見出し画像

トルストイの日露戦争論/エピグラフの機械翻訳 第十一章分

・「トルストイの日露戦争論」は、各章に多量のエピグラフが付されているが(第十二章を除く)、平民社訳、あるいはその底本となった英訳からは省かれている。
 そのエピグラフ部分を訳してみようという試み。

・タイトルに「機械翻訳」と銘打ったように、機械翻訳によるざっくり訳を想定。ただし、既存の翻訳が特に問題なく引用できそうな場合は、そちらを使用。

・各引用文の最初にある(1)(2)(3)…の番号は、記事作成などの都合上、当方で付したもので、原文にはない。

・その他、原文にない要素を加える場合もある。
 (聖書からの引用の場合、原文に章・節番号がなくても、それを付加する、など。)

・誤訳を見つけた場合、こっそり修正すると思います……。

第十一章エピグラフ


(1)
《5:30 恐ろしいこと、おぞましいことが/この国に起こっている。
5:31 預言者は偽りの預言をし/祭司はその手に富をかき集め/わたしの民はそれを喜んでいる。その果てに、お前たちはどうするつもりか。」》

エレミヤ書 5:30-31

(2)
《12:40 「神は彼らの目を見えなくし、/その心をかたくなにされた。こうして、彼らは目で見ることなく、/心で悟らず、立ち帰らない。わたしは彼らをいやさない。」》

ヨハネによる福音書 12:40


(3)
《夫(そ)れ佳兵(かへい)は不祥の器なり。故に有道の者は処(お)らず。恬惔を上と為し、勝てども美とせず、而るに之を美とするは、是れ人を殺すを楽しむなり。夫れ人を殺すを楽しむ者は、則ち以て志を天下に得可らず。》

老子


(4)
《もし旅人がどこかの離島で、家々に装填済みの銃を備え付け、その周囲に昼夜を問わず見張りが巡回しているような住民たちを見かけたなら、この島には盗賊だけが住んでいるのだと思わずにはいられないだろう。ヨーロッパ諸国も同様ではないか?

人々に対して宗教がいかに小さな影響力しか持っていないことか、あるいは我々がいかに真の宗教から未だ遠いことか!》

リヒテンベルク


以下、第十一章本文(平民社訳)。




(1)旧約聖書から「エレミヤ書」の引用。
参考のため、新共同訳へのリンクを貼っておきます。


(2)新約聖書から「ヨハネによる福音書」の引用。
同様に、新共同訳へのリンクを貼っておきます。

なお、これは旧約のイザヤ書6:10 を出典とする言葉です。特にリンクは貼りませんが、興味のある方はそちらもご覧になると良いかも。

(3)老子(老子道徳経)第31章からの引用。ごく短いものなので同章の元の漢文を全文掲げておきます(王弼本)。

夫佳兵者,不祥之器,物或惡之,故有道者不處。君子居則貴左,用兵則貴右。兵者不祥之器,非君子之器,不得已而用之,恬淡為上。勝而不美,而美之者,是樂殺人。夫樂殺人者,則不可以得志於天下矣。吉事尚左,凶事尚右。偏將軍居左,上將軍居右,言以喪禮處之。殺人之眾,以哀悲泣之,戰勝,以喪禮處之。

トルストイの引用は原文と比較すると少し飛び飛びになっている感じです。それを別にしても、露文では少しニュアンスが変わっている部分がある気もします。
ともあれ、当面はこの形で置いておきます。漢文(書き下し文)の細かい意味についても、当面は解説サイトなどでご確認ください(^_^;)。
なお、この種の本こそ国会図書館デジタルコレクションが強そう、ということで、パッと見つけたものをとりあえずご紹介しておきます。


(4)リヒテンベルクについては、第八章エピグラフの註釈をご参照ください。

こちらも全集の註釈によれば "Vermischte Schriften" が出典とのこと。8-5のところでも書きましたように、これは基本的に Sudelbücher と同じものであるようだ、ということで、少し調べてみたら、当該の文章に行き当たりました。

以下のサイトは、正直、広告とかゴテゴテついて見づらいのですが、中身はしっかりしているよう。
(クッキー云々の表示が出ますが、一旦戻ったりするとやり過ごせるようです……多分。)

このページから「H」のところに行き、[H 53] という番号のついている文章です。

そこまで長くもない断章ですが、終わりの方がカットされているので、その部分もカッコ付きで置いておきます。

Wenn man auf einer entfernten Insel einmal ein Volk anträfe, bei dem alle Häuser mit scharf geladenem Gewehr behängt wären und man beständig des Nachts Wache hielte, was würde ein Reisender anders denken können, als daß die ganze Insel von Räubern bewohnt wäre? Ist es aber mit den europäischen Reichen anders? Man sieht hieraus, von wie wenigem Einfluß die Religion überhaupt auf Menschen ist, die sonst kein Gesetz über sich erkennen, oder wenigstens, wie weit wir noch von einer wahren Religion entfernt sind. [Daß die Religion selbst Kriege veranlaßt hat, ist abscheulich, und die Erfinder der Systeme werden gewiß dafür büßen müssen. Wenn die Großen und ihre Minister wahre Religion, und die Untertanen vernünftige Gesetze und ein System hätten, so wäre allen geholfen.]
[H 53]