ネット歯科大

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「一般の方へ正しい歯科情報を届けること」を目的とした、神奈川歯科大学公式note「ネット歯科大」です。

最近の記事

【ネット歯科大】かぶせものを装着する際のチェック項目

 大きなむし歯を削ったあとの治療法として、歯のかたちのかぶせものを入れる方法があります。歯の冠という意味で、クラウンという呼び方をします。  クラウンを装着する際に注意すべきポイントにはいくつかあります。  ひとつ目に、歯の土台とぴったり合うか、という点は特に大切です。  型どりや模型の精度などに問題があると、歯の土台となる部分との適合がしっくりこないこともあります。調整だけでは整えきれないような場合、クラウンの作り直しをすることもあります。  ぴったり合って

    • 【ネット歯科大】歯周病をそのままにしたらどうなるか

       歯周病はありふれた病気です。厚生労働省のデータによると、成人の70~80%に歯周病がみられます。  本来であれば、歯周病に限らず病気は早期発見・早期治療が望ましいです。しかし、歯周病はそれほど痛みの出ない病気であることから、歯周病治療のために歯科医院を受診している人はまだまだ少ないというのが実情です。  今回は歯周病をそのままにしたらどうなるのかについて、データを元に考えてみます。  歯周病をそのままにした場合、専門的にはこれを「自然経過」と呼びますが、その調査

      • 【ネット歯科大】前歯のかみ合わせ

         歯のかみ合わせは立体的なものであり、よく考えると非常に複雑です。その中で今回は、前歯のかみ合わせについて考えてみます。  基本的に正しいとされるかみ合わせを、正常咬合と呼びます。正常咬合は、形態的にも機能的にも正常である状態です。  かみ合わせについては、どこからどこまでを正常とするのか、さらには理想咬合という表現もあり、専門的に深く考察すると一筋縄ではいかないジャンルです。  一般的に前歯の正常なかみ合わせとは、上の歯が下の歯より少し前にきており、歯と歯がやや

        • 【ネット歯科大】油断できない歯の揺れ

           歯が急に抜けることはありません。その前に歯が揺れてきます。  歯の揺れは放っておくことができない危険なサインといえます。なぜ歯が揺れるかというと、歯の支えが弱ってくるからです。  歯の支えが弱くなる原因は主に2つあります。  歯を支える骨が溶けてきている場合と、歯にかかるかむ力の負担が過大な場合です。  歯を支える骨が溶ける第一の原因は、歯周病です。進行した歯周病で歯が揺れることはたいへんありふれた症状です。  そのほかにも、むし歯が進行して根の先にまで

        【ネット歯科大】かぶせものを装着する際のチェック項目

          【ネット歯科大】中学生の40%が歯周病

           多くの方にみられる歯周病は、国民病といっても差支えないでしょう。成人の8割程度が罹患しているとされています。  歯周病は中年以降に増加する病気です。では若年者ではどれくらいの人にみられるのでしょうか。  厚生労働省の令和4年(2022年)歯科疾患実態調査の結果をみると、10~14歳で歯ぐきからの出血がある人の割合は40.2%となっています。中学生のうち、5人に2人は歯周病だといえます。  歯ぐきからの出血がある人の割合を年齢層別で確認すると、多少の増減はあります

          【ネット歯科大】中学生の40%が歯周病

          【ネット歯科大】歯の生え変わりが可能になれば

           ヒトの歯は、乳歯から永久歯に、一度だけ生え変わります。だいたい小学校1年生くらいに下の前歯の乳歯が抜け、そのあとからいわゆる大人の歯、永久歯が生えてきます。  ちなみに、サメの歯は何度も生え変わることが知られています。ヒトとは違いますね。  さて、ヒトの永久歯はそれ以上生え変わることはないので、大事にしないといけません。  もし永久歯が抜けた後にさらに歯が生えるとしたら、どうなるでしょうか。  まず、一生自分の歯でかむことができるようになります。  現在

          【ネット歯科大】歯の生え変わりが可能になれば

          【ネット歯科大】歯科医師法の改正について

           歯科医師の業務などを規定する法律として「歯科医師法」というものがあります。  たとえば歯科医師法の第一条には、「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」とあります。  この歯科医師法ですが、最近段階的に改正が行われています。令和6年4月1日から新しい歯科医師法が施行されています。  厚生労働省から今回の改正の趣旨が通知されています。大学において歯学を学ぶ大学生は、共通の共用

          【ネット歯科大】歯科医師法の改正について

          【ネット歯科大】歯周病の未知なる危険因子!?

           歯周病とは、歯ぐきや歯を支える骨を失っていく病気です。  歯周病は、進行しやすい人と進行しにくい人がいるとわかっています。  歯周病に対する「感受性」という表現をすることもあります。たとえば歯周病への感受性が高い人では、しっかり歯をみがいていても進行が止められないケースもあります。  なぜ人によって歯周病の進行が異なるのでしょうか。  これについては、わかっている部分とわかっていない部分があります。  わかっている部分のひとつとして、歯周病には悪化させる

          【ネット歯科大】歯周病の未知なる危険因子!?

          【ネット歯科大】歯科医院数の実際

           駅から出てあたりを見渡すと、多くの場合は歯科診療所が目に入ります。一般の方の感覚としても、歯科医院はかなり多くあるという印象があろうかと思います。  新たに歯科医院にかかる場合、どこにいけばいいか迷うといった声もお聞きします。たしかにインターネットで検索すると多くの歯科医院が出てきますので、その中からご自身に合う診療所を見つけるのは至難ともいえることでしょう。  コンビニよりも歯科医院の方が多い、という表現は最近あまり聞かなくなりましたが、実際にわが国での歯科診療所

          【ネット歯科大】歯科医院数の実際

          【ネット歯科大】歯石除去の達成率は

           歯周病の原因は歯周病菌であり、細菌のかたまりをプラークと呼びます。  細菌が石灰化したものが歯石です。歯石はがっちりと歯に結合しており、細菌の生息にとって快適な環境となってしまいます。  したがって、歯周病治療においては、プラークや歯石を除去することが大切です。  ここで問題となることとして、実は完全なる歯石除去は難しい作業だということです。  研究データによると、5mmを超える歯周ポケット内の専門的な清掃を行い、その歯面からプラークや歯石を完全に除去できて

          【ネット歯科大】歯石除去の達成率は

          【ネット歯科大】口の中は滅菌できない

           口の2大疾患、むし歯と歯周病は、ともに細菌が原因の感染症です。  そうなると考えたくなるのが口の滅菌、すなわち口の中の細菌をすべてやっつけることはできないのか、ということです。  「滅菌(めっきん)」とは、字の通り、菌を滅ぼすことです。すべての細菌やウイルスを除去することを表します。  ちなみに、市販の物品の表現を含め、細菌の減少を目的とした「菌」の字を含む言葉は多くあります。「無菌」「殺菌」「除菌」「抗菌」などが該当します。いずれもイメージとしては近いものがあ

          【ネット歯科大】口の中は滅菌できない

          【ネット歯科大】タフトブラシの使いどころ

           いつも歯をみがくときに使っている清掃用具はなんでしょうか。  少なくともまず、すべての方が歯ブラシを使っていることでしょう。手用歯ブラシだけでなく、最近では電動歯ブラシを用いる方も増えています。  歯ブラシ以外には、デンタルフロスや歯間ブラシも広く使われています。いずれも、歯と歯の間をみがくのに適しています。  さて、タフトブラシという用具をご存じでしょうか。  タフトブラシとは、毛束がひとまとまりになっている小さな歯ブラシのことです。毛先の先端が三角形の山

          【ネット歯科大】タフトブラシの使いどころ

          【ネット歯科大】歯周ポケット数値の信頼性

           歯周病の検査でもっとも一般的なものは、歯周ポケットの深さです。  この歯周ポケットですが、実は検査する人によって値が異なる可能性があります。今回は歯周ポケットの数値の信頼性について考えていきます。  まず歯周ポケットとは、歯と歯ぐきのすき間のことで、歯周ポケット深さの値が大きくなると歯周病が進行していると判断できます。  歯周プローブという細い棒状の器具を用い、歯と歯ぐきのすき間に挿入して、どこまで入るかを測定しています。  歯周ポケット深さに対する評価とし

          【ネット歯科大】歯周ポケット数値の信頼性

          【ネット歯科大】歯学部生の学びと関連する高校までの内容

           歯学部では、6年間にわたって歯科医師になるための学修を行います。  今回は、歯学部を目指している方や歯学部で学んでいる方へという視点で、歯学部で必要となる基礎的な知識について触れてみます。  歯学部で学ぶことの多くは、基本的な知識の積み重ねです。高校の数学や物理学で学ぶような数式を駆使して考えるといったような内容は、あまり出てきません。  もちろん、専門的な領域を理解する場合には、基礎知識への深い理解が必要になることもあります。  たとえば歯科ではエックス線

          【ネット歯科大】歯学部生の学びと関連する高校までの内容

          【ネット歯科大】歯科医療における安全対策

           安全な医療の実践は、常に守られるべき基本的事項です。歯科医療においても同様で、さまざまな安全対策が施されています。  医療の安全について注目された事例として、手術の際の患者取り違えが有名です。  患者2名が取り違えられて手術室に送られ、医師は予定された患者だと認識していたため、結果的にそれぞれ必要のない心臓と肺の手術が行われたというものです。  歯科において間違いが起こりがちなものとして、抜歯すべき歯の取り違えがあります。  通常の位置に生えている歯であれば

          【ネット歯科大】歯科医療における安全対策

          【ネット歯科大】高齢の患者さんへの歯周治療の注意点

           厚生労働省の歯科疾患実態調査の最新データを見ると、高齢者における歯周病が増えています。特に高齢者を対象とした歯周病治療が求められているといえます。  今回は、高齢の患者さんに対して歯周病治療を行う際に注意すべきことを考えていきます。  高齢の患者さんの特徴のひとつに、全身的な病気を持っていることが多い点が挙げられます。  たとえば高血圧の患者さんでは、歯科治療時の不安感や痛みによって、さらに血圧が上昇することがあります。  また、高齢者でなんらかの病気がある

          【ネット歯科大】高齢の患者さんへの歯周治療の注意点