Cadre小噺:救済の刃

主観:ジルフェ

ジョー君の刀剣、サルース・ラーミナというんだよ。
あれ、正確にどういう代物か知らないでしょ?
ボクちゃんはぜーんぶ分かる。教えてあげるよ。

まず、基本の特徴としては
命を絶つ程に力を高め、刃は赤く染まっていくんだ。
最初は普通の刀と同様に銀色だけど、赤くなる程グレードも上がるんだ。
如何なる物も切断できる。持ってるだけで魔力が回復する。
敵を察知できる。
赤い波動を発する独自の魔法剣が使える。
あと…極限まで赤くすると自動的に敵に刃を向ける。
脅威の命中率を誇るんだ。

彼が天使時代から叩き上げで今に至るまで、
実に1000年以上使っているから、最高レベルの深紅に染まってしまった。

物を大切にすると魂が宿るっていうじゃない?
本当に魂が宿っているんだ。

だからこそ厄介な性質があって…
彼以外の者がその刀を持つと力が心を飲み込もうとして、
抑制された殺意や戦闘本能を顕にした人格にしてしまうんだ。
強い力を持った人や適性のある人は大丈夫みたいだ。

あと、この刀は魔力を無尽蔵に供給するから、
魔法を使いすぎると精神的に依存してしまうんだ。
だから手放すと元の魔力が激減しちゃうし、禁断症状で苦しむ。
暫く休ませないといけない程だよ。

ここまでくると最早邪剣だよね。
聖なる力を宿す天使の武器としてどうなんだろ。
以上の影響を全く受けてない人って滅多にいないんだ。

ん?ボクちゃんはノーン結成時に面白半分で使った事あるけど…全く問題なかったよ。
ボクちゃん神格だし、強いもん。

それでボクちゃん、以上の性質を製作者のヘパイストスさんに報告したんだ。
傍観者としての務めだからね。
「こりゃ天使の武器として与えるものじゃない。」って原品以外を回収したよ。
当たり前だよね。
だから今現存しているのはジョーの物だけなんだよ。

それくらい危険な代物ってわけ。