ライトノベルの編集者と話して

 なんの因果か最近ラノベの編集者と話す機会があったので聞いたことを簡単にまとめておこうというお話。

 まとめるとラノベを書く上で意識しておいた方がいいのは四つ。

 分かりやすさ。
 明るさ。
 尖ったキャラ。
 売りやすさ。

 まあ当たり前と言えば当たり前のこと。
 でも書く前に意識しておけば役に立つかもしれない。
 当然保証はしない。

 まずはわかりやすさ。
 これは構成のお話。
 あんまり複雑に伏線を張ったりしない。
 小難しいテーマは避ける。
 読みやすくシンプルに。
 等々。
 文芸はわりと人生観が求められたり、哲学的なテーマが求められるけど、ラノベの読者はそれを望んでない。
 言い換えれば引っかかりがない、または少ない作品を求めている。
 知識がなくても読めるし、考えなくても読める。
 それが分かりやすさ。
 ライトノベルのライトな部分。

 次に明るさ。
 楽しさ。笑い。熱くなれる。すっきりできる。
 自分の解釈としては読後に爽快感があるもの。
 巷で人気のざまあ系もその類い。
 みんなカタルシスを求めてる。
 読んだあとに暗くなったり、死にたくならないのならいい感じ。
 読んでる時も明るい雰囲気だと次のページをめくろうと思う。
 暗かったり怖かったり胸くそ悪かったりするとそれがない。
 読みやすさが求められるラノベでは必要な要素。
 乱暴な分け方をすれば明るいならラノベ、暗いなら文芸と分けられるかもしれない。
 分けられないかもしれない。

 次に尖ったキャラ。
 キャラがとにかく普通じゃない。
 普通なのは減点対象。
 こだわりであったり、苦手なものであったり、とにかく尖らせる。
 変態もポンコツもラノベの中では大事な個性。
 簡単に言えば変なキャラを作る。
 その上で可愛かったり、格好良かったり、魅力があったりすれば高評価。
 イラストがつくからデザイン面も意識すればさらにいい。
 どのみちキャラ表を書かされるので最初にきちんと考えておいた方がお得かも。
 上に二つの要素と合わせて分かりやすく、明るく、尖ったキャラを作ろう。

 最後に売りやすさ。
 これは編集者目線の要素なのであんまり意識しすぎない方がいいかもしれない。
 だけど売れたいとか編集部と良い関係を作りたいビジネスマンタイプは必要かも。
 売りやすさの面で考えるべきは二つ。
 ジャンルと要素。
 売れてるジャンル。売れてる要素があると編集者は売りやすい。
 要は流行っているもの。
 あるいは流行っているものに近いもの。
 ジャンルで言うとファンタジーやラブコメが強い。
 要素では転生、追放、悪役令嬢、後宮というど直球なものや、それと似た要素や雰囲気を持ったものは売りやすい。
 なぜなら買う時に内容が分かりやすいから。
 人は知らないものは中々手に取らない。
 知ってるものかそれに似たものを買おうとする。
 だから最低限の市場調査は必要。
 逆にSFや本格ミステリーはラノベでは売りにくいそう。
 悲しい……。
 そういうジャンルが好きならそういうのを出している出版社の賞に出そう。

 五つ目(!?)は購買層。
 メイン層は三十代から四十代男性だそう。
 そこを意識したものが売れてるし、企画とかも通りやすい。
 あなたが購買層なら自分がほしいものを。
 そうでないなら購買層がほしいものを考えよう。
 個人的にはあまりそんなものばかりで溢れると益々若い世代からそっぽを向かれそうな気がするけど、背に腹はかえられない。
 一体彼らがなにを求めているのか?
 それこそが一番の謎かもしれない。

 という感じのお話をした。
 それをふんふんと頷きながら聞いていた。
 ラノベはビジネス色が結構濃いなあと思いながら。
 一番いいのは流行ものが好きなことかもしれない。
 そしたら楽しんで書けるだろうし、売る方もやりやすい。
 そうでないならある程度我慢して、ビジネス面を意識するしかないと思う。
 売れそうなものを書く人の方が業界で長く書けるとも言っていて、それはそうだろうなと思う反面、それだけだとじり貧になりそうな気もした今日この頃。
 それでもラノベは新人賞も多いし、投稿サイトからの書籍化も多く、その上コミカライズもされやすいので魅力的。
 というお話。

 個人的には流行を意識して書くより、自分の好きなものをラノベにした方がいいんじゃないかと思った。
 そっちの方が楽しいだろうし、書きやすそう。
 それはそれでそれなりの力量が求められそうだけど。
 という感想でした。
 終わり。 

 

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