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【ネット歯科大】油断できない歯の揺れ

 歯が急に抜けることはありません。その前に歯が揺れてきます。
 
 歯の揺れは放っておくことができない危険なサインといえます。なぜ歯が揺れるかというと、歯の支えが弱ってくるからです。
 
 歯の支えが弱くなる原因は主に2つあります。
 
 歯を支える骨が溶けてきている場合と、歯にかかるかむ力の負担が過大な場合です。
 
 歯を支える骨が溶ける第一の原因は、歯周病です。進行した歯周病で歯が揺れることはたいへんありふれた症状です。
 
 そのほかにも、むし歯が進行して根の先にまで感染が及んだ場合や、歯が割れてしまいその割れた線に沿って細菌が感染したような場合にも、歯の周囲の骨が溶けてしまいます。
 
 また、かみあわせる力が強すぎるときにも、歯が揺れてくることがあります。
 
 したがって、歯周病の患者さんでさらにかむ力が強いという状況は、歯にとって非常に厳しい環境です。
 
たとえ歯周病がなかったとしても、かむ力の負担がかかりすぎた歯は揺れる可能性があります。
 
 負担が過大になる状況として、歯ぎしりやくいしばりのために多数の歯に強い力がかかることが考えられます。また、たとえば歯並びが悪いために、一部の歯にだけいつも力がかかってしまうようなこともあります。
 
 いずれのケースにおいても、単一の歯にかかる負担が大きくなりすぎてしまえば、歯は揺れてきます。
 
 歯にかかる力の向きも重要です。
 
 歯は、沈み込む方向への力にはかなり対応できます。その特徴のおかげで、普段の食事など通常の力に対してはあまり歯にダメージが蓄積しません。
 
 一方、横に揺らされるような力に対しては、歯は意外と弱いものです。そのような向きの力が生じている場合、歯科医師はかみ合わせを調整するなどして、できるかぎり歯にとって耐えやすい方向の力となるように整えます。
 
 かむ力が歯に強くかかっている場合、歯が揺れないとすると歯に直接ダメージが伝わります。その結果、ふとした時に歯が割れてしまうこともあります。急に割れないとしても、微細な亀裂が徐々に歯に影響することがあります。
 
 歯が揺れるのはいいことではありませんが、歯から生じる注意信号だとも考えられます。
 
 もしも歯の揺れを感じたら、痛くないからといってそのままにはせずに、歯科医院で診察してもらうことをおすすめします。
 
神奈川歯科大学 青山典生


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