見出し画像

選んだもの、選ばなかったもの

「転職はレールに乗らない初めての大きな選択だ」
以前、動画でこんな話を聞いた記憶がある。

きっとこれは人によるのかもしれない。とはいえ、受験や学生時代の就活は同じタイミングで同じように選択をする仲間が大勢いる一方で、同じ時期に選択をする仲間がいない中で「選択をする」という点では確かに転職が初めての大きな選択になる人は多いだろうと想像できる。

漏れなく、私もその一人である。

社会人2年目。勤続年数一年と数カ月。
私は転職を決断した。

きっかけも理由も箇条書きにすると複数出てくるのだが、端的に伝えると「3年後、現職で働いている自分の姿を想像しても好きになれなかったから」である。現職よりも異なる業界で、異なる環境で働いている姿の自分のほうが好きで、実際にその姿が実現できそうな場所にご縁があったため、現職を離れる決断をした。

さらっと書いたが、この決断はかなり迷った。というより、怖かった。

当たり前だが、転職をするという決断は、現職を辞めるという決断でもある。理想の姿を手に入れるという決断は、今お世話になっている方たちに少なからずよくない思いをさせてしまうという決断でもある。

経験の浅い今の状態で決断をすることが本当にベストなのか、現職の魅力的な部分を手放してもよいのか、たくさん考えた。キャリアアドバイザー、社内の先輩、同期、面接官などいろんな方に三者三様のアドバイスをいただき、たくさん混乱もした。

それでも私は次に進む決断をした。

そして今日、自身の決断を上司に初めて報告した。

本当は今週末に話そうと計画をしていたのだが、自分自身もそこまで先延ばしにすることに耐えられなさそうであったし、決断している以上早めに伝えるべきだとも思っていたため、今朝思い立ったように上司へ「予定のない時間で相談をさせてください」とお願いをし、時間をつくっていただいた。

会議室で私は上司に「退職したい」と伝えたのだが、その声はかなり震えていた。上司も驚いたと思うが、それ以上に私自身も自分の声の震えに気づき、驚いていた。今振り返ると、緊張に気づかないほど、なんと言葉にしようかを考え、どう反応されるかを感じ取ろうとしていたのだと思う。

もともと自分の思っていることをあまり口に出さないタイプで、本音を言おうとすると謎に涙が出てきてしまうタイプなのだが、案の定、上司の前でもポロポロと涙が止まらなくなってしまった。

それでも決断に至った理由、今後のことはきちんと伝えられた自分は褒めたいと思う。

上司は、私の言葉を最後まで聞いてくれ、自身の思いも言葉にして伝えてくれた。期待をしてくれていたこと、普段強い思いは口にしないがよく考えているからこそ、何か思っていることがあるのではと心配してくれていたこと、本当はもっと経験を積んでもらってから次に送り出したかったこと、考えて決断したんだろうから応援したいと思っているということ。

私は上司からの言葉を聞いて改めてこの方の部下になれてよかったなと思った。そして、「これが何かを選ばないという選択なのか」とも強く思った。次へ進むことを選んだからこそ、今の現状を続けていくことは選ばなかったことになる。自分がより良いと思う選択をしたはずだが、選ばなかった方へも目を向けると、傲慢だと思うが申し訳なさや戸惑いがあふれてきてしまうことを身をもって実感した。

だからこそ、今の私にできることは2つだけ。現職で残された時間を精一杯やりきること。そして、自分が選んだ道が正しかったんだと思えるように次のステップへ向かうこと。

ちゃんと選べた。だからあとは正解にしていくだけ。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

528,911件

#転職体験記

6,878件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?