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2度目の出版で大切な人に想いを届けた話

「Kindleストアで販売が開始されました」

1本のメールが届いたのは去年の4月9日金曜日、午後3時。
「本当に、電子書籍が出版できた……」

最初はホッとして、喜びは後からジワジワとこみ上げてきたことを覚えています。仕事中でなかったら、泣いていたかもしれません。

1度目の出版が開始された瞬間でした。

電子書籍出版のきっかけ

コロナ禍に体調を崩したことがきっかけで、今後の働き方を考え始めました。
・会社を辞めても困らないスキルがほしい
・年をとっても働ける仕事を見つけたい
・自宅でも働ける仕事がしたい

印刷物のデータを作る仕事をしていますが、これからはWEB関係の仕事が良いだろうと思っています。でも「40代・持っているスキル・体力」を考えると、何ができるのか不安だけがつのっていきました。

そんなときに紹介されたのが、野口真代先生の「ライティングカレッジ」でした。

「これだ!」

どんな仕事をするにしても、文章を書くことは必要になります。汎用性のあるスキルだと思ったのです。電子書籍を出版できれば、働き方を変えるきっかけになる。根拠のない確信だけで突っ走ることは、わたしには珍しいこと。読書が好きだった少女時代、作家になることを夢見ていた気持ちが残っていたのかもしれません。

短大卒業後は文章を書くことから遠ざかっていたので、文章を書くことは想像以上に大変でした。3か月という期限がなかったら、諦めていたでしょう。

「頑張って、頑張って、頑張って……出版できた!」

この喜びを仲間や友だち、体調を崩したわたしを心配してくれた従姉妹に報告したい! きっと一緒に喜んで安心してもらえる! でも……

「電子書籍ってどうやって読むの?」
「紙の本しか読んだことがない」

わたしは40代です。同年代か年上の友だちや従姉妹はアナログ派の人が多く、電子書籍を利用する人はいません。目標が達成できたことを喜んではくれましたが、読んでもらえない寂しさが残りました。

どうしたら、読んでもらえるのか。コロナ禍で会えない中、電子書籍の読み方を教えるのは難しいものがありました。読んでもらえなくても、嬉しい報告ができたことに満足するしかない。そう思っていました。

電子書籍のペーパーバック化が始まる

電子書籍の出版から半年、電子書籍のペーパーバック化が開始されました。その頃には自分の中の出版フィーバーは落ち着いていて、挑戦しようとは思いませんでした。学んだライティングスキルを使って副業を開始していたこともあり、自分事として考える余裕がなかったのです。

いつか、紙の本が出せたら良いな。

そんな淡い夢の1つとして、とらえていた気がします。紙の本は敷居が高い、と敬遠していたのかもしれません。

ペーパーバック版の出版を考え始める

ライティングカレッジの先輩が、ペーパーバック版の出版をしました。ちょっと羨ましいと思いながらも、まだ他人事だったと思います。

真剣にペーパーバック化を考えるようになったのは、先輩の「ペーパーバック講座」を受けてからです。本のサイズなど細かいことから、ペーパーバック化することで広がる可能性やデメリットまで詳しく教えていただきました。

講義を受け、本業であるDTPオペレーターのスキルを活かせると知って、わたしも挑戦したい! と心が踊ったのです。電子書籍を出版したときに感じた、読んでもらえない寂しさを消し去るチャンスでした。

電子書籍の出版から1年近くたちます。正直なところ、読者にペーパーバック版は求められていないでしょう。しかし、大切な人に届けたいと決意しました。

やりたい気持ちと忙しさ

問題は時間でした。本業と副業に時間を使うと、ペーパーバック化するための勉強時間が取れないのです。すぐにでも作成開始したい気持ちはありました。しかし、仕事をおろそかにすることはできません。勉強をしないで作り、クオリティの低い本にする気もありませんでした。

本業を活かせるといっても、勉強をしないで作成することは「イタリアンシェフがいきなり日本料理屋を開店」するようなもの。大切な人に届けたい1冊なのです。慎重に進めたい気持ちが強く、勉強は必要不可欠でした。

諦めたくない。未経験だった電子書籍だって出版できたのです。1つ1つ課題をクリアしていくことの大切さは、身をもって知っています。

できることから始めよう

ペーパーバック版のデータは「InDesign」で作成することに決めていました。レイアウトソフトなので、テキストや写真をまとめるのが得意だからです。本業で使用しているソフトですが、使用する機能は限定されてきます。ペーパーバック化に必要な機能を、わたしは知っているのかリサーチすることから始めました。

具体的にデータ作成の方法を調べていくうちに、書籍デザインについて「何を知らないのか」が分からないことに気が付きました。知らないと調べようがありません。本業で作成しているのは、カタログや取説です。書籍のような文字組みをするための、便利な機能もあるはずです。

書籍を作るプロに学びたい。リサーチの方向転換を決めました。勉強の時短と、漏れなく必要なスキルを身につけるためです。ありがたいことに、すぐにライティングカレッジと同じストアカで先生を見つけることができました。

「InDesignで本づくり教室」を受講

先生に受講目的を伝え、知っていることの復習も兼ねてInDesignの基本から習うことにしました。

本業では依頼先からフォーマットを渡されたり、前回のデータを追加修正したりする形がほとんどです。フォントや文字のサイズも決まっています。意外に初歩の初歩である、用紙設定やドキュメント設定をしてこなかったことに気が付きました。

書籍を作るためには「なんとなくできる」ではなく「意識してできる」ことが必要です。基本からお願いして良かったと思います。

基本的なことの他にも、書籍デザインに必要なことや裏技的なことも教わりました。先生は出版社から依頼を受けて、書籍を作っている方です。実践に即したスキルが身につきました。

講義は予定の時間を超える盛りだくさんの内容で、しっかり学ぶことができました。講義動画も共有していただき、復習もできます。少し困ったのは2週間限定だったこと。講義中はメモをとる余裕がありませんでした。講義の後に3回繰り返し観て、書籍作成のためのマニュアルを作ることができたのです。

ペーパーバック版データの作成開始

GWに入り、いよいよ作成開始です。休みの間に作成し、出版をすることが目標でした。気合いは十分。物づくりが好きなこともあり、ワクワク感が止まりません。しっかり必要なスキルは身につけたので、順調に作成は進みます。

失敗も少し……
電子書籍はWEB用のデータであり、カラーモードはRGBです。ペーパーバック版は印刷用なので、カラーモードはCMYKに変わります。表紙を作成するときに、カラーモードを変更しないで配置してしまうといったミスがありました。出版前に分かって良かったです。作成確認リストが必要だと、気が付いたことも収穫でした。

ペーパーバック版の出版

「お客様のペーパーバックがAmazonストアで販売開始されました」

2度目の出版です。このメールを待っていました。目標にしていたGW中の出版です。やっと、大切な人に想いを届けることができる! さっそく従姉妹にLINEをしました。

「紙版の本を出版できました。贈ってもいい?」

「ありがとう! 楽しみー」

従姉妹からのメッセージは続きます。
「最近、体調はどうですか?」

従姉妹からのLINEには、必ず体調を心配する1文があります。それには理由がありました。

父は鬼籍に入り、母は認知症で施設にいます。従姉妹は両親の介護やコロナ禍で体調を崩したわたしを、ずっと心配してくれていました。今は元気に頑張っていることを、書籍を贈ることで伝えられたと思います。1年前の読んでもらえない寂しさは、消えました。

後日、読んだあとにもメッセージをくれました。
「紙の本になると立派ですね。とても読みやすいですよ」

ペーパーバック版を出版して、本当に良かったです。

これから、ますます電子書籍の市場規模は拡大していくでしょう。紙の本の需要は、下がっていくことも予想されます。しかし、大切な人に届けたいと思ったときに「紙の本」は選択肢の1つになると思うのです。

これから

電子書籍を出版した仲間から、わたしと同じように「読んでもらえない」話を聞きます。

「色々な人に届けたい。読んでもらいたい!」

電子書籍には、大勢の人に届けられる可能性があります。それでも、電子書籍を読まない人にも大切な1冊を届けたい。読者がたった1人でも。それも本音です。

電子書籍のペーパーバック化のデータは、Wordでも作れます。簡単にとはいかないと思いますが、誰でも作れる時代になりました。それでも、パソコンが苦手な人や忙しくてデータを作成する余裕がない人もいるでしょう。

わたしは、そんな人のお手伝いがしたいと思っています。1冊に込められた思いを形にして届ける。とても素敵なことですよね。ペーパーバック版は、文字のサイズや書籍のサイズを自分で決められることが利点です。届けたい人に合った書籍を、一緒に作りたいと思っています。

日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」に出品をすることが、今の目標です。大切な人に読んでもらえる嬉しさを、多くの人に感じていただきたいと願っています。

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