ネット歯科大

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「一般の方へ正しい歯科情報を届けること」を目的とした、神奈川歯科大学公式note「ネット歯科大」です。

最近の記事

【ネット歯科大】治療をしたら食べものが詰まりやすくなることも

 歯の治療をした後に、気になる症状が出現したら、困りますね。しかし、残念ながら現実には治療後に避けられない症状もあり得ます。    その一例として、歯科治療をした後に、歯と歯の間に物が詰まりやすくなるというケースが考えられます。    特に、ある程度進行した歯周病の治療をした後、歯ぐきが下がることは致し方ない面があります。    これは、歯科医師や歯科衛生士の技術に問題があるというわけではなく、むしろ治療の効果が出ているからこそそのようになるともいえます。    歯周病は歯の

    • 【ネット歯科大】なぜ親知らずは早めに抜くのか

       「親知らず」と呼ばれる歯は、正式には第三大臼歯という奥歯です。上下左右に1本ずつ、すなわちひとりに最大4本あります。生えてくる人もいれば埋まったまま生えてこない人、あるいは親知らずがそもそもない人もいます。    歯科医院で、「親知らずは早めに抜いた方がいいですね」と勧められたことがある方も多いことでしょう。    なぜ親知らずは早めに抜いた方がいいのでしょうか。今回はその理由を考えていきます。    親知らずは、前から数えて8番目の歯です。現代人の顎のサイズとして、親知ら

      • 【ネット歯科大】歯科でもよく使うレジン

         レジンは、最近はアクセサリーなどにも使用されることが多くなっている材料です。歯科治療においても、レジンは非常によく使う材料です。    そもそもレジンとは、樹脂のことです。流動性のある状態にて形をつくり、それから光や熱でかためることができます。また、透明なものや色のついたものなど、見た目もさまざまなものが存在します。    歯科で使用されるレジンの用途は多彩です。    まず、比較的小さなむし歯の治療に用いることが一般的です。使用される材料は、コンポジットレジンと呼ばれます

        • 【ネット歯科大】ちょっとした歯科の困りごとには

             みなさまは、ささやかな歯の困りごとに対して、どうされていますでしょうか。    今はインターネットが充実しているので、検索して情報を得るというのがもっとも多い対応策かもしれません。    しかし、それでも問題が解決しないような場合や、どうしたらいいかわからないというケースがあるのではないでしょうか。    私も歯科医師のひとりとして、診療室以外で一般の方とお話ししていても、口に関するちょっとしたトラブルの相談を受けることがよくあります。ご本人のこともありますし、ご家族の

        【ネット歯科大】治療をしたら食べものが詰まりやすくなることも

          【ネット歯科大】歯科医師が使用するグローブの目的

           歯科医師をはじめとする歯科医療従事者は、検査や処置中にグローブ(手袋)をしていることが一般的です。    歯科ではひんぱんに口腔内に触れ、その口腔内は唾液にあふれています。また、歯科治療中には出血を伴うこともしばしばあり、唾液に血が混じっている状態も多くあります。    このように患者さんの体液に直接触れることにより感染のリスクがあるため、歯科医師はグローブを装着して処置を行います。    また、患者さんの口の中の粘膜に触れる際に、歯科医療者の皮膚が直接触れないようにするこ

          【ネット歯科大】歯科医師が使用するグローブの目的

          【ネット歯科大】歯周ポケット内に細菌がたまっても無症状

           歯周病は、歯周ポケットが深くなることによって進行します。    歯周ポケット内に細菌が蓄積するから歯周ポケットが深くなるのですが、実はその過程であまり症状が出ない場合があります。    歯周病は歯の周りの細菌感染を原因とする病気です。歯みがきがおろそかになりプラークと呼ばれる細菌のかたまりが蓄積すると、歯ぐきは腫れます。歯ぐきが腫れると、出血しやすくなったり、赤く見えたりします。    歯周病は症状の出にくい疾患ですが、そうはいっても歯をみがくときに血が出やすいなどの所見が

          【ネット歯科大】歯周ポケット内に細菌がたまっても無症状

          【ネット歯科大】かぶせものを装着する際のチェック項目

           大きなむし歯を削ったあとの治療法として、歯のかたちのかぶせものを入れる方法があります。歯の冠という意味で、クラウンという呼び方をします。    クラウンを装着する際に注意すべきポイントにはいくつかあります。    ひとつ目に、歯の土台とぴったり合うか、という点は特に大切です。    型どりや模型の精度などに問題があると、歯の土台となる部分との適合がしっくりこないこともあります。調整だけでは整えきれないような場合、クラウンの作り直しをすることもあります。    ぴったり合って

          【ネット歯科大】かぶせものを装着する際のチェック項目

          【ネット歯科大】歯周病をそのままにしたらどうなるか

           歯周病はありふれた病気です。厚生労働省のデータによると、成人の70~80%に歯周病がみられます。    本来であれば、歯周病に限らず病気は早期発見・早期治療が望ましいです。しかし、歯周病はそれほど痛みの出ない病気であることから、歯周病治療のために歯科医院を受診している人はまだまだ少ないというのが実情です。    今回は歯周病をそのままにしたらどうなるのかについて、データを元に考えてみます。    歯周病をそのままにした場合、専門的にはこれを「自然経過」と呼びますが、その調査

          【ネット歯科大】歯周病をそのままにしたらどうなるか

          【ネット歯科大】前歯のかみ合わせ

           歯のかみ合わせは立体的なものであり、よく考えると非常に複雑です。その中で今回は、前歯のかみ合わせについて考えてみます。    基本的に正しいとされるかみ合わせを、正常咬合と呼びます。正常咬合は、形態的にも機能的にも正常である状態です。    かみ合わせについては、どこからどこまでを正常とするのか、さらには理想咬合という表現もあり、専門的に深く考察すると一筋縄ではいかないジャンルです。    一般的に前歯の正常なかみ合わせとは、上の歯が下の歯より少し前にきており、歯と歯がやや

          【ネット歯科大】前歯のかみ合わせ

          【ネット歯科大】油断できない歯の揺れ

           歯が急に抜けることはありません。その前に歯が揺れてきます。    歯の揺れは放っておくことができない危険なサインといえます。なぜ歯が揺れるかというと、歯の支えが弱ってくるからです。    歯の支えが弱くなる原因は主に2つあります。    歯を支える骨が溶けてきている場合と、歯にかかるかむ力の負担が過大な場合です。    歯を支える骨が溶ける第一の原因は、歯周病です。進行した歯周病で歯が揺れることはたいへんありふれた症状です。    そのほかにも、むし歯が進行して根の先にまで

          【ネット歯科大】油断できない歯の揺れ

          【ネット歯科大】中学生の40%が歯周病

           多くの方にみられる歯周病は、国民病といっても差支えないでしょう。成人の8割程度が罹患しているとされています。    歯周病は中年以降に増加する病気です。では若年者ではどれくらいの人にみられるのでしょうか。    厚生労働省の令和4年(2022年)歯科疾患実態調査の結果をみると、10~14歳で歯ぐきからの出血がある人の割合は40.2%となっています。中学生のうち、5人に2人は歯周病だといえます。    歯ぐきからの出血がある人の割合を年齢層別で確認すると、多少の増減はあります

          【ネット歯科大】中学生の40%が歯周病

          【ネット歯科大】歯の生え変わりが可能になれば

           ヒトの歯は、乳歯から永久歯に、一度だけ生え変わります。だいたい小学校1年生くらいに下の前歯の乳歯が抜け、そのあとからいわゆる大人の歯、永久歯が生えてきます。    ちなみに、サメの歯は何度も生え変わることが知られています。ヒトとは違いますね。    さて、ヒトの永久歯はそれ以上生え変わることはないので、大事にしないといけません。    もし永久歯が抜けた後にさらに歯が生えるとしたら、どうなるでしょうか。    まず、一生自分の歯でかむことができるようになります。    現在

          【ネット歯科大】歯の生え変わりが可能になれば

          【ネット歯科大】歯科医師法の改正について

           歯科医師の業務などを規定する法律として「歯科医師法」というものがあります。    たとえば歯科医師法の第一条には、「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」とあります。    この歯科医師法ですが、最近段階的に改正が行われています。令和6年4月1日から新しい歯科医師法が施行されています。    厚生労働省から今回の改正の趣旨が通知されています。大学において歯学を学ぶ大学生は、共通の共用

          【ネット歯科大】歯科医師法の改正について

          【ネット歯科大】歯周病の未知なる危険因子!?

           歯周病とは、歯ぐきや歯を支える骨を失っていく病気です。    歯周病は、進行しやすい人と進行しにくい人がいるとわかっています。    歯周病に対する「感受性」という表現をすることもあります。たとえば歯周病への感受性が高い人では、しっかり歯をみがいていても進行が止められないケースもあります。    なぜ人によって歯周病の進行が異なるのでしょうか。    これについては、わかっている部分とわかっていない部分があります。    わかっている部分のひとつとして、歯周病には悪化させる

          【ネット歯科大】歯周病の未知なる危険因子!?

          【ネット歯科大】歯科医院数の実際

           駅から出てあたりを見渡すと、多くの場合は歯科診療所が目に入ります。一般の方の感覚としても、歯科医院はかなり多くあるという印象があろうかと思います。    新たに歯科医院にかかる場合、どこにいけばいいか迷うといった声もお聞きします。たしかにインターネットで検索すると多くの歯科医院が出てきますので、その中からご自身に合う診療所を見つけるのは至難ともいえることでしょう。    コンビニよりも歯科医院の方が多い、という表現は最近あまり聞かなくなりましたが、実際にわが国での歯科診療所

          【ネット歯科大】歯科医院数の実際

          【ネット歯科大】歯石除去の達成率は

           歯周病の原因は歯周病菌であり、細菌のかたまりをプラークと呼びます。    細菌が石灰化したものが歯石です。歯石はがっちりと歯に結合しており、細菌の生息にとって快適な環境となってしまいます。    したがって、歯周病治療においては、プラークや歯石を除去することが大切です。    ここで問題となることとして、実は完全なる歯石除去は難しい作業だということです。    研究データによると、5mmを超える歯周ポケット内の専門的な清掃を行い、その歯面からプラークや歯石を完全に除去できて

          【ネット歯科大】歯石除去の達成率は