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白いのにペンキで赤く塗る

自宅で自粛生活を過ごしていると、セッションで出会ったベーシストの烏賀陽弘道氏から素敵なDUBのトラックが送られてきました。

で、以前書いた短い詩を乗っけてみたら合いそうだったので、リモートセッションしました。タイトルは特になかったのだけど【神社に祀ってハッピーエンド】にしてみた。こんなリリックです。


不思議の国のアリスのシーンを 思い出しては苦笑い

兵隊たちは庭の白いバラを 必死でペンキで赤く塗ってる

女王陛下が赤と決めたのに 白いバラを植えたんだって

必死で帳尻あわすため 白いのにペンキで赤く塗る

そりゃ親分に言われたなら 白いものだって黒いと言う

北野武のヤクザ映画に 出てきた台詞そのまんま

不思議の国に通用する ってことからしてファンタジーだな

タイムラインを覗いてみりゃ 浮世も大して変わりゃしねえな


次に王様が何を言い出すか 固唾を飲んで見守る人たち

白いものを黒いと言ったならば 辞書から書き替え 知らんぷり

あれ?これちょっと何かに似てる 夏休みのあと登校したら

大人の言うこと 全く変わり 教科書に墨を塗った話

「全滅」じゃなく「玉砕」という 「退却」じゃなく「転進」という

「敗戦」じゃなく「終戦」という 「約束違反」→「新しい判断」

後ろめたさも隠し通す ペンキで塗られた気持ちかかえ

命を絶つ人 現れたなら神社に祀ってハッピーエンド


このリリックは、公文書改竄が発覚した時になんとなく書いたもので、スキットっぽくライブで曲の合間に朗読したり、いとうせいこう is the poet というDUBバンドのセッションに出演した時に詠んだりしていました。

天災でも人災でも「防げた犠牲」が出てしまった時、原因を究明した上で同じ間違いを起こさないようにするべきだと思います。しかし、度々俺が目にするのは「防げた犠牲者」を英雄にして神格化したり、功労者にして感謝したり、可哀想な人として悼んで終わりにする光景です。死を悼むことと並行してやらなければならないのは、ストーリーの創作ではなく、行動の反省・振り返り・改善だと思います。

特にストーリーの創作が為政者の都合が良いように行われる時、違和感と怒りを覚えます。このリリックはそうした気持ちから生まれました。最近だと、志村けん氏が亡くなった時の都知事の発言「ウィルスの危険性について皆さんにメッセージを届けてくださった功績」もこれに当たるかもしれません。彼の死は「防げた犠牲」だった可能性もあります。この件だけでなく、福島50や太平洋戦争の沖縄戦なども「なんかいい話」っぽくして終わらすなよ!という想いがあります。

モヤるな〜。おかしい。そう思った時、自分にはスポークンワードがあります。烏賀陽さんのDUBに風刺を振りかけて録音し、Sound Cloudに曲をアップしました。よかったら聴いてください☆


★トラックに語りを乗せただけのショートバージョン(猫道作)
 https://soundcloud.com/nekomichic/trackhiromichi-ugaya/


★サンプリングマッドネス 烏賀陽弘道氏が魔改造してくれたバージョン
 https://soundcloud.com/ugadub-427885321/20200410-happily-dead-and-worshipped


烏賀陽さんは元全国紙の新聞記者で、現在はフリージャーナリスト。海外の皆さんにもリリックが伝わるように素敵な紹介をつけてくれました。(込み入った内容を英文で伝わるように書くのは至難の技なので、感謝です!)

I am extremely happy to announce another music development of mine during COVID-19 house-imprisonment days. I collaborated with rapper /poet / lyricist 猫道 猫道一家 (Neko Michi) on line and created this tune "Happily Dead and Worshipped ( in Shinto Shrine)."

His lyric is about political satire regarding the two historic things. One is the Japanese WWII war victims who Japan's national government say are worshipped as 英霊 ( supreme spirits ) at Yasukuni Shrine. The other is a government official who committed suicide after he was forced to cover up the national government fraud in 2019. The lyric says those two look similar in respect that they were victims of the forceful power who ordered wrongdoing against their wills. Also the poem points out that the public's funny silence once the government put those victims as "heroes" or 英霊 in Shintoism Shrine. Another thins caught my attention is the fact that his reference covers from Alice in the Wonderland ( the card soldiers painting white roses into red ) to Takeshi Kitano's Yakuza films.

Yes, I mixed his spoken words with the bass line I published on Facebook yesterday. I added some samples, loops and synthesizer sound. Enjoy!


このように、歌や詩は日記や新聞の要素も持っていると思うので、世相を受けて書く作品を増やしていきたいし、書くことで状況をクールに見つめたり、自身の気持ちを記録していきたいです。

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