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【ネット歯科大】歯学部生の学びと関連する高校までの内容

 歯学部では、6年間にわたって歯科医師になるための学修を行います。
 
 今回は、歯学部を目指している方や歯学部で学んでいる方へという視点で、歯学部で必要となる基礎的な知識について触れてみます。
 
 歯学部で学ぶことの多くは、基本的な知識の積み重ねです。高校の数学や物理学で学ぶような数式を駆使して考えるといったような内容は、あまり出てきません。
 
 もちろん、専門的な領域を理解する場合には、基礎知識への深い理解が必要になることもあります。
 
 たとえば歯科ではエックス線検査を行いますが、放射線学を理解するためには物理学的な素養が不可欠です。また、歯科診療における歯の型取りなどにはデジタル技術が応用されるようになっており、そのシステムの理解には数学的な背景が必要でしょう。
 
 一般の歯科医師が日ごろから利用する基礎的な学問としては、生体を正しく把握するための生物学や、薬物や材料を適切に利用する基盤として化学が関係してくる、といったようなところです。
 
 細菌感染を例として考えると、細菌に対して生体がどのように反応するか、その際にどういった物質が関与しているか、歯科的な処置を行うとどういった経時的な変化が生じるかなどを知っておくことが必要となります。
 
 また、理系の科目ではないものの、コミュニケーションのための国語や英語は大切です。
 
 歯科医師は患者さんと常にコミュニケーションを取ります。そのためには、敬語などを含めて正しく言葉を取り扱うことが必要です。また、治療に関するリスクを含めて、過不足のない正しい表現での説明が求められます。
 
 さらに近年では、日本語だけでなく英語で会話する患者さんも増えているように感じられます。英語は学会発表や論文を読む際にも必要になってくるので、自由に使えると大きな強みとなります。
 
 さて、話を戻すと、歯学部での学修において難解な数式を用いるようなことはほぼありません。
 
 まずは基本的な歯科医学的知識を覚えることが重要となります。同じキーワードがいくつかの分野の授業で出てくることもよくありますので、物事を関連付けて覚えるようにすると理解しやすくなっていきます。
 
 学年が上がるごとに、単純な知識だけでは対処できないことも増えてきます
 
 たとえば、臨床的な問題の場合、与えられた情報からどのような病気が考えられて、その原因は何が挙げられ、全身疾患や内服薬との関連としての注意点はどういうものがあり、そのうえでどのような処置が適切かを選択する、といったように段階を踏んで考える必要が出てきます。
 
 これは、臨床現場で遭遇する場面にいかに適切に対応するかを問うているものです。実際の現場では、常にそのような思考が求められているといえます。
 
 このように、歯学部生の学びにおいては、基本的な歯学的知識を背景にして、関連する内容をイメージして問題解決することが求められます。
 
神奈川歯科大学 青山典生

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