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臓器も骨髄も角膜も血液も ~15歳 高校って行った方がいいの?~


あなたは人に臓器をあげたいと思ったことはありますか?
これは初めて臓器提供に興味を持った15歳から、高校、大学、就職、転職、独立、結婚、出産、離婚などを経験し、新たに出会ったパートナーが腎臓移植が必要な人であったという15歳から50歳までの(現在も更新中)日記です。



■15歳になる前のあたし

「高校どこいく?」
そんな会話がまわりでちらほら聞こえる。
あたしは転校してきたばっかでつまらない毎日だった。
そもそも中2で転校とかばかげてる。
小学校は3校経験した。中学校は2校目。いじめとかじゃなくて両親が引っ越しが趣味だったから。
そもそも転校してきた日に、クラス名簿の中に、私の名前がどこにもなかったことが気に入らない。ただでさえ目立つ転校生。名前がどこにもないってなに?
どゆこと??
目立つのやだから、学期の途中じゃなくて中2のクラス発表の日、1学期の初日に来たのに。東京じゃ違うクラスの子の顔を知らないとかよくあるけど、ここは北関東。みんな小学校から一緒。だから新参者はすぐにわかる。
あわてる先生たち。
どんなやりとりがあったのか知らないけど、なんとかどこかのクラスに落ち着く。

転校生というだけで男子は浮足たつのに、それに加えてあたしは少しかわいい。ほんの少しだ。それでもこれは女子のからの攻撃の要素でしかない。
中2とはそんなもんだ。
ほかのクラスからも男子がたくさん見に来てる。見に来れば来るほど聞こえてくる「えー別にたいしてかわいくないじゃーん」という女子の声。
もうやめてくれ。そんなことはあたしが一番よくわかっている。

でもいいんだ。あたしは知ってる。
どうやれば嫌われず周りにうまく溶け込めるかを。

ずっと敬語を使えばいい。リーダー格の女子だけでなく、カーストの下のほうにいる子にだって敬語を使うんだ。そう「やだー敬語なんて使わなくていいよー」って言われるまで敬語を使い続けるんだ。言われても少し続けろ。
そうやって、目立たなく大人しくしてれば物珍しさは落ち着く。


無難に過ごす毎日。
そろそろどこの高校に行くか決めなさいと先生は言う。
こんなに勉強が嫌いなのになぜ高校に進学しなければいけないのか。
意味が分からん。

と、思ったので三者面談でそう伝えた。

母も先生も心底驚いていた。
高校に行かないと言うのはヤンキーが言うものらしい。
基本、あたしは学校でも家でも意外といい子だ。
いい子で普通のあたしが高校に行かないというのは驚かれる、らしい。
「なんでまた?!」
「高校くらい出てないと」
「みんな行くのに!」
いろいろな言葉を尽くしてあたしの気持ちを変えようと一生懸命である。
そもそも「みんな行くのに」という意味がよくわからない。
あたしのことなのに。こんなに勉強が嫌いなのに。



それからはあの手この手であたしを高校に行かせようとする運動がおこった。宿題なんかまったくやる気のないあたしに、なぜかクラスの子から「宿題やった?一緒にやろうよ!」と声がたくさんかかった。
どうやら理科の先生が「あいつに宿題をやらせたらいい成績をやる」と言っていたらしい。あほらしい。

ある時父親が言った。
「いい高校に行けと言っているのではない。その高校で何をするかだ。例えばもしも一番低いランクの高校に行ったとしても、そこで生徒会長になれば、なにか見えるものが変わってくるかもしれない」

なるほど。

そういえば、あこがれてたレコードショップのお兄さん(金井さん)も高校は行っといた方がいいって言ってた。

意外と素直なあたしは「一理ある」と急に思った。
そしてあっさり高校に行くべく勉強を始めることにした。
塾に行き、勉強合宿にも行った。
6:00~24:00まで講習なのに宿題も出た。今考えると恐怖でしかない。
偏差値を9上げ、体重は9キロ減った。

結果、けっこういい高校に行ける成績になったところで
あたしは県で1,2を争う「おバカ」な私立の女子高に推薦でいくことを決めた。父が例えで言った「一番低いランクの高校に行ったとしても」という言葉に意外と忠実なのだ。
当然、いい高校に行かせることがお仕事の、塾長はカンカンだった。
なんのために勉強したんだと。
あたしの担当講師、パーマのロングヘアーでいつもタンクトップを着てる、若い女の講師もあからさまに口が悪くなり罵るくらい怒ってきた。
あたしのことなのに。

そしてそんな私は15歳になり、その後高校3年間、生徒会長ではなく学級委員長をつとめることになる。

そんな私が初めて臓器について考えたのはちょうどその頃、臓器移植法のニュースで、脳死の状態で臓器を移植するべきか、いや移植できるか、という論争がなされていた時だ。自分ならどうするか。臓器について初めて考えた瞬間である。私はこれから35年間、臓器移植について常に考えて生きていくこととなる。

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