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福島県猪苗代町の厄介者“ひし”を有効活用!猪苗代を愛してやまない青年が生んだ「ひし茶 いなびし」とは/長友海夢さんインタビュー

4/23(土)新・朝市についてはこちら

こんにちは!新・夜市朝市編集スタッフの小玉です。
今回の出店者インタビューは長友海夢さんです。

長友さんは福島県猪苗代町にある猪苗代湖で、繁殖しすぎて厄介者となっている水草“ひし”からとれる実を活用した「ひし茶 いなびし」を開発しました。ひし茶の開発に至った背景から、商品に込められた熱い想い、さらにひしを観光資源にする取り組みまで、詳しく伺いました。

長友海夢さん

プロフィールを教えてください。

1995年生まれの26歳、栃木生まれ、学生時代は競技スキーのために福島の猪苗代町に住み、山形、東京、愛知を経て、2020年の4月に猪苗代に戻ってきました。地域おこし協力隊と、「盛り上げよう福島」という屋号で個人事業主として活動しています。趣味はアウトドア全般、アニメ鑑賞です!

現在の活動を始められたきっかけは何だったのですか?

大学卒業後2年間会社員をしていたのですが、なぜ自分は愛着の持てない商品を売っているんだろう、と疑問に思ったことがきっかけです。本当に自分がやりたいことは何かを考え、その結果、「地域のためになることをやりながら、収入を得られるようになること」が自分のやりたいことだと気が付きました。

福島で活動しようと思った理由は、自分の中で1番思い入れの強い場所であり、趣味のアウトドアも1年を通して楽しめる場所だったからです。学生時代本気で競技スキーに取り組んだ思い出の地ですし、夏はSUPやウインドサーフィン、冬は裏磐梯の方で氷の上でのワカサギ釣りといったアクティビティが楽しめます。毎日が夏休み、冬休み状態で、僕は毎週焚火をして過ごしているんです(笑)。自分の理想のライフワークスタイルが作れる最高の場所です。

焚き火やアクティビティを楽しむ長友さん

アウトドア好きにはたまらない場所なんですね!今回出店される商品について詳しく教えてください。

猪苗代湖に自生している“ひし”という水草を使った「猪苗代湖産ひし茶 いなびし」を販売します。

猪苗代湖産ひし茶 いなびし

そもそもひしって?という方が多いと思うので、ひしについて説明させてください。ひしは、とげとげした、いかつい形の実を持ち、忍者のマキビシのもととなったと言われている植物です。繁殖力がものすごく強く、水面を覆うように葉が広がります。このような理由から、縁起が良いものとして戦国武将の家紋にも使われていたひしですが、実は猪苗代湖では増えすぎていることが問題になっているんです。秋を過ぎると水草が腐敗して湖に残り、水質悪化の要因の1つになっていると言われています。福島県の予算を使い、舟を導入して水草を回収したり、ボランティアを集め駆除しているのが現状です。
そこで、県の予算に頼らず厄介者といわれるひしを活用できないか、とひし茶作りを始めました。売上の一部は水環境保全の活動に寄付しています。

ひしの実

最初からお茶を作ろうと思われていたんですか?

最初はひしの殻をむいて、中の実を乾燥させたおつまみにしようと思っていたんです。ただ、これがなかなか難しかった。というのも、殻がかなり固いのでむいていくと指がちぎれるかと思うほど辛くて…。時間もかなりかかってしまうこともあり、改めて情報収集した結果、殻ごと使えるお酒かお茶が良いという結論に至りました。さらに、ひしの実の外皮にポリフェノール、中の実にたんぱく質が豊富に含まれていることもわかったんです。僕はお酒が好きなので本当は日本酒が良かったんですが、酒蔵さん探しに難航してお茶になりました。
いざお茶を作るとなってからも、中の実までしっかり乾燥させることに苦労し、乾燥条件を調べてさあ実行するぞ!と思ったタイミングで乾燥機が寒すぎて動かなくなったり、トラブル続きでした。1年以上かかりましたが、ようやく商品として形になりました。

実はこの取り組みが評価されて、持続可能な開発目標(SDGs)の活動を支援する「SDGsリーダーシッププログラムin東北」で賞をいただいたんです。僕自身はSDGsを意識して商品を作ったわけではなかったのですが、評価していただいて励みになりました。

そして、この夏に株式会社いなびしを立ち上げ、ひし茶の開発・販売、収穫体験を地域の団体と一緒に協業していくんです。これから作る新商品も色々考えていて。地域の廃材屋さんと協業した商品作りもする予定になっています。将来的には、「ひし茶 いなびし」を猪苗代を代表するお土産にすることが1番の目標です。

想いの詰まったお茶なんですね。どんな方に飲んでほしいですか?

猪苗代湖はキャンプをする方が多いので、美しい猪苗代湖、雄大な磐梯山を眺めながら、このひし茶を飲んでほっと一息ついてほしい、というイメージを持っています。実はこのロゴマークはそんな思いが込められていて、ひしをモチーフに作りました。
この夏、観光コンテンツとして、ひしの実の収穫、殻むき、実食体験を提供する予定です。厄介者で県がお金を出して回収して捨てているひしを、観光資源に転換したいんです。美しい自然を見ながら、胴長を履いて湖の中に入ってばしゃばしゃすることを楽しんでほしい。収穫したひしの固い殻を一緒にむいて、その固さに驚いてほしい。夕暮れ時の穏やかな猪苗代湖を、いなびしを飲みながら過ごしてほしいです。日常生活ではなかなかできない体験だと思うので、ぜひ遊びに来てほしいです!収穫体験で収穫した実をまたお茶にするので、それも飲んでほしいと思っています。

美しい自然の中行われるひしの収穫

観光コンテンツも考えられているとは驚きました。なぜ始めようと思ったのですか?

僕は、地域に眠っている観光資源を活用しきれていないことがもったいないし、社会課題だと思っているんです。地元の人にとってあることが当たり前になっているものでも、外から見たらとても面白い観光コンテンツだったりするんですよね。ひしの場合はただの厄介者でしたが、観光資源として徐々に認められつつあります。
日本全国に、実は面白い観光資源が眠っていると思っていますが、それらを見つけるためには徹底的に「地域オタク」になることが大切です!活用できていないものや食べ物だけでなく、そこに住む魅力的な人々を、細かく全部知ることがスタートだと思います。

今回の新・夜市朝市で提案したい価値感・暮らしは何ですか?

提案したいことは大きく2つあります。

1つ目は、自然環境や水環境について学んでほしいということです。これは特に子どもたちに伝えたいと思っていて、いなびしというお茶が生まれたストーリーを知り、自然環境、水環境を考えるきっかけにして欲しいと思っています。暮らしの中にSDGsを感じてほしいです。

2つ目は、地域に眠る観光資源を発掘して活用すること、当たり前にあるものを疑う価値観を持ってほしいです。これは特に大人に向けて伝えたいです。猪苗代町だけでなく、他の地域でもきっと活かしきれていない観光資源ってあると思うんです。厄介者と言われていたひしですら、観光資源として生まれ変わることができました。当たり前にあるものを疑うという価値観を提案したいです。

環境と観光に思いを馳せながら、いなびしを飲んでみたくなりました。ありがとうございました!

インタビュアーあとがき
思い出の地で理想のライフワークスタイルを築き上げながら、熱い想いを持って活動していることが伝わるお話でした。まさに「地域オタク」を体現されている長友さんなら、より一層猪苗代町を盛り上げていかれることでしょう。今後の活躍がますます楽しみです!


長友さんは4/23開催の『新・夜市朝市』に出店します。皆さんも直接長友さんに想いを聞いてみませんか。


新・夜市朝市とは?

新・夜市朝市は、作り手から商品の誕生秘話や込めた想いを直接聞き、
気になった点は質問できるオンラインマーケット。

普段とは少し異なる購買を体感することで、買い物上手への第一歩になるはずです。

参加費無料・オンライン開催(Zoom)
次回は 2022/ 4 / 23(土)9:00より開催!

入場(無料)のお申し込みはこちら
新・夜市朝市について詳しくはこちら


新・朝市での販売商品:猪苗代湖産ひし茶 いなびし『INABISHI』
Instagram:https://www.instagram.com/inabishi_lake_inawashiro_tea/

<NPO法人ETIC.とは>
ETIC.は、社会の未来をつくる⼈を育むNPO法⼈です。1993年の創業以来、私たちの⼿がける実践型インターン シップ や起業⽀援プログラムへの参加を通して、1600⼈以上が起業しました。これからも企業・⾏政・NPOといった多様なセクターを巻き込みながら、挑戦したい⼈を⽀える仕組みづくりを続けていきます。

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