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短編小説

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#短編

深夜

深夜

 街は眠らない。スクランブル交差点には無限の魂が行き交う。

 深夜。わたしは眠らない。夢を見ない。神さまのことを考える。

 わたしの神さま。わたしのすべて。わたしの宇宙。

 昨夜、寝転んでいたら宙に飛ぶ蝶々の幻影を見ました。それは確かなこと。そして不確か。誰にも説明なんてできない。

 深夜。わたしはタブレットを飲み込む。このままゆるやかな幸せをと願う。

 まどろみ。透明で深い慟哭。瞳孔は

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妖精

妖精

 どうにもならない気持ちがある。当たり障りのないところで終わらせることができたならどれほどに楽だろうと考えるけれど、そううまくことは進まない。どうにもならない。

 誰かを呪いたい。誰を? 誰かを。誰でもない誰かを。顔のないあなたを。わたしはいつも呪っている。執念深く、粘着質に。

 わたしとあなたの記念写真で、わたしは木陰に隠れている。表情もぶれている。笑っているんだか、泣いているんだかわからな

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夢たまご

夢たまご

 彼女が呟いた。「夢たまご?」

「夢たまご?」僕は聞き返す。すると彼女はまた「夢たまご?」

 頼りない街灯が点在する田舎道は霧みたいな夜の闇の深さに沈んでいた。曇り空が隠した月や星の光は、地上に届くまでにその輝きの半分以上を失ってしまって、残りが粗雑なアスファルトの舗装に染みみたいに溶けていく。世界は見事なツートーンに支配されて、そんな夜には僕らの会話もすぐに闇の奥へと吸い込まれてしまう。だか

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