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FRM(Financial Risk Manager)を独学でコスパよく合格

FRM(Financial Risk Manager)という日本ではマイナーな資格を取得しました。

難易度はそれなり高いと思うのですが、マイナーな故か日本では学習用の教材はおろか、資格について情報収集しようにもブログ等での情報も多くありません。

私がこの資格を取得しようか検討した際、情報が少なく不便に感じましたので、今後受験を検討される方のお役に立てればと思い、ここに受験体験記を残そうと思うに至りました。


FRM(Financial Risk Manager)の概要

最初に、私が取得したのはアメリカのGARP(Global Association of Risk Professionals)という団体が主催している方のFRM(Financial Risk Manager)という資格です。

実は日本のリスクマネジメント協会というところも全く同じ名前の資格試験を行っていますが、異なる資格です。

日本のFRMについてはそんな資格もあったんだという感覚ですが、アメリカのFRMは金融業界ではある程度認知されている資格のようです。

私は日本のFRMは受けていませんが、試験が全部英語ということもあり、アメリカのFRMの方が難しいようです。


FRMと名刺に書くには、Part1とPart2の両方の試験を合格することと、2年以上の金融業界でのリスク関連の経験を積むことが必要です。

合格率はPart1とPart2ともに50%前後となっており、Part2のほうが少し高いことが多いようです。

試験で問われる内容としては、金融業界の方が多く受験される証券アナリストやCFA(米国証券アナリスト)の内容のうち、リスク管理の部分に特化したものという印象です。

Part1はリスク管理全般で、Part2でその内容を掘り下げるというものです。

試験時間は両方のPartで4時間で、Part1は100問、Part2は80問の問題を解きます。

受験料はPart1が$1,150($400の登録料含む)、Part2が$750となっています。

私が受けたときはマークシート方式の試験で、5月と11月の指定日に東京のJR蒲田駅近くの東京工科大学で実施されました。

午前にPart1、午後にPart2が実施され、同日に両方受けることも可能でした。

(各Partでそれぞれ4時間と大変なので、両方受けるのは猛者です。私は1つずつ受けました。)


余談ですが、私がPart2を受けたときに、すごいやつに会いました。

万が一、電卓の電池が切れてしまったときのために、2つ電卓を持ち込んでいたのですが、それに気づいたすごいやつが1つ貸してくれと言ってきたのです。

そのすごいやつは、電卓を忘れたらしく、図々しくも私が2個持っていることに気づき話しかけてきたのです。

私が2個持っていなかったらどうしていたのか・・・。そのまま受けるつもりだったのかな・・・。

電卓持っていないと実質解けない問題もあるはずなのに、いろんな部分で図太い神経しています。

試験後、そのすごいやつと話したところ、某外資系証券の社員でした。

なるほど、図太い神経しているわけだ。

以上、余談でした。


私は、1問ずつマークシートを塗らず、全ての問題を解いた後にまとめて塗るというやり方だったのですが、100問もあるとマークを塗るだけで20分程度かかってしまいました。

しかも、筆記用具は自分の使い慣れたものが持ち込めず、安っぽい鉛筆が配布されたのですが、すごい塗りにくくて少しイライラしました。

現在は、CBT方式に移行しています。

解答はクリックでの選択になるのでマークのための時間のロスがなく、日程も前よりは柔軟だと思いますので、受けやすくなっているのではないでしょうか。

某サイトでは、修士レベル以上の数理ファイナンスや金融工学等の知識を前提とした問題が出題されるとあり、難しい印象を受けます。

確かにテキストの一部の内容は修士レベルかもしれませんが、試験合格だけを考えるとそんなことはありません。

4時間の試験時間で100問あることを考えると、1問あたりの2分半程度で解くことになりますので、難しい数式を解く問題を出すことは難しいはずです。

知識問題でもマークシートによる選択式なので、内容が難しくてもハードルは下がります。(もちろん選択式でもわからない場合は捨て問だと思い諦めます。)

難易度について、海外の掲示板では、CFAのレベル1よりは難しく、レベル2と3程ではない言われていることが多い気がします。

もちろん試験範囲が違うので、単純な比較は難しいですが。


FRM独学用の教材

私が独学用の教材を検討したところ、すべて海外のものですが複数選択肢がありました。

なお、すべて実際に使ったわけではなく、わからない部分もありますのでご容赦ください。

実際に使用される場合は、各教材のホームページ等から最新の情報をご確認ください。


公式テキスト・問題

引用元:https://www.garp.org/frm/study-materials

FRMの試験を申し込むと一部を除き無料で手に入るものです。

テキストは章立てでトピックごとに説明があり、各章の最後に練習問題がついています。

ただし、公式テキストと言いつつ、無料で手に入るのはPart1のみです。

Part2のときは無料ではなく、追加で$300支払う必要があります。

問題は、本番と同じ100問または80問の過去問のようなものと、その4分の1のボリュームのライトなものがあります。

問題の方はどちらのPartでも無料で手に入ります。


Bionic Turtle

引用元:https://www.bionicturtle.com

15年以上に渡りFRMのコース提供の実績がある教材で、ビデオ講座、スタディノート、Question Bank等など学習の手段が豊富です。

受験者同士で質問や議論できるCommunity Forumもあります。

Question Bankは問題数が多く、4,500個も用意されています。

ベーシックコースが各Partごとだと$249、Part1と2のパッケージだと$399です。

アドバンスコースだと、それぞれ$349と$599となり、ビデオ講座等が追加されます。

プロフェッショナルコースになると、それぞれ$449と$799となり、数理的な問題用のスプレッドシート等がさらに追加されます。

すべてのコースで1年間使用可能で、追加のフィーを支払うことで3ヵ月延長できます。

この教材を使った場合の合格率は70%を超えるというデータもあり、ボリュームが多く手厚い教材という印象です。


Kaplan Schweser

引用元:https://www.schweser.com/frm

FRMだけでなく、CFA等の金融関連の資格の教材を提供してきた実績がある有名な会社によるものです。

QBankには約2,000個の問題が用意されています。

オンデマンドのワークショップや模試等がオンラインで提供され、試験直前の見直しに便利な要点をまとめたQuickSheetも用意されています。

Part1とPart2それぞれ別に申し込む必要があり、すべての機能が使えるプレミアムパッケージは$799、ワークショップと模試がないエッセンシャルパッケージは$399です。

試験日ごとの申し込みなっており、使用できるのは試験が行われる5月または11月までです。

試験を1回目で合格しなかった場合、一定の条件を満たせば、次の期間も無料で教材を使うことができます。

CFAの教材では、要点をコンパクトにまとめてある教材として定評があるようです。


AnalystPrep

引用元:https://analystprep.com/frm/

2014年から提供が開始された比較的新しい教材です。

Question Bankには3,000問以上が用意されています。

模試、ビデオ講座、学習の進捗が把握できるダッシュボートの機能も用意されています。

Question Bank、模試、ダッシュボードが使えるベーシックパッケージは1年あたり$249、ビデオ講座とStudy notesが追加されるラーンプラスパッケージは$399です。

期間無制限ですべての機能が使えるようになる$599のバンドルパッケージも用意されています。



私が使った教材とその使い方

この試験に限らず、私が様々な資格試験に共通して行なっている勉強方法はこちらの別の記事で紹介しています。

最後に、私が上記の教材のうち、どれをどのように使ったかと、その結果、試験の手応えはどうだったかを記します。

私は時間も金額もできるだけコスパ良くという観点で教材を選びました。


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