古き良きアメリカ:ヒッチコック「海外特派員」
いや、正確には「古き良かったアメリカ」かもしれない。
「海外特派員」は1940年に作られたヒッチコックの映画だ。その名の通り当時緊張していた世界情勢(1939年、第二次世界大戦のはじまりである)の中で特ダネを求める新聞会社は、荒くれ者(警察官を殴った)で首になりかけたジョン・ジョーンズを海外特派員として欧州に派遣する。ジョーンズは外交官のヴァン・メア氏と接触しようとする中で、平和団体の手伝いをしているキャロルに夢中になってしまう。
アムステルダムでインタビューを取るためにヴァン・メア氏と再び接触しようとするジョーンズ。偶然にもカメラマンに見せかけたスパイがヴァン・メア氏を暗殺する場面を見てしまい、仲間とともにスパイを追う。辿り着いた先に真実を掴み始めたジョーンズはキャロルの父がこの事件に関係していることに気づき…
銃声、カーチェイス、陰謀…そしてラブロマンス。サスペンススリラーに必要なものを全て揃えている古典的な傑作映画。さすがハリウッドの巨匠アルフレッドヒッチコックである。
一番心に残るのは最後のジョーンズのラジオ生放送。
最後にちゃんとしっかりアメリカ国歌が流れて思う。
アメリカ国歌のこの微妙な、半ば強制的に感じる安心感。時代背景もあり、国民の士気とか、プロパガンダ映画の役割も担っていることもあるのだが…
英語版Wikipediaによると、「プロパガンダの天才」と呼ばれたナチスのゲッペルスでさえこの映画を一流と認めたとのこと。
アメリカが参戦できたのはルーズベルトじゃなくてヒッチコックのお陰なのかも。
今のアメリカと昔のアメリカは全然違う。
昔のアメリカはまさに「世界の光」だった。
自由の女神像でさえ、過去の遺物と思えてくる…
They're the only lights left in the world.
アメリカは世界に残された最後の光。
これこそ古き良きアメリカの姿だと思った。
何度も見たくなる名作映画である。
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