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たかが書類、されど・・・戸籍とは?

両親に頼まれて、ふたりの戸籍謄本を一緒に取りに行くことになりました。

二人の本籍は今住んでいる街とは別のところにあるのです。

徒歩と電車で一時間ほどかかります。

父と母が最初に暮らしはじめた街に戸籍を置いたままにしてあります。

住民票は、はるか昔に今住んでいる街に移してあるのに、戸籍はなぜか移さない。

ずっと以前から、戸籍も移した方が便利だよ、と言っているのですが、母は何故か戸籍を移していなかったのです。


戸籍謄本を受け取った後、再びそのことを母に問うと

『戸籍を移すと、あなた達の名前が消えちゃうのよ。』

区役所の窓口で受け取った戸籍謄本を眺めながら母が呟いた。


以前、転籍しようとした際に、区役所の方が教えてくださったそうです。

詳しくは知らないのですが、母が言うには戸籍を違う市町村に移すと、その段階で既に戸籍を抜けている人の名前は消えてしまうらしいのです。

今回受け取った戸籍謄本には私と妹の名前に斜線が引かれ戸籍から抜けたことになっていますが、そこに存在していた形跡が残っている。

今回、初めてその理由を教えてくれたのです。

それが母のこだわりなのか・・・

今、母親となった私には、その気持ちがとても分かる。


今回の記事を書くにあたり、この転籍問題で悲しい思いをなさっているご家族が沢山いることを知りました。

 死亡した者(日本人)の記載が戸籍から消除されてしまうという問題があります。これは例えば日本人の一家の子のひとりが死亡した後に転籍をした場合には、死亡した子の名前だけでなく、出生の事実を含め子についての一切の記載が転籍後戸籍に移記されない(戸籍法施行規則第37条第5号)というものです。

転籍をしないでも、戸籍を電算化する過程で、名前が消えてしまって、全国で悲しい想いをしている親御さんが沢山いるそうです。

多くの方々が、希望があれば死亡した子の記載を電算化後の戸籍証明書に移記できるような運用改正を法務省に正式に要請しているそうですが、現時点での法務省の回答は「要望には応じがたい」のだそうです。

法務省は「戸籍とは現に存する国民の身分事項について公証するものであり、親の感情を充足する機能は備わっていない。」のだそうです。

確かに、正論かもしれませんね。

たかが書類、されど・・・

私は家族の名前が戸籍から消えてしまう日が来るのが寂しいな。


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