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【アルバム紹介】Christmas Portrait/Carpenters(1978)

クリスマスソングを聴く。

今回は、カーペンターズのアルバム"Christmas Portrait"を紹介します。

あまりにも有名な兄妹バンド、カーペンターズ。有名すぎて、メディアを通すなどして断片的にしか聴いたことがない人が意外といらっしゃるのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。

"Christmas Portrait"は、古今東西のクリスマスソングからなっており、当初のカーペンターズオリジナルの楽曲は"Merry Christmas Darling"のみとなっています。というのも、このアルバムは構成が変更されつつ何度か再リリースされているようで、公式サイトにも以下の通りリリース当時のドタバタぶりが綴られています。

Many a listener will notice that this album is not as originally released. Ave Maria was arranged from the start for chorus, as well as orchestra. With so much music, not to mention people, around the studio while the album was being made, the choral parts were misplaced, only to be discovered after the album was “in the can”.

http://richardandkarencarpenter.com/Album_Christmas%20Portrait.htm
Accessed on December 22th, 2021
(太字は記事作成者による)

讃美歌からポップス、管弦楽曲に至るまで、ともかく「クリスマスの曲」が詰まっています。
とりあえずこれ聴いたらいいんじゃないでしょうか。

なお、前述の通り"Christmas Portrait"はいくつかの再リリースがあり、その中の一つが後のアルバム"An Old Fashioned Christmas"と合わせたリリース"Christmas Collection"です。これのDisc 1の方がオリジナルバージョンに近いかもしれません。


曲紹介

いくつかピックアップして気になった曲の話をします。

It Came Upon A Midnight Color

introです。introなので44秒だけの曲ですが、コーラスの圧に度肝をぬかれます。間髪入れずに次の"Overture"に移行するので気が付いたら終わっていますが、アルバムを通して聴きたくなる完璧なイントロに仕上がっています。なお、"It Came Upon A Midnight Color"はもともと19世紀のクリスマスキャロルで、『天なる神には』という邦題がついています。

Overture - An Old Fashioned Christmas

『序曲』である当曲は、いくつかのクリスマスソングの組み合わせでできています。本バージョンでは、"An Old Fashioned Christmas"というアルバムに収録の序曲が採用されており、構成は以下の通りです。

ハッピー・ホリデイ - "Happy Holiday"
まきびと羊を (讃美歌103番) - "The First Noel"
おもちゃの行進 - "March of the Toys"
リトル・ジーザス - "Little Jesus"
ママがサンタにキッスした - "I Saw Mommy Kissing Santa Claus"
ああベツレヘムよ (讃美歌115番) - "O Little Town of Bethlehem"
もろびと声あげ (讃美歌102番) - "In Dulce Jubilo"
ジェス・バンビーノ - "Gesu Bambino"
あら野のはてに (讃美歌101番) - "Angels We Have Heard on High"

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9
Accessed on December 22th, 2021

8分で9曲のメドレーは、ご存じ"Happy Holiday"から始まります(聴けばわかる)。「この曲知ってる!クリスマスたのしい!」となったところで数曲オーケストラ調の曲があり、後半でボーカルが戻ってきます。インストの曲が当然のように入ってくるのも、当アルバムがあくまでも「クリスマス・アルバム」であることを表しています。

Sleigh Ride

これまたご存じ『そりすべり』です。詳細は例えばこちらを。それこそ、メディアや街中でこの『そりすべり』が流れていることがあるような…

0:45あたり。コーラスがちょうど入ってくるときの歌詞"Giddy yap"は馬などを急かすときの掛け声らしい。なので馬だとかトナカイだとかによって走るそりをイメージして聴くのが正解です(小さい頃に乗っていたような、プラスチック製で坂を駆け降りるあれではないということです)。

Santa Claus Is Comin' To Town

『サンタが街にやってくる』です。なじみのある「さああなたから」で始まる歌詞は神戸孝夫によるもので、元の歌詞とは雰囲気が違います。この手の訳詞は、後から原曲の歌詞を知った時になんだか得した気分になります。一粒で二度おいしい。
カーペンターズによる当アレンジはとても短く、1分で終わってしまいます。聴いていて楽しくなるので本当はもっと聴いていたいのですが、楽しい時間はあっという間です。

Carol Of The Bells

曲順通りに聴いていると突然のインスト曲がやってきます。この曲も元々はウクライナ民謡に歌詞を加えたものでカーペンターズのオリジナルではありません。この曲だけ少し雰囲気が変わり、新鮮な気持ちで楽しく聴けるインストゥルメンタルになっています。
どこで聴いたんだっけかと思えば、どうやら映画『ホーム・アローン』の挿入歌になっているようです。

Merry Christmas Darling

前述のオリジナル曲です。「カーペンターズの曲だぁ」という印象で、妹Karenの歌声が活きる曲構成です。最後の歌詞に"I wish I were with you"とある通りもの悲しい歌詞ですが、曲調は明るく仕上がっているのがいかにもなクリスマスソングです。特にエンディングのコーラスが素敵。

Silent Night

アルバム最後に収録されているのは、またまたご存じ『きよしこの夜』。おなじみの歌詞は由木康による訳となっており、『サンタが街にやってくる』同様、原題を聴きなおす楽しみがあります。
豪華な仕上がりの当アレンジを聴き終えれば、たのしいクリスマスの完成です。寒さ寂しさ乗り越えて年を越しましょう。

おわりに

クリスマスソングを聴いた。たのしい!

カーペンターズの楽曲もクリスマスソングも落ち着いて通して聴く機会がこれまでなく、素直に楽しい気持ちで聴き終わりました。"Top Of The World"はさすがに聴いたことがあったので相当ハードルを上げて聴き始めましたが、声のいいこと響くこと。

初めに紹介した公式サイトには、本アルバムに限らず、各アルバムのリリースに至る経緯が記載されています(兄妹の半生を語っているページもあります)。末尾にHit Counterがおいてあるくらいには最終更新が古いですが、無料で読んでいいのかと思うほどの分量の自叙伝になっています。目を通しながらほかのアルバムも通して聴いてみるつもりです。

過去の思い出が災いしてイルミネーションを見るのがつらいクリスマスなので、クリスマスソングで、"Christmas Portrait"で、今年はしのごうと思います。

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