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精神科閉鎖病棟に入院した話

このnoteでは、初めて精神科へ入院する方や、閉鎖病棟の実態が知りたい方のためにも記録しておく。あくまでわたしの入院した病院の経験上なので、注意してほしい。

きっかけ

「死にたくなるの?じゃあ、入院して治療してみようか」という主治医の一言で、9月9日から1週間ほど精神科の閉鎖病棟に入院していた。

その数日前から希死念慮が増してきて、あぁ、このままじゃまた自分が駄目になる、自殺衝動を起こしかねないと限界を感じた。

主治医も、「ねる🐱さんは実行(過去に飛び降り経験あり)に移しちゃう子なので〜……」と鬱の症状と希死念慮が悪化することを懸念していたようだった。

入院する前に、母親が「ねる🐱がいなくなっちゃう方が嫌だから」と涙ながらに震えた声で話したのを覚えている。死にたいなんて思う娘でごめんなさいと言いたかったが、口を噤んでしまった。

「涙が人を強くするなんて全部詭弁でした」   「やまない雨はないと信じて歩けるかな」

と、好きな歌の歌詞を思い出す

全部否定されて育って挙句の果てには全て無理をしていると言われた人間が、どうやって自分を肯定すればいいんだよ

その術を教えてくれよ

そんな思いに応えるかのように、精神科への入院が決まったのだった。

厳しい持ち物検査と「預かり品」

入院する前にまず、持ち込んだ物のチェックが行われる。カミソリ、カッター等危険物、ベルト、リボン等持ち込み禁止だ。また、名前を服にも下着にも私物にも全て記入しなくてはならない。盗難防止だろう。

サンリオのシナモン柄の可愛らしいヘアピンとヘアゴムなども持っていったのだが、「他の患者さんが欲しがり盗ることがある」と言われ、持ち込みできず。そのほかにも、ゲーム機やiPadも持ち込み不可だった。私にとってはとても大切な日記帳と愛用の文房具など趣味のものは主治医が確認するまで「預かり品」として没収された。その日の夜に、「いつも手元にある物が無くて不安です」と看護師さんに話すと、1日経ってから何事も無く帰ってきた。紙と文房具(必要最低限)、小説は自由に使えた。一安心。

携帯電話は使えるの?

これが気になる方も多いだろう。わたしの入院した病棟では、消灯時間の夜9時まで使用OKだった。しかし夜9時にはナースステーションに預けなければいけない決まりだった。充電コードもナースステーションで常時預かりなので、夜に預かり充電してもらう仕組みだ。音楽プレーヤー、イヤホン、ポータブルラジオの類も同等の扱いだ。

そのため、家族や友人との連絡には困らなかった。

しかし、病院によっては完全に携帯、スマホは持ち込み禁止の場所もあるので病院に確認しておくべきだ。

意外な持ち込み禁止品

驚いたのが、「ぬり絵セット」の病室への持ち込みが不可だった事だ。だんだんと暇になるだろうと思い、暇つぶしにうってつけのぬり絵本と色鉛筆を持ち込もうとした。過去に整形外科に入院した時はOKだった物だ。

理由は、「他の患者さんもやりたがる場合もある」ことと「作業療法で行う塗り絵(病院側が用意する)との区別化を無くすため」だった。仕方ない。

4人大部屋、入院生活の始まり

個室と大部屋があり、個室の空きが無いとのことで4人大部屋に入った。もしどうしても個室の1人部屋を希望する場合は、空きが無いことも多いようなので事前に確認するべきだろう。

同室は20代~30代の女性の方達で、幸い、皆穏やかで優しく声をかけてくれた。

過去に1人部屋に入院したことがある(整形外科)。しかし、寂しくなったり、1人で考え込んでしまい涙が止まらなくなったりしたので結果大部屋で良かったと思っている。今回の入院では涙が止まらなくなることは無かった。

他の病棟と明らかに違う点は、カーテンが無いことだ。隠れて自傷したりすることの防止だろうか。また、備え付けのテレビも無い。

お風呂は?

お風呂は週3回入ることが出来た。小さな銭湯のようで、シャワー4つ付いていて4人が一度に入る。どこかしこも鍵のかかる病棟なのでもちろん鍵付き、看護助手さんの見張り付きだ。

概ね快適だった。隣の女の子のシャンプーのとても良い香りがしたことを覚えている(笑)

治療内容

治療内容は鬱に効く点滴と、投薬だ。

また、作業療法というものも行うらしいが、参加していない為詳しくは分からない。主にレクリエーションをしたり、編み物や塗り絵、折り紙などをすると聞いた。

入院3日目の日記には、

薬が効いているのか点滴打ったからなのか環境が変わったのか分からないが、希死念慮がだいぶ落ち着いた。こんな自分でもいいや、と少しだけ自分を肯定できる1歩になったかもしれない。

と記されている。病院でゆっくり休息をとり、薬を変え、点滴を打った結果は直ぐに出た。この頃から気持ちに余裕ができ始める。

治療の効果

1番楽になったと感じたのは、あれだけ悩まされた幻聴が無くなったことだ。調子が良くなったことにより、自分を蔑む声が聞こえなくなったことはとても嬉しかった。

また、希死念慮から解放されたことで心が軽くなった。

看護師さんについて

入院中、もっとも身近でお世話になる存在、看護師さん。精神科入院だったが、他の病棟と何ら変わりない印象を受けた。毎日の検温、点滴はもちろん、わたしの場合幻聴で困ったりしていないかなど丁寧に話を聞いてくれた。

少しだけ性格や話し方がキツめの印象の看護師さんがいた。だが、点滴の針の抜き差しがずば抜けて上手く、話もよく聞いてくれたので感謝している。有り難き。

退院

2泊3日の外泊を経て、無事に退院することができた。任意入院だったため、わたしが調子よくなり「家に帰りたい」と言えば退院できる入院だった。強制入院の方はした事がないので、よくわからない。

病室の隣のベッドの女の子が帰り際、「元気でね」と朗らかに手をふってくれた。

そうか。「またね」とは決して言わない。

彼女が一日でも早く元気になって退院出来ますように。「ありがとう」と手を振り返した。

1週間後、また外来での通院治療が始まる。どうか寛解しますように。元気になれますように。明日も笑っていられますように。





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