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変わるもの/変わらないもの/変わりゆくもの(映画PERFECT DAYS感想)

以前からずっと気になってたPERFECT DAYS、観たいなと思いつつ後回しにしてたけど、ついに重い腰を上げ観てきた。

先日、なつよさんと従寛さんのポッドキャスト・百百のPERFECTDAYS考察回を聞いてて、その中で「これは映画というより広告」という話があった。それがどういうことなのか気になったので、自分の目で確かめようというファミ通攻略本スタイルで意を決し腰を上げたという経緯である。

公開からしばらくたっているにもかかわらず、今日観てきた劇場では半分以上席が埋まっていて、年齢層はやや高めな印象だったので、作品が相応に刺さっているのか、このご時世の需要にハマっているのか…。 


本編については、おそらく広告の文脈は知ってる人や、ふだん日常モノの作品をよく観ている人には気づくものかもしれないが、そのことを知らなくて観ていても特に違和感はないし、映画として十分良い作品だと思った。なによりシンプルに役所広司の演技がとても良い。

広告の話でいうと、ところどころ感じた違和感(見せ方とか)が、広告目線だと分かると腑に落ちるところがあったので、おそらくその業界の方ならもっと鋭い知見をもって見れるのかもしれないなと思った。


※ここからネタバレあり※


本編全体を通して広告、というか構図がハマりすぎててプロモーション的な表現になっているように感じたポイントがところどころあったので、おそらくこれが件の指摘されてたところだと思う。というか、私の映画の好みが眠くなる感じの邦画なので、それに慣れてると引っかかるものがあったというか。

それよりも妙に印象に残ったのが、一日の終わり(始まり)の切り替えのときに入るカットで、私がオタクだからなのか、ホラゲーの転換シーンのように見えてきて、どこか不気味ささえ感じた。あのシーンが意図していることはわかるし、分かりやすくもあるんやけどね。


最後に映画としての感想に戻ると、描写が丁寧で、先ほども述べた通り役所広司の演技が秀逸だったことも後押しして、うるさ過ぎない良いバランスが出来上がっていたように思う。
決して裕福ではないものの、慎ましやかで温かで色彩豊かな生活は、今の物価高騰のなかではある種理想的で羨ましくもある生活なのかもしれない。

主人公の平山(役所広司)に起こるさまざまなハプニングも、寝て日が経てばいつもの日常に戻るのも、まさにドキュメンタリー感があるように思った。
私たちの生活のなかにも日々多少のハプニングは起こるが、映画やドラマのように何か大きなストーリーになるわけでもなく、まるでインスタのストーリーのように発生しては流れ消えてゆくものでしかない。言い換えるとPERFECT DAYSって諸行無常とも言える気がする。

私は残りの人生をどう生きようか。なんて改めて考えながら街中を歩いていても特に何も起こる訳でもなく、人混みに疲弊した私は用を済ませたらそそくさと帰宅した。


蛇足ですが、OL役の長井短ちゃんがめちゃくちゃめちゃくちゃ好きで、思わずニヤニヤしててやばかった…ラブ…