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「僕は、そこにいた。」 ~アヴァンギャルド×コンプレックス 第1回公演より~

先日、ねつせた!では「アヴァンギャルド×コンプレックス」さんという劇団の取材をさせて頂きました。

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インタビュー後編はこちら

僕は、「演劇初心者」ですが取材を通じて、アヴァンギャルド&コンプレックスさんに興味を持ったため、 第一回公演 鄭 義信×中村 中『COUPLES 冬のサボテン』を観に行ってきました。
人生で初めて劇場に足を運びました。そこで、この記事では初めて演劇を見て思ったことを率直に書き綴りたいと思います。

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僕は、初めて演劇を観に行きました。
演劇を見て思った感想を素直に述べると


「えっ、終わっちゃった。」
という感想です。


この言葉だけを見ると、「そんなに感動しなかった」「何も思わず単純な感想」のように思えるかもしれませんが、そうではありません。
では、なぜ「えっ、終わっちゃった。」と思わされたのか。


まずは、どのような演劇の内容であったかということを簡単に説明にします。

——設定——

舞台に立つのは、5人の男。しかし、そのうちの1人は、亡くなっている設定のため、物語は基本的に4人で進んでいきます。フジ男、カズ也、花ちゃん、ベーヤンは、同じ野球部の仲間で、サヨナラ勝ちをして甲子園に出場するほどの腕前の持ち主です。そして、共通の秘密を抱えています。それが、この舞台のメインのテーマである、4人とも「ゲイ」であるという点です。ゲイといっても4者4様で、異なる価値観や葛藤を持ち、生きていきます。そして、彼ら4人のうちフジ男とカズ也が付き合っていて、付き合って生きていくことの難しさ、もどかしさを抱えて話が進んでいきます。
フジ男、カズ也、花ちゃん、ベーヤンの4人は、高校を卒業してから毎年集まっては、OBと共に試合を開催します。そんなOB戦の時にロッカールームなどで交わされる会話で舞台が進んでいきます。

舞台の内容についてはほどほどにして、なぜ僕が思った感想が
「えっ、終わっちゃった。」なのか。


僕は、演劇というものは「劇」であり「観る」ものであると思い、「下北沢小劇場 楽園」 に足を運びました。実は、この感覚が間違いだったのです。だから、「えっ、終わっちゃった。」という感想を持つことになりました。
私は、彼らのストーリーを、演劇を「観ている」つもりが、彼らの演劇の作品の中に「居て」しまいました。彼らの喜怒哀楽に対して、一緒に喜び、怒り、悲しみ、楽しみ、笑っていました。演劇を観ているものの、一緒に彼らと共に時間を過ごしている感覚に陥りました。
そのため、終わった瞬間に「えっ、終わっちゃった?!まだまだ、この先、彼らの人生は進んでいくのに!!」という感想を持ちました。「私」と彼ら5人との時間が、まだまだ続いていくのではないか。そのように錯覚を起こしました。


まだLGBTという言葉もなく、性的マイノリティに理解のない時代背景の中での彼らの愛情と友情に、本当に心が揺さぶられました。そして、今も彼らのように葛藤を抱えて生きている方々もいるのだろう、とも感じました。


しかし、単に「感動した。」「楽しかった。」「考えさせられた。」という感想を持たせるだけでなく、彼らと同じ場所で同じ時間を共に過ごしているかのように錯覚させられる。これが、アヴァンギャルド&コンプレックスの演劇なのか!と、ハッとさせられました。


取材を通じて、演劇の素晴らしさを伝えたい!とおっしゃっていた、岩男さんと中西さんの言葉どおり、演劇の素晴らしさ、そして役者が作り出す劇中のストーリーという私にとっての「非日常を日常に錯覚させる」摩訶不思議な空間を経験することができました。


アヴァンギャルド&コンプレックスは第二回公演も予定されています。

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演劇を観たことがある人、ない人関わらず「心を打つ演劇」を観たことのない方は、
彼ら「アヴァンギャルド×コンプレックス」の演劇を観ることをお勧めします!!

(M.U)


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