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『天地明察』に見る「知る」ことの意味。


にほんブログ村「シンプルライフ」カテゴリーで、ブログを書いてる『なぜ猫』です。猫好きアラフィフ主婦が母の認知症をきっかけに始めて、もうすぐ2年になります。母と父の事、娘の不登校の事、飼ってる猫の事、片付けや断捨離の事など、妄想多めで書いています。

その中から、読んだ本について感想を書いているブログをご紹介させていただきます。


冲方丁の「天地明察」を読み終わりました。

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前に一度読んで、面白かったのでもう一度読みたいと思っていたところ、息子が図書館から借りてきました。

感想の前に、少し音楽の話をしますね・・・


大好きな歌の一つ、RADWIMPSの「有心論」。


歌詞に、衝撃を受けたフレーズがあります。


「誰も端っこで泣かないようにと、君は地球を丸くしたんだろう?」
「誰も命、無駄にしないようにと、君は命に終わり作ったよ」


素晴らしい優しさと、才能ですね。


作詞作曲の野田洋二郎の世界観、大好きです。


で・・・


「天地明察」の感想です・・・


江戸時代、『碁打ち』である安井算哲(渋川春海)は、

「暦改変」と言う一大事業の主要メンバーに抜擢され、

仲間と共に、取り組みます。


要するに、

ずっと使っていたカレンダーが、

実は、使い続けている間に(600年?だったか800年だったか。)

ずれてきていて、

このままいくと、混乱をきたす恐れがある。


カレンダーが、ずれたくらいで?


と、思いましたが、


(だって、カレンダー見なくても、暑かったら夏だし、寒かったら冬じゃん。)


本を読むと、


古来から、「暦」というのは「神の意志、天の意思」を汲み、

時節を支配し、空間を支配する、

宗教的権威の筆頭であり、

天皇家不動の特権で、

それに対して、

幕府が、「改変」を申し立てる事は、

やり方次第では、

再び戦乱が起こるほどの案件。


民にとって「暦」とは「明日」を「保証する」ものだと作者は書いています。

戦乱の世の中では、明日が来るかわからない・・・


『約束』が守られる事は、奇跡のようなもの。


「暦」とは、「明日がある事の約束」だと。


地道な観察と、超人的な分析力で「暦改変」に挑む算哲。


しかし、
蝕(日蝕、月蝕)の時間を予測して、はずしてしまいます。


天を疑う(天皇家を含む)大馬鹿ものと、一気に嘲笑され、

事業も頓挫してしまいます。

失意の日々を過ごす算哲ですが、

やがて、

なぜ間違ったのかを、気づかせてくれる人物にめぐり合い、

そこからまさに、

手で触れるほどに、「天の理」に近く。


「明日も生きている」
「明日も、この世はある」


北極星が結んだ、天と人との約束を、算哲が人生をかけて証明した。


と言う小説です。(号泣)


まさに、「天地明察」(明察とは、「正解」と言う意味らしいです)



数学や、碁や、星の観察など、私が苦手な「理系」(文系も苦手ですが・・)の話は、さらっと流して、話の大筋だけを拾うような読み方ですが、人間の気持ちの『揺れ』を細か~いところまで描くんですよ、冲方丁は。


なので、

読み進むと、安井算哲(渋川春海)の心情に、感情移入します。

挫折に次ぐ、挫折・・・「追い」挫折まである。


読んでいて、精神的に結構キツイところもありますが、

本当の「暦」を、探す旅の面白さに、引き込まれます。


下手なミステリーよりも、ずっと面白いです。


「暦」がズレていた真相が、わかる場面は、鳥肌たちました。

「どうなっているのか知りたい!」という強い欲求に突き動かされて、

私達の祖先が、海を渡ったり、気の遠くなるような観察をしたり、

危険な実験をしたり、物を食べたりしてくれたおかげで、

私達は、義務教育を終える頃には大体の知識を身につけています。

この地面は、大きな丸い球体である事。

地球が太陽の周りを回っているから、季節がある事。

自分の国の歴史、よその国の歴史、

食べて良い物、危険な物質、体の仕組み・・・などなど。

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野田洋二郎が、ソファでファンからの差し入れの高級チョコを頬張り、コーヒー飲みながら、

ポロンと、ギターを鳴らして、

「なんで、地球は丸いのかな〜。あ、そっか〜、丸いと『隅っこ』がないもんな。♪誰も『隅っこ』で泣かないよ〜にとぉ〜、お!イケるイケる、ぼくちゃん天才!ママ〜、今日のご飯なに〜?」と、

素敵な歌詞を書けたのも、祖先の体を張った勉強のおかげ。

知識は便利さを生み、便利さは時間を作り、時間は哲学者を育て、哲学者は、みんなに『愛』を教え、愛は平和を求める。

「想像してごらん、戦争のない平和な世界を」ってヤツです。


天地明察は、「知る」事は「愛」だと言っています。きっとそう。

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この本は、映画にもなりました。


算哲役、たぶん岡田准一だったと思う。


岡田くん、好きですが、


本からイメージしたのは、


もっと華奢で、刀の重さでよろめいているイメージなので・・・


誰かな~、


栗原類じゃ~、あんまりか・・・(^_^)a


又吉・・・いいんじゃない?


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