見出し画像

我が子には…幸せになってほしいけど…孫の顔など見たいと言えない…!仕事も女性もキツ過ぎるから!

 自分の親は両親ともに戦後間もなくの、昭和生まれだったこともあり、「家」の存在が重たかった。両親の生きた閉塞的な地方の世界では、「孫」の存在は、とてもポピュラーなものだった。私自身、長年、子供がいない状況を葛藤して生きてきていて、孫を望む親、義理の親からの重圧を無数に感じてきた。

 私自身がそういうことを絶対に言わせないような逆プレッシャーを親に対して与えていたので、「いつか孫の顔が見たい」と言うような言葉をはっきりと言われたことはなかった。しかし、長きにわたり親子関係に問題があったことで、子供を持つことに葛藤があった。そのため、今自分の子供に対して、「いつか家族を持って、子供を育んでほしい」とは、あまりいえない。

 今現在、子供を持つことの幸せを実感しているけれど、それは夫が奇跡のように良いひとであることと、地獄のような時期を潜り抜けて平和な部署に配属されて毎日5時に帰れるようになった(!)今だから言えることである。

 20年以上後の世界を生きる息子に対しては、そこまでは望めない。

 理由はいくつかある。まずは生活費の問題である。自分の分だけでも、生活費を稼ぐのは、とても大変そうだということが、リアルに感じられる。これほどまでに非正規雇用が増えた日本で、65歳まで働けるような、「安定した仕事」など恐らくほとんどなくなるだろう。

 そして次に悩ましいのは義理の家族の存在である。これはとにかくネックである。自分自身が、子供を媒介にして、義理の家族と、やり取りをしなければならないと思うと、それだけで、卒倒しそうだ。とてつもなく、面倒くさそうである。まだ子供は駄菓子に夢中の年頃である。私の想像も先回りが過ぎる。もはや妄想、空想、マボロシに近い。しかし空想上の義理の家族、とても恐ろしい。

 もし息子が結婚したお相手の方々が、ちゃんとした家だとしたら、こんなダメダメな我々に「こんな家に我が子をとつがせられない!」と思うかもしれない。40過ぎて、賃貸でお茶を濁している。利子もリストラも怖くてローンは組めない。

 我々と似たような、片づけられない感じの人たちが義理の家族だとしたら、それも大変だ。片づけられない家族によって構成された家には大抵、深刻な問題を抱えた人物が存在する。借金を抱えた人、離婚を繰り返している人、朝からずっと家にいる人。アルコールの問題も、割と身近にあるかもしれない。

 メンタルに上下がある自分の母が、下戸で、お酒を飲む習慣がなかったこと、大変に吝嗇かつ、真面目な家族だったので、両親ともに離婚につながるようなトラブルがなかったことは、神があたえたもうた僥倖だったのかもしれない。自分も長年悩んできたが、メンタルに上下がある状態でこの残酷な日本社会でフルタイムの仕事を続けるのは、本当に大変だ。すべてをパート労働者に置き換えても一切問題のない奇跡の仕事(ミラクル・ジョブ)によって構成されている職種で良かったと心から思う。長きにわたり、追い出されようとしてきたことは、思わず酒に溺れるほどに辛かったが、いられたのだから結果オーライである。

 また、幸せな結婚生活を送れたら、それはそれは、幸せだろうとも思うけど(知らんけど)、周囲の職場の先輩方や、友人たちの様子を見ていて、男性だけが働いて、主婦の女性と子供を養っている場合、そのプレッシャーは、あまりにも厳しいのではないか、と思うことがよくある。男だから、という理由だけで、そんな大変な役割を担わされることは、到底、幸せな人生に繋がるとは思えない。女性が可愛かろうが、美しかろうが関係ない。お金持ちならいいかというと、こちとら庶民じゃ!話が合わんのじゃ!

長きにわたり、妻や子供など、一切仕事のストレスとは無縁の誰かの人生を支えて、時には家のローンを払い続けなければいけないなんて。リストラ候補としてキャリアを構築してきたハイパーキャリア人材の私としても、その重圧を想像しただけで、あまりに男性が気の毒で涙でご飯が10杯はいける。

 それなら、共働きで頑張ればいいじゃない…?パンがないならケーキを食べればいいじゃない?と言えるほど、日本の雇用環境は、男女双方に優しくない。医療職ですら非正規が増えている。人々の離職や転職活動、働くことや辞めることに対してお金を取るサービスが爆発的に栄えている。日本は世界で一番派遣業の会社数が多い国なのだという。誰かのパワハラによって離職を決意すれば、マボロシの自己実現によって転職を決意すれば、それは、高学歴な、奥様は大抵働いていない、一部の富裕な男性たちによって構成された、日本を牛耳るどこかの誰かの莫大な利益になるのだ。

 一人で、のびのび、自分のやりたい仕事をしたり、趣味にまい進している男性も、女性も、周囲にはたくさんいるけれど、結構、幸せそうに見える。

孫の顔を見せてほしいとは、今のところは全く思えない。生きていくだけで大変だから。

以上です。
  

よろしければサポートをお願いします!サポートは、記事の執筆のための参考となる本の購入、美味しいものを食べることなどなどにあてさせていただきます。