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Cadre小噺集

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Cadreの世界では あんなことやそんなことが起こるもので、 語りをまとめてみました。 エピソードトークもあります。
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記事一覧

Cadreメモ:基本知識

Cadre(かーどる)はSFでファンタジーなので、フィクションです。

一部の人は嫌悪感を示すような表現、危険な思想、暴力、グロテスク、非道徳的な要素もあるかもしれません。
そういう殺伐とした世界観なのです。

陰鬱とはしているけど、希望は捨てきれない。
そんな感じです。

舞台説明舞台は三千世界。
星のように散りばめられ、銀河のように一つの軸に複数集まった世界を旅したり、トラブルを解決して回った

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Cadre小噺:戦線の続行、経過観察

主観:リア

どう足掻こうが戦えば必ず穢れが蓄積する。
知識が無いものが無茶して何度も戦い続け、
体調を崩し、心を病んで、挙句の果てには汚染死が確認されることもある。
体調悪化も容態によっては数週間寝込む奴もいるんだよ。
どこまで続行が可能かってマニュアルが無いからだ。

そこで交代せずに担当を続行するとどうなるか実験してもらう。
…まあ、1番わかりやすいのは一応普通の人間であるルーベン君か、ラル

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Cadre小噺:生命を削る銃撃

主観:リア

ハーネス君が半シャドウになったわけだが、
観察してみると攻防能力が強化され、中でも射撃能力が著しく高い。
だが代わりに敏捷性が大きく低下している。
まあ如何なる弾道も操る力を持つからな、バランス調整か。
なら射撃能力をさらに極めればいい。

今回主に研究するのは『苦悶能力』の性能だ。
「血に飢えた魔弾」と名付けたこの能力。
体力を犠牲に弾を強化、弾数無限にすると分析したが、どこまで強

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Cadre小噺:トンネル事故

主観:ヴリューデル

マスター、ワープホールを作れるんだよ。凄くない?
それで、好奇心から穴を通ってみたくなった。
どこに通じるんだろうなって、気になってた。

瞬間移動ではなくて、真っ暗な異空間のトンネルを通る物だった。
でも通っている最中に出入口が塞がれた。
ワープホールを閉じたんだ。
果ての無い暗闇にぽつんといる感じ。

これ、どうにかなると思う?
現界から隔離された異空間だよ?
マスターが

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Cadre小噺:救済の刃

主観:ジルフェ

ジョー君の刀剣、サルース・ラーミナというんだよ。
あれ、正確にどういう代物か知らないでしょ?
ボクちゃんはぜーんぶ分かる。教えてあげるよ。

まず、基本の特徴としては
命を絶つ程に力を高め、刃は赤く染まっていくんだ。
最初は普通の刀と同様に銀色だけど、赤くなる程グレードも上がるんだ。
如何なる物も切断できる。持ってるだけで魔力が回復する。
敵を察知できる。
赤い波動を発する独自の

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Cadre小噺:思いだけの体

書記:ジェームズ

己がリュビの小隊長を務める最後の時のことだ。
20m程の大きさの水飲み鳥のような形をした
A級シャドウ「ジクロン」がエリアAの片隅に出没し、
手当たりしだいに人々にフラッシュを浴びせて、
肉体の全てを融かし、濁った淡黄色の蠢く液体にしているという通報が来た。

己は仲間を巻き込みたくないので単独で立ち向かった。
…まあ今思えばそれで良かったな。

あちこちに液体が溜まっており、

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Cadre小噺:世界から棄てられた相棒

主観:エルバート

俺は主軸世界を中心に、
全ての並行世界での経験を共有している。
…だから幾度も世界の滅亡は経験した。
当然だが動きは共通じゃねえ。
共有してるのは俺という存在の経験だけだ。

別の並行世界から何かが主軸世界に飛ばされるってのはまずない。
大抵、飛ばされるのはアールスなどの超越した者による仕業なんだぜ…俺はやらんぞ。

俺は主軸世界を中心に、
全ての並行世界での経験を共有している

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Cadre小噺:ノルウェアのサイボーグ事情

主観:セラム

支援部隊「ペリドット」のマスターでありながら…
まさか体が故障するとは不測の事態でした。
なぜ故障かって?僕は体の一部が機械化しているからですよ。
僕が元々活動していたノルウェアは、
そうせざるを得ない環境だったんです。
まあざっと説明しますか。

そもそもノルウェアは10年前に発見され、
天然の「モリオン」を採掘できることから
開拓が始まったんです。
僕も開拓の際に過去に所属して

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Cadre小噺:トラブル・トリック

記録:ヒュージ・ファガー

俺とライドの2人は本当にごく普通の一般人。
リュビに所属するまではBエリアでヤンチャしつつも
のうのうと生きていた。

普通の人間にはシャドウの存在を認知できない。
そう、あの時までは。

5年ほど前か。
元々治安の悪いエリアで犯罪が途絶えることはあまりなかった。
でも連続行方不明事件という異例の事件が連日起こっていた。
しかも自警団の人達が主に居なくなる。

なぜか先

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Cadre小噺:夜雨の雀

主観:レイチェル

珍しくエルバートが飲みに誘ってきた。
夜の1時頃にバー「ルクスリア」に行く約束だ。
僕は30分前に来て、
出入り口から一番遠い窓際のテーブル席で
スカイ・ダイビングを飲みながら
窓の外を眺めていたが、酷い雨だった。
でも僕が来る前は降る予兆もなかったんだ。

傘では耐えきれないかなってくらいの激しい雨。
ろくに明かりがないと見えないほどの暗闇。
そんな雨のせいで今の所、お客は僕

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cadre小噺:再生と延命

主観:リア

実験を始めるきっかけは
我が師匠であったテルマさんとスピサさんだった。

20年前にA級捕食系シャドウ「アピアン」と戦っていたが、その際、二人が奴に取り込まれた。

迅速に彼等を救出したかった。
しかし、その頃の私はまだ未熟だったので時間がかかってしまった。

やっとの思いで救出したが、数時間後に体が液状化して黒い液体になってしまった。
気持ち悪い光景だった。
多分ジェームズ君もこん

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