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極東から極西へ15:カミーノ編day12(Villafranca〜Cardenela Riopico)
前回の粗筋
見覚えのある人達に再会して嬉しい気分になる。
前回
今回は、ビールをご馳走になってから、また考えごとをする話。
・Villafranca〜San juan de ortega
今回は寝坊せずに起きられた。
専用の封筒に宛先を書き、6€を入れて括り付ける。どうかちゃんと次の街に着きますようにと願いながら、軽装で出発する。
暗い中山登り。
気温が低い。
急坂の途中で水を飲んだらものすごく冷えていた。
途中で、ポツンと1人分のライトが追いかけてきた。速い。
道を譲るとサイモンさんだった。良い笑顔で手を振ってくれて、あっという間に視界から消えた。こちとら荷物を背負っていないのに、すごい胆力だ。
でもやっぱり荷物無しは良い。楽々登頂して後は下り坂。午前中暫くは日も出ていないので涼しいし、歩きやすい。鳥の囀りを聴きながらのんびりと歩いた。
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うっすら明るくなった頃、山の途中で再び食べ物販売の車がいたけれど、未だに準備中だった。
「どこから来たの?」
「日本です」
「遠くから来たねぇ」
なんてやり取りをしながら通り過ぎた。
歩くこと2時間半で、サン・ジュアン・デ・オルテガ。
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カスティージャは、カステラの語源になった場所。
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流石に何か食べたいなあと思ったところで、良い感じのカフェを発見した。昨日沢山食べたし、荷物がほぼ無いとは言え、多分半端ない運動量。お腹はぺこぺこだ。ガラスケースの中を見ると何やら美味しそうなパイが鎮座している。
「これは?」
「ポジョだよ」
ポジョ……Pollo、鳥肉だ。
昼兼朝ごはんでいいかと即決した。外のベンチであっという間にもぐもぐした後、出発した。ポジョパイはトマトとチーズも入っていてとても美味だった。
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LINEで家族にポジョパイの写真を送ったら、甥っ子が好きそうだと言う返信が来た。
店を出たら、カリマさんが現れた。やっぱりこの店で朝ごはんを食べると言う。山道の後はお腹が空くのだ。
・San juan de ortega〜Atapuerca
朝ごはんを食べて元気が出たのでサクサク次の街を目指す。Ages(読めず)の街の家の窓には牛の絵が描いてあった。矢印を追いかけながら歩く。
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アタプエルカにはすぐに着いた。どうやらクロマニヨンだとか、アウストラロピテクスだとかが住んでいた洞窟があるらしいが、道から外れそうなので敢えて寄りはしなかった。インフォメーションでスタンプを貰い、カフェを見つけて暫し寄るべきか迷う。
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でも、既にポジョパイを食べたことを思い出して通り過ぎた。街を抜けると真っ直ぐまた山の中に入っていく。
息は切れなかった。
DAY1のロンセスバージェスに至るピレネー越えの時とは大違いだ。登頂すると大きな十字架があった。
ベルギーから来たという男性に、写真を撮ってくれないかと言われて渡されたスマホのシャッターを切る。
お礼に私の写真も撮ってくれた。
・Atapuerca〜Cardenela Riopico
リオピコ村に着いて、予約のアルベルゲへ向かう。心配なのは、荷物がちゃんと届いているかどうか。
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小さな川? 分からないけれど小さくて静かな場所だった。
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荷物がついているのか心配しながら入り口を潜った。
「こんにちはー! 部屋はありますか?」
「予約はしてある?」
「してないです」
「大丈夫、ベッドならあるよ!」
ベッドは確保したが、肝心のザックが見当たらない。ドキドキしてくる。
「荷物は、届いてますか?」
「荷物……モチーラ(荷物/西)? まだその時間じゃないよ」
まだ時間じゃないと腕時計をトントンと指差して言うオスピタレロ。時間は大体12時過ぎくらいだ。
もしも封筒からお金が落ちていたら?
宛先を書き間違っていたら?
と、段々不安になってくる。暫く庭にいると、やがてガタガタと音をさせながら車が坂を登ってきた。二人組の男性が、荷物をおろしている。その中に自分のバッグパックもあった。良かった……。
ベッドをセットして洗濯を済ませてのんびり日記を書く。やがて知った面子がぞろぞろやってきた。ベルギーからの女の子、カリマさん、多分イタリア人の男性。
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早く次に着きたいなあと、残り2、3kmで思う事しばしば。
小腹が空いたので、カリマさんと出かけて、近くのアルベルゲ兼レストランに行くことにする。 お店はまさにシエスタに入るところで、カマレラは少し不機嫌だけれど、トルティージャとジュースを出してくれた。
外のテーブルに陣取って食べ始めるとサイモンさんがやってきた。ビールを奢ってくれると言う。カリマさんと気持ちだけ受け取るつもりだったのだけれど、謙遜と取られてしまい、一杯をシェアする形でご馳走になった。
すぐに真っ赤である。
多分十数年ぶりにビールを飲んだ。ワインよりは軽いはずだけれどあっという間に回ってしまって会話を覚えていない。スマートに断る方法を考えなければなあと思いながら、解散の流れに乗って教会の横の木陰に避難。
暫く伸びていた。
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多国籍晩餐会では、もう間近に迫ったメセタ(乾燥した高原。精神力を試される大地らしい)の話題で持ちきりだった。
私はあろうことか帽子と洗濯バサミをスーツケースに入れて先にサンティアゴへゴールインさせてしまっていた。日陰がほぼ無い、真っ平でただ只管ブルースクリーンみたいな青空が続くこの道を歩くには、帽子は必須なのでどこかで買わなければいけない。
ベルギーのハンナも帽子を買うのだと言っていた。
「多分ブルゴスにお店があると思うんだけど」
「ブルゴスは大きな街だからきっとあるよ!」
何人かのお墨付きをもらったので、多分大丈夫だろう。
既に顔が赤い(ビールの名残)せいか、ワインはほとんど注がれなかった。
「ブルゴスで友達を待つのかい?」
「ええ、ブルゴスなら、バスやタクシーがきっと停まるからそうしてみてって言ったんですけど、歩いてるみたいで」
「歩いてるなら大丈夫だよ!」
「そう、きっと大丈夫よ!」
前から私とSさんのことを知っている人達が口々に言ってくれた。
待つべきか、待たざるべきか。
先に行って欲しいと言う返答をもう既にもらっている。自分と彼女の気持ちに沿うなら、先に行くべきだろう。
でも実は「ブルゴスには多分寄ると思います」と言うLINEの言葉が引っ掛かっていた。
ブルゴス〝には〟
とは、それ以上の道のりは考えていないような気もする言葉に見えるわけで。気のせいなら良いのだけれど、なんと言うか、区切りのような、けじめのような。
クラリッサに人の事で悩みすぎるのは良くないとアドバイスをもらったばかりなのに、悩んだ夜になった。
次の話
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