「明るい夜に出かけて」終わってほしくない、ずっとずっとわちゃわちゃしててほしい。

好物しか並んでない食事のように贅沢な小説だった。深夜のコンビニバイト、1年やってた。心に傷を抱えた大学生、俺もそうだった。アルコ&ピースのラジオ、一時期これのために生きてた。今も聴き続けてる。恋だとか愛だとかに象られたくない青春という関係性、あまりにも大好物だ。もうすべてが好きすぎて、あまりにもあっけないラストページをめくった時にあとがきが書かれてるのが信じられなかった。この物語が終わってほしくなくて、誰かがあの物語の続きを書いてやしないか、同人小説はないのか、探したけどなさそうだった。アルコ&ピースのオールナイトニッポンは著者も解説の朝井リョウも言及したようにその魅力を言語化することが難しい。世界観だとか即興劇だとかいくら言葉を並べてもしっくりこない、あの異質な空間。1度聴いてしまえばあぁこれを、この感じを言い表したかったんだなとすぐにわかる。聴いた者にしかわからないあの高揚、浮遊、にやつきが止まらない。復学した富山と腐れ縁が続いてる永川と大学生になった佐古田で夜な夜な集まってその週に聴いたラジオについて語る。パーソナリティのサニーサイドを真っすぐに称賛する永川に天邪鬼な持論を展開する富山、持ち前の発想力で両者を容赦なくこき下ろす佐古田。いずれ酒が切れて3人でコンビニまで歩く。酔いどれながらガードレールの上を歩こうとする佐古田を止めようとする富山と笑い転げる永川。店内に入れば鹿沢が働いてる。ほんとに楽しそうだね。と若干の嫉妬を含みながら笑う。鹿沢は根明なのに独りがよく似合う。ほらー。止まんないよ空想が。こうやってずーーっと4人でバカやってほしい。復学編、アルピーdcg編、就活編、社会人編、サブタイトルなんてなんでもいい。この4人の人生を知りたい。佐藤多佳子が描くこの4人をもっともっと読みたい。小説でこんな想いをするのは、いつぶりだろう。しばらく浸ってます。

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