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#5.いくつになってもマイホーム

マイホーム、いくつになっても憧れますよねー。
私もマイホームを購入して早6年目。未だ先の見えぬローン地獄と戦ってます😱

さて、ここで理学療法士として働いている私が、以前担当していた方の話をしたいと思います。プライバシー保護の観点より少しオマージュを加えて話させてくださいね☆

その方はとてもダンスが好きでその他、陶芸や、手芸、絵を書く、小説を書く、歌をうたうなどとても多趣味な方でした。そんな中、ある難病に侵されました。
パーキンソン病という病気。

この病気は進行性の病で、主に以下の症状を主症状とします。

私が介入を始めたときはまだまだお元気で、ダンスや歌も積極的に行ってました。しかし少しずつ体の自由が効かなくなり、わずか2年足らずで車椅子生活を余儀なくされました。これはパーキンソン病としてはとても進行が早い方です。

直接主治医から余命宣告などがあったわけではありませんが、医療成就者目線から見ても良くて後数年生きられたら、、という状態。まだ若いのに可哀想というのが本音でした。

しかしその方はいつも前向きで、その時の体の状況に合わせてできる趣味を変えたり、できる範囲の形に落とし込み続ける工夫をされていました。私もなんとかその要望に合わせられるよう試行錯誤したのを覚えています。


二人で作ったダンス、、ひどかったけど楽しかったなぁ(笑)

本題に入りますね。
そんな中ご主人から今の家はバリアフリーではないから新しく家を建てたいと。


えっ?!今からですか?(・・;)
正直今の家もまだまだ生涯使える感じだし、この夫婦は子供もいないため引き取り手もいない。
なによりお金の問題が大きいですよね。貯蓄も有り余るほどあるわけではないし、、誰もが賃貸での物件を勧めました。この先老人ホームでの生活も考えられますし、圧倒的に選択肢が広がるので。後は家を建てるのもすぐに建つわけではないですしね。

しかしそんな反対意見も何のその。夫婦で話し合いながら、ここは書斎にしよう、キッチンは車椅子でも通れるように、調理がしやすいように高さはこれくらいとまるで2,30代夫婦のような夢あふれる構想を楽しげに話していました。

そして、なんと構想より1年足らずで家を建ててしまいました。バリアフリーに生まれ変わり、二人の希望をふんだんに取り入れた新しい家。しかし、トイレに取り付けられた手すりや、広く作られたお風呂、高さを揃えたキッチンは使われることはありませんでした。進行が早く、寝たきりになってしまっていたのです。
広く作られた寝室にポカンとベッドが置かれていていつにもまして寂しげに見えました。

でもこの夫婦は普通じゃないんです。

寝たきりになっても唐揚げが食べたい、文を書きたい、作品を売りたいなどなどやりたいことのオンパレード。こっちが慌てるほどに。
しかしやはり病魔には勝てず、引っ越しからわずか半年で亡くなってしまいました。


後日ご主人に会いにいくと、お部屋を作品展のごとく昔作ったもので飾られ、壁には一面に写真が貼られていました。

辛かったと思います。もっと一緒に暮らしたかったと話してました。でも最後の瞬間が一番生きている感じがしたと。前向きな中にもどこか寂しげに見えていた中に、家を建てる計画を立てた瞬間にパァーッと笑顔になったんだよと。

ご主人いわく、キッチンや手すりなどはもう使えないとは思っていた。でもそこにお金をかけることが大事だったんだよ。どれもこれも使わない、いらないだと新しく作り直す意味がない。それでもいいから二人で住みたい家を作りたかった。
と。

正直お金がどうとか施設がどうとか言ってた自分が恥ずかしい。最後まで寄り添い大切にし合うまさに理想の夫婦でした。

※この物語はフィクションを含みます。


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