました。
その後、母体となる「社会福祉法人はる」が創立され、“定期的にお菓子を販売できる場”として設けられたのが、現在の「パイ焼き茶房」です。

店頭には「パイ焼き窯」で作られたお菓子がズラリ。

「パイ焼き茶房は、心に病のある人たちが働くお店」


パイ焼き茶房は喫茶店として、一般のお店として、営業しています。
店内も落ち着いた雰囲気で、心地よいというのが私の第一印象でした。

ですが、実はパイ焼き茶房は「就労継続支援B型事業所」なのだそう。

「就労継続支援B型事業所」とは、一般企業に雇用されることが困難かつ、雇用契約に基づく就労が困難である方々を対象とした事業所のことを指します。

現在は「利用者」として20名ほどの方がパイ焼き茶房で働き、工賃を得ています。
主に精神障がいのある方が多く働いており、中にはパイ焼き茶房での仕事を経て、一般企業に就職する方も年に1人ほどいるとのことです。

また、他にもサポーター(個人、団体合わせて90組ほど)やボランティア(現在は1名)の方々の協力のもと、運営がなされています。

パイ焼き茶房について荒木さんは、
心に病がある人に、「まずは、パイ焼き茶房に所属してお仕事をすることで、仕事のやりがいを感じてほしい」
「地域の方々と交流ができる仕事場」として、利用してもらいたいとおっしゃられていました。

最近では「せたがや若者サポートステーション」という施設や「LITALICO」というサイトを通じて利用者を募集しています。

「地域に開かれたお店でありたい」


パイ焼き茶房の店内を見回してみると、たくさんの絵が飾られています。

実はこれは、地域と関わるための取り組みの一つ。

「チャリティ展覧会」として、地域で活動している団体に対して出展募集をし、月替わりで場所貸しをしています。
9月に取材した時点で既に、来年の出展予約もほとんど埋まっているほど、大人気の取り組みです。

落ち着いた雰囲気の店内に絵がとても合っていて、ついついじっくり見たくなってしまいます。

また、名物の「アップルパイ」にも世田谷区とのつながりが。

名物のアップルパイは見た目からおいしそうです。

このアップルパイは“世田谷区にゆかりのあるお店の逸品”として、2006年に「世田谷みやげ」に指定されました。

外はサクッと、中にはりんごがゴロゴロ入っていて、とってもおいしいです。

店頭には世田谷区のキャラクター「が~やん」もいます。かわいい。

他にも、近隣に位置する東京都市大学の文化祭でお菓子を販売したり、駒澤大学のボランティアサークルの協力のもと「パイ焼き祭り」を開催したりと、世田谷区の若者とのつながりも多くあります。

こういった地域の人々との交流を通し、「地域に開かれたお店」を目指しているそうです。

パイ焼き茶房のこれから


パイ焼き茶房としての今後の展望についてお聞きしたところ、地域の方がくつろげる場所であることは変わらず、さらに「ニーズに応える事業展開」を目指しているとのこと。

例えば今年の夏には、健康志向の方に向けて、素材にこだわった「コールドプレスジュース」の販売を開始しました。

地域の方々のニーズに応えることで、 “一緒にパイ焼き茶房を盛り上げていきたい”とおっしゃっていました。

開かれた団体であるからこそ、 “若者たちには気軽に相談してほしい”。


最後に、世田谷区の若者へのメッセージをお聞きしたところ、
「パイ焼き茶房や社会福祉法人はるにちょっとでも興味があったら、問い合わせをしてほしい」とのこと。

「何なら将来働きたい方も大歓迎。」
社会福祉法人はるは開かれた団体だからこそ、気軽に相談してほしいといいます。

障がいがあろうと、仕事はできる。地域の方々との交流し、つながることもできる。
パイ焼き茶房はそんな勇気をくれる場所だと思いました。

もし、この記事を通して、パイ焼き茶房に少しでも興味を持ってもらえたらと思います。
ぜひ一度、立ち寄ってみてください。

【おまけ】インタビュー後に「ガパオプレート」をいただきました


せっかく来たので、シーズンメニューの「ガパオプレート」を注文してみることに。
(2023年9月時点でのメニューです)

スープ、プチデザート、フリードリンクがついて1100円。
さらに、+100円で目玉焼きをトッピングできます。

色鮮やかで、ボリューム満点です。見るからにおいしそう。

味はどれも最高です。今まで食べたガパオライスの中でも一番おいしかったです。
しっかりとした味付けで、野菜たっぷり、肉のうまみも感じられます。

完全に胃袋をつかまれたので、また行きたいです。


【パイ焼き茶房】
東京都世田谷区等々力2-18-1
公式サイト 社会福祉法人はる【パイ焼き茶房】 (paiyaki.net)
Instagram @paiyaki_sabo
お問い合わせ 03-3703-0415

【社会福祉法人はる】
公式サイト 社会福祉法人はる【トップページ】 (paiyaki.net)



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