見出し画像

『少女と少年と海の物語』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回も積読を紹介します。

クリス・ヴィック著『少女と少年と海の物語』 杉田七重訳(東京創元社 、2021)

表紙絵に惹かれて買った記憶がある。
そして、帯に「お話は大事なの。食べものと水が大事なように」と書かれていたこと。

大きく7つに分けられたこの物語。

パンドラ
太陽


どこでもない場所
骨の道
漁師

面白くて、あっという間に読んでしまった。
生きるか死ぬかを経験し、生き残った者は変わるんだ。
もう前のようには生きられないというのが、少し分かる。
さすがに広い海に漂流したことがなくても。

冒頭から、あっという間に本の中に広がる物語の世界に引き込まれる。
自分も海にいるような、海が目の前に広がるような不思議な体験!!
そして、その緊張感。
嵐の前の空、風の音、波の音が聞こえるようだ。
実際読んでいて、少し寒くなったくらいにリアリティが迫ってくる文章。
最後どうなるんだ?!
ドキドキワクワクしてたら、あっという間に読んだ。

あらすじ

物語は、カナリア諸島から北に12海里。

季節は夏。
イギリス人の少年(ビル)は科学の本を読みふけるのでなく、挑戦して来い!!と父親に言われ、セーリング・コンテスト出場に向けてクルージングをしている。

船は突然の嵐に見舞われ、おしまいだ!!とビルは思う。
次に目が覚めたビルは、1人ぼっちで静かな海に漂っている。

すぐに人を発見するも、それは汚れた足。
死んでいるのだろうか?
恐る恐る見てみると、それは生きていた少女(アーヤ)

言葉が通じないと思っていたら、彼女はフランス語を話す。
彼女はベルベル人で、アマジグだと言う。
言語を互いに学びながら、生きて帰ろうと2人は協力し合う。
ボートに残っていた食料と水が尽きてしまったら、海面の下に食料がないかと探す。

照りつける太陽と、食糧難。
ビルはアーヤについて知りたがり質問をし、アーヤは質問の多いビルを非難するも、彼女の叔父が物語る人だと教える。
そして、ビルに物語を聞かせる。
ビルが物語をもっと聞きたくても、極限状態のアーヤには長時間話す体力がない。

カモメが側にきた時、それを食料にはせずにガイドを担わせる。
そこで灯台のある小島に辿り着く。
ここで、先にいたステファンという若い男に会う。
ここでもアーヤは、2人に物語を聞かせる。

アーヤはステファンを信用してはならないと、ビルに伝える。
ステファンの父親はアラブ人、母親はスペイン人。
ビルには分からないアラビア語で、ステファンとアーヤは会話したり口論をする。

ある時、アーヤの秘密を知ったステファンは崖の上でアーヤと怒鳴りあう。
アーヤが隠し持っていたナイフを奪って拾おうとした彼は、崖の下に落ちる。

小島でも、嵐は再び2人を襲う。
ココナッツもあるし、水分や食糧難に当分見舞われなくて済むけれど、
いるべき場所に帰らないと。
船も飛行機も、ここには来ない。
ここに、助けは来ない。
初めは否定的だったビルも、ついに決心して十分だと思われる分の食料を蓄えて2人は再び海に出る。

あっという間に食料も尽きる頃、今度はサメが襲ってくる。
ビルがケガに気づいたのはサメを追い払ってから。
ついにビルの意識は、途切れ途切れとなって…

感想

本当に海にいるような、リアリティのある文章。
潮風のニオイと、太陽に照りつけられて熱い砂浜を思い出した。

記憶にある海は、普段あまりにも静かでサーフィンさえ出来ない。
でも、台風がくれば脅威と化す。
あっという間に、いろんなものを飲み尽くす強さを持つ。

随分前に海外でカヌーをした時、透き通った青い海の底が見えた。
底はすぐ側にあるように見えるのに、想定外の深さで怖くなったことがある。
あの時の恐怖を少し思い出した。

無人島に持って行けるなら、何にする?って質問があったのも思い出した。
海で旅をする前に、何よりも欲しいと思ったのは知識だ。
水の作り方。
サメは何に寄ってくるか。
海ですべきでないこと。
食べられるものと、そうでないもの。
生き物を食事にする方法。

物語も大切だ。
頭の中に本棚があれば、それが知識にもなる。
話すこともできる。
話を聞かせて!!
その気持ちが極限状態に陥っても、人の心を救う。

恐怖心、緊張感、焦燥感、絶望感。
でも、アーヤが話した物語で最後に残るものは希望。

物語内では極限状態が続くのに、常に死が隣に座っているのに、
常に希望がある。

読んだ後、ふわわわわ!!!!となった。

この本を買った過去の自分、ありがとう。
読まないしなぁ…と思って手放そうと思ったこと数知れず。
それでも表紙絵がキレイだったから残しておいた。

良い本に巡り合う時の、この高揚感と幸福感よ。
うぇーい!!

ところで私。
「宇宙兄弟」に続いて「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3」(これにまつわる映画5作品復習)「タイタニック」。
宇宙か海底ばかりに目がいって、地上に興味ない人になってる。

わっはっはっはっはっはー!!!!














この記事が参加している募集

#海外文学のススメ

3,231件

読んでくだり心から感謝します。 サポートいただけたら、今後の記事に役立てたいと考えております。 スキしてくだるのも、サポートもとても喜びます!!!!