若者は「男女共同参画」についてどう思っているか? 世田谷区人権・男女共同参画担当課×ねつせた!意見交換会
ジェンダーの平等に向けた世界的な潮流を踏まえながら、国・地域・企業の持続可能な発展に関わる重要な課題として、「男女共同参画」の推進が進められています。世田谷区においても、プランを策定するにあたり、若い人の意見を聞きたいということで、2021年6月22日、ねつせた!メンバーとの意見交換会が実現しました。
ジェンダー平等の意識は、世代間で異なるのでしょうか?大学生・高校生で主に構成される、ねつせた!メンバーのそれぞれが感じていることを声にしています。
DV防止の取り組み、パートナーシップ宣誓のしくみなど「男女共同参画」について世田谷区の取り組みは進んでいる!
泉さん 私たちは、さまざまな人権問題、男女の問題について他課と連携し一緒に取り組んでいます。女性の人権、LGBTQの人の人権、被害者支援を行う現場のサポートなど。性的マイノリティの理解促進についても長く取り組んできました。パートナーシップ宣誓のしくみができ、150組に迫るカップルが宣誓を済ませて世田谷区で暮らしています。世田谷区第二次男女共同参画プランは10年のプランで、現在4年目が終わり5年目の折り返し地点です。世の中の変化のスピードに合わせ、性による区別や差異を埋めるためのプランの改定を進めているところです。今日は、若い世代の皆さんの声をリアルに聞かせていただき、ヒントを探りたいと思っています。
「サークル費用」「PTAの参加」「可愛い格好」…
多かれ少なかれ「男だから」「女だから」の区別を感じたことがある!
泉さん「男だから~」「女だから~」の意識を感じたことはある?
でっち 僕自身は、男女を分けて考えることは少ないですね。幼稚園の年中のときのことですが、個室のトイレに入っていたら「そこは女の子用だよ」という子がいたんです。それを見た先生がとても怒ったのを印象深く覚えています。それもあってか、男だから女だからと感じることはないですね。
れいり 私は今、女性の人権に関する学生団体に入っていて、考える機会が多くあるので感じることはあります。小さい時から私は「女の子は理系が苦手だね」と言われてきたので自分でも苦手意識を持ってしまいました。就活になると女性だけメイクをする。それもナチュラルメイクじゃないと…など、そうしたことも「女子だから」ということじゃないかと。
かな 私も感じたことはあって、やっぱり女性が家事をして、男性はそれを手伝うという感じがあると思う。それが手伝うとかじゃなくあたりまえのことになるといいなと。
このん これは私の母が主に実感していることですが、PTAとか部活動の集まりは母親が参加することになっていて、それを母は嫌って父が参加していました。そうすると「なんであの子の家は…」と、偏見的な目をもたれることもありました。
まいまい 男女で社会的に差があると思います。出産とか育児になるとどちらかが子育て、どちらかが働くということがおきる。男の人が必ず仕事をする習慣になっている。それをなくすには子育て支援が必要なのではないかと思います。
りお 「女だったら可愛い格好をしなさい」とか「公務員と資格職は男女同じ給料だから良いよ~」と言われたことがありますね。私自身は「女性と男性は違って当たり前でしょ」と思うところもあって、子を産めるのは女性だしその配慮は必要だと思います。でもそのせいで格差を生んだり、嫌な思いを女性がするのはおかしいと思います。
泉さん 「男だから」「女だから」という区別はけっこう思い当たることがあるようですね。
にわ そうですね〜。男女でサークル費用が違ったり、参加費が違ったりすることがありました。
さとぽん 私も、マッチングアプリのサービスが男の人は有料で、女の人は無料ということに違和感を感じたことがあります。
しほ 女性よりも男性の方が社会的地位が高いですよね。労働においての管理職は男性が多く、女性の管理職の割合を増やそうとするような法律はできていると思うけれど、まだそこまで改善されてないのではないでしょうか。
さや 「女の子だから~しなさい」「女の子だから~できてあたりまえ」と言われることが多かったように思います。
わくい 私は就職後の人生設計を立てる上で、出産育児があることを考えると仕事を安易には決められないと感じます。
うっちー 「女はか弱い」という考えから、嬉しい差別(比較的大切にされるなど)もありますが、不快な差別(体力や根性がないと思われるなど)も感じることがあります。
泉さん 嬉しいと感じる、あるいは、大事にされていると感じる区別もあるけれど、世代によって現れ方が違うかもしれません。
キャリアのビジョンはそれぞれにある
だけど不安になるのは、女性のロールモデルが少ないから?!
泉さん キャリアについて、どう考えている?
かな 私はバリバリ働いてキャリアを積んでいきたいけれど、そのためには自分に合った職場環境である必要がありますね。出産育児のあとも復帰してプライベートも充実させたいです。
まいまい 私は手に職をつけたいと思っています。女性は育児や出産で仕事を離れることもあるので。プライベートを重視しながらキャリアを積んでいきたい。
でっち 僕は仕事を通じて人間的に成長していきたい。
りお 私の場合は、これからまさに進路を考えるところ。自分の心のゆとりをもちながら仕事に就けるといいなと思っている。
さとぽん 私は、人と出会っていくことで価値観や考えが変わってくると思うので、その時々でやりたいことをしていこうと思っています。
みづき いろいろな経験をしてみたいと思いつつ、自分の性格的に安定性を重視してしまい、せっかくのチャンスをものにできないこともありそう…。
れいり 管理職になって経済力のある人になりたいです。でも、管理職の女性の割合は少ないので、平凡だとキャリアは積めないのかな…、と心配に思ってしまいます。
泉さん 皆さんの意見に目からうろこが落ちます。育児と仕事の両立についてはどうでしょう?
みさき 私は、スキルを積んで、楽しみながら働けるようになりたい。子育てで会社を辞めたくないけれど、育児と仕事の両立はかなり難しいのだろうなと思います。
うっちー 私は家庭や子育てを第一に考えたいし、仕事もそこそこに頑張りたい。両立できる環境がもっと当たり前になればいいのになぁと思います。
しほ 私も家庭を大切にしつつ働きたいですが、異動や転勤などが当たり前の企業に入ると、家庭を第一に考えるのが難しくなると思います。家族が離れ離れになるのはいやだけれど、子どもの教育環境は変えづらかったり。
さや 自分が居心地よく働きやすい環境でキャリアを積めたらいいですね。成長が実感できる仕事がしたいです。プライベートの時間もしっかり分けて働けたらいい。
わくい 私はどんどん上に上がりたいし、周りに頼られるような存在になりたいです。給与も欲しい。いつ何が起きてもいいように、結婚しても家族を養えるくらいになりたいと思っています。
りお 仕事と子育ての両立というロールモデルがもっと増えるといいですよね。
このん 私はまだ高1で、キャリアっていうのがまだよくわかりません。私自身は海外の大学に進学して海外で働きたい。日本を代表する人材として働きたいと思っています。
キャリアとは何だろう? それは「自分の生き方」
泉さん 「働くこと」=生活の基盤を支えるとともに、自己実現につながるもの。男女問わず誰もが自由に選択できること。国は、女性の活躍推進は女性のために不可欠と考えています。女性の活躍は企業の競争力強化にもつながる。女性活躍推進法により、出産育児で、仕事か生活の2択を迫られることなく、どっちを選んでもよく、能力を遺憾無く発揮できる社会作りを目指すことが定められています。
阪口さん キャリアは自分の生き方。自分がどう生きていくか。「生きるためには経済的な基盤が必要だから働く」ということもあるけれど、働かなくてはいけないということでもなく、ライフも自分のキャリア。自分の生き方がキャリア。
デートDVも女性だけの問題ではない
SNSなども使って若い世代に発信することが有効
泉さん ところで、デートDV防止の小冊子は見たことがある? 区が若者に情報を伝える効果的な方法があったら教えてほしいです。
このん 私はつい最近まで中学生だったのですが、在籍した中学校で配布されました。デートDVって聞きなれない言葉だったので、クラスのほとんどみんなが「何これ?」となって。内容についても「こんなことがあるんだ」という意見交換をしました。
でっち 高校の職員室の前に大きくポスターが貼られていましたが、あまり目にとまる場所ではなく、詳しく内容を理解させようという感じではなかったような気がします。中学校で冊子を配るのはよいと思います。
しほ 見たことはないです。図書館の女子トイレに、暴力についての相談窓口を記した小さな紙のカードが配布されていました。そのような周知方法も効果的だと思いました。
わくい 区役所や病院のトイレで見たことがあります。男子トイレには置いてあるのでしょうか? デートDVの対象は女子だけではないと思います。中・高の保健の授業で組み込まれてほしい。
かめちゃん 世田谷区在住ではないため見たことがありません。高校時代も習った覚えがないので、授業の一環(講演会など)として組み込むとよいと思います。
りお 中学生のときに、携帯の使い方についての啓発冊子が配られました。小論文や作文を書く機会とセットになっていたら内容を深く認識できるのではないでしょうか。
にわ ねつせた!の紹介で見たことはあります。ねつせた!のようにSNSを通して発信するのが効果的かと思います。
さや 見たことないです。私もSNSで発信すれば見る機会が増えると思います。
さとぽん 見たことがあります。私もSNSでの発信が効果的だと思います。
阪口さん デートDV については付き合っているカップルの3組に1組に起きている。でも見えない。なぜ見えないかというと、二人でいるときにだけ起きることだから。他の人がいる前ではとてもいい人だったりします。ですから、大好きな彼氏・彼女から暴力を受けているということを人に言えない現状があります。もし友だちがデートDVをされているかもと思ったら、「大丈夫?」「心配しているんだ」と言ってあげることが大事。
泉さん デートDVの小冊子は中学2年生すべてに配布しています。「らぷらす」には、学校をまわってお話をしていただく「出前授業」をお願いしています。
阪口さん そうなんです。「らぷらす」では、デートDVファシリテーター講座をやっています。この養成講座は、中学生にデートDVの授業ができるように勉強する講座です。興味があったら私と一緒に中学校に行ってデートDVのことを伝えてもらえたら嬉しいです。大人に言われても響かないことも、みなさんから発信してくれることで心に響くと思います。
性的マイノリティに限らず偏見はいけないこと
その人のことをわかりたいとわかりたいと思うことが出発点
泉さん 「性的マイノリティ」という言葉は知っていますか?
みさき 知っています。大学の授業で、東北地方出身のゲイの方がゲストに来て講義してくださったのがとても印象的でした。「東日本大震災の時、恋人といたけど、ハグしたり手を握ったら、周りに不快な思いを与えるから、本当は手を握りたかったけど、目を合わせることしか出来なかった」という話で、当事者の辛さを初めて知りました。当事者に話していただく機会が増えれば良いと思います。
うっちー 私も知っています。自分とは違う価値観も受け入れるということは性的マイノリティに限らず大切なことだと思うので、幼少期から偏見を植え付けず、多種多様な交流を行うことも効果があるのではないでしょうか。
かめちゃん 私は6年間女子校でしたが、レズビアンの子がいて、差別的に見る人もいました。共学に通っていた友人に話すと、気持ち悪がられることも。幼少期からの認識が必要だと思います。
しほ 私も知っています。性的マイノリティに対してマイナスな感情を抱く人を減らすためには、色々なメディアで特集を行ったり、情報を発信していく必要があると思います。
れいり 「理解」というと少し上から目線に感じてしまうので、小さい頃から、世の中には色々な人がいるけれど差別はしてはいけない、と学校で教えることが大切では。
泉さん 皆さんがその人のことをがわかりたいと思ってくれていることが嬉しいです。不便を感じずに暮らしたいと考えている人たちの暮らしを担保するのが区の役割。パートナーシップ宣誓をした150組の中でも、同性カップルのあり方を知ってもらいたいと思っている人と、知られることを好まない人もいる。当事者にもいろんなニーズがあります。本日は皆さんから率直な意見を聞かせていただき、大変学びがありました。ありがとうございました。
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