トヨタが水素エンジンを諦めないワケ
水素エンジンとは・・・文字通り、水素を燃料として使用すること。
水素は燃焼することによって酸素と結びつき、水を発生させます。つまり温室効果ガスの排出がないのです。燃焼時は水を出すだけだから、とってもエコ!
とはいえご存じのように、車業界は今、EV一色。トヨタは なぜ、水素自動車の開発を諦めないのでしょうか?
トヨタが得意とする「プリウス」のようなハイブリッド車は、ガソリンエンジンと、モーターバッテリーを組み合わせたもの。ここからガソリンエンジンを除けばEV車ということになりますから、技術的にはEV車の方がラクに作れるはずです。
しかしトヨタは電気自動車を次世代のメイン自動車には考えませんでした。バッテリーが高価なことや、充電が切れると走行できないという運用面の不安もあったからです。
そこで考え出されたのが水素自動車でした。
ハイブリッド車のエンジン →燃料電池
水素 →燃料に発電する装置
に置き換え、燃料タンクは高圧水素タンクを搭載したものです。
トヨタは20年以上の研究開発を経て、2014年に初の量産型水素自動車「ミライ」を製造しています。
なぜここまでこだわるのかというと、水素をエネルギーとすることのメリットが非常に大きいからです。主要なメリットはこの3つ。
①自国でエネルギーをつくれる
水素は地球上に豊富にありますから、枯渇の心配が少ないでしょう。
日本は現在、国家としての生命線であるエネルギーに関してはほぼ諸外国からの輸入に頼っている状況にあります。外国から石油などのエネルギー輸入を止められれば、たちまち困ってしまうのです。
エネルギーを輸入に頼るのは、健全な状態とは言えません。戦争の原因にもなってしまいます。
②充電不要ですぐ乗れる
水素自動車はガソリン車同様に、燃料を充填すればすぐに走れます。EV車はある程度の充電時間が必要ですから、緊急時に使えず、人の命にも関わってくる可能性もあります。
③電力を消耗しない
EV車はどうしても電力の消費量が増えます。世界中でEV車に移行したとして、一体どうやってその電気を供給するのでしょうか。
とはいえ・・・水素エネルギーにも課題は山積みです。
①水素の扱いわからん
水素は扱いが難しい気体で、まだ輸送も十分に確立されていません。
②エネルギー効率が悪い
燃料としてのエネルギー効率の悪さも問題です。
水素は再エネ由来の「グリーン水素」、化石燃料由来の「ブラウン水素」、ブラウン水素の製造過程で co2を回収し co2フリーとした「ブルー水素」などがありますが、最も低コストの「ブラウン水素」でも、ガソリンに比べて高価。
日本政府が掲げる目標の4倍以上の価格だとされます。
ただこのことは、トヨタ自身も把握しており、じっくりと少しずつ水素社会を形成していければいいというスタンスのようです。
また今後、需要が高まることで生産コストが低下し、環境も整っていくでしょう。
環境をクリーンに保てる、夢の水素エネルギー。
今後も注目していきたいですね。
※こちらの動画の一部をテキスト化し、編集したものです。
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