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極東から極西へ26:カミーノ編day23(Leon〜Villa de Mazarife)
前回の粗筋
レオン2日目は観光して回った。
お祭りの最後にすごいものを見た。
前回
今回はレオンを出て、オルタナティブルートを進む予定。まさかの嬉しい出会い!
・Leon〜オルタナティブルート
朝はマーケットでカリマさんと買ったチーズケーキだった。1/2で18€。それをシェアしたので日本円で一切れ1500円。お祭り価格とはいえ中々の値段だ。部屋を出てベンチで食べながら、本当なら丁寧に淹れた珈琲と一緒が良かったなあなんて思う。
ふわっふわのベイクドチーズケーキは、珈琲と一緒じゃなくても美味しかった。
アルベルゲを出る前にキッチンで水を補給した。ついでに、ゲストブックがあったのでパラパラめくって見ると日本語が。
不意に出会えると嬉しい日本語。サンティアゴまでの距離が書いてあり、そうか、もうそんなに来たのかとしみじみ思う。
私の前にもここに2日滞在した方がいたんだなあ。体調悪くしたみたいだけど、大丈夫かなあ。
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皆が前日話していたのは、オルタナティブルートがある、ということ。北側は幹線道路沿いだから、南が良いと言う話をしていた。
パラドール(歴史的な建物を改造した豪華なホテル)の横を抜け、のんびり歩く。私の1日のリミットは28km。楽しく歩くなら25、6kmがベストだと分かっていた。あまり早く歩きすぎると、アルベルゲが開くまでかなり時間を潰さなくてはならない。逆に遅すぎてもザックの重さを無駄に感じるようになって疲れてしまう。
程良くのんびり、が楽しい。
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庁舎かなあと思いながら近づいてみると……。
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一回泊まりたいなあとか思っていたこともありました。
靴と服と化粧とザックじゃないバッグがいるでしょう。
南、南、と唱えながらアプリの地図と睨めっこしながら歩く。レオンで二泊した為に今日は三人のお婆様方に合わない。そして何故かロジャーさん親子にも会わなかった。
分かれ道で無事にオルタナティブルートに入る。大きな道路をバイクが走り抜けていった。いいなあ、羨ましいな。
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真っ直ぐ行く人も多い。
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ざかざか歩いていると、カリマさんから連絡が入る。
「あなたのネックスカーフ私が持ってるわよ。私の紙袋の上に落ちてたの。後で渡すわね」
「どこかで落としたのかと思った! ありがとう!」
そう言えば、出発時点で無かった気もする。
何かを無くしそうになる度にキンチョールの事が頭をよぎる。
レオンから続いた都会らしさはなりを潜め、畑の中の一本道を歩いて行く。時折小さな村は通るけれど、静かで良い道だ。太陽が昇り、気温はじわじわ着実に上昇する。
メセタっぽさは薄れてきたけれど、暑さが酷い。首元に水を掛けて冷やした。
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暑くなる前に村に入りたいな。
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・オルタナティブルート〜Villa de Mazarife
マサライフェ村には、そんなに急いでいた訳ではないのに、割合あっさりと着いてしまった。
ここはアルベルゲが3箇所しかない。収容人数は皆そこそこあるし、SJPPで配られた行程表の予定は更に先のHospital de Orbigo(オスピタル デ オルビゴ)となっているから、多分泊まれるとは思う。
アプリを開いて各宿のレートを見る。
どれも割と良いけれど、一番近い宿に決めた。ネックスカーフの返却と、カリマさんにチーズケーキ代も払わなければならない(シェアしたケーキ分)。
マサライフェに着いたよ、と一報入れると「私ももうすぐよ」と返事があった。
歩くペースが一緒だから結局カリマさんとは会うのだし、無理にスケジュールを崩す必要もないし、自然な事なのかもしれない。
残り日数も距離も少なくなってきて、このまま一緒にゴールなのか、果たして見知った仲間とバラバラになるのか、そんなこと誰にも分からない。じゃあ、折角の出会いは大事にしよう。
先に来ていた男の人がオスピタレロと何か話している。
「今の聞こえた? 30分待ってくれだってさ」
「椅子に座っててとは聞こえたよ」
30分待つと、やがて呼ばれて無事にチェックインできた。先に入った男性は私のチェックイン手続きの最中にやってきて、オスピタレロに何か訴えている。
「レストランはあるか?」
「ああ、その道を真っ直ぐ行って右側に曲がるとあるよ……でも夕飯はここで食べ……」
「夕飯じゃく今食べたいんだよ。開いてるのか?」
「レストランは開いてるし、売店も近くに」
「ああ、もう! 分かったよ」
売店とパン屋は14時までだよ、と言う声が聞こえていたのかいないのか。男性は外に消えていった。
何でそんなに苛々していたのかは分からないけれど、オスピタレロは丁寧に英語で答えていたし、私でも彼の言っている事はきちんと理解できた。
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壁に夕飯のメニューが貼ってある。
シャワーを終えると丁度カリマさんがやってきた。チーズケーキ代を支払い、ネックスカーフを受け取る。洗濯を終えると、ロジャーさん親子がやってきた。
皆ルーチンワークがあるだろうから、私は一人で街を散策。朝ごはんに食べたチーズケーキの事を思い出して、とても珈琲が飲みたくなったので、オスピタレロが男性に教えていたレストラン兼カフェ兼アルベルゲに行ってみた。
すごく感じの良いカマレラで、淹れてくれたカフェ・コン・レチェは凄く美味しかった。
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ひょうたんの水筒がトレードマーク
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クッキーはよく付いてくる。美味しい。
戻ると隣のベッドに何回か会ったことのある女性がいた。
「リネットよ。よろしくね」
「常です。日本から来ました。あなたは?」
「私はアメリカよ」
ゆっくり話してくれるので聞き取りやすい。
時々、頭から湯気が出るくらい集中しないと会話の内容が分からないくらい早く喋る人がいる。夜にはかなり疲れてしまうのだけれど、マリンカさんやリネットさんは察してくれていたようだ。
気遣いがありがたかった。
・三度目の出会いと、晩餐会
ロジャーさん親子とカリマさんに誘われて軽食を庭で頂いた。
その後、アジア系の人が二人庭にいるのを見かけた。二人が来た時に挨拶はしたけれど、イントネーションになんとなく引っ掛かりを覚えていた。そして、聞こえて来た会話は……。
「あの、ひょっとして、日本人ですか?」
「えー、そうです! うわー日本人?」
思わず声を掛けたらやはり日本人。
関西弁のあやさんと、ひろさん。
二人は結構な確率で日本人に出会っているらしい。
「うちら、ずーっと日本語で話しとるやんか。だから日本人だって分かるみたいよ」
「なるほど〜。私、気がつかなかっただけなのかも。みんな韓国の人に見えて」
「韓国人、多いよな!」
日本人との三度目の邂逅だった。
ディナーは、アルベルゲで。
時間に呼ばれて行くと隣に日本人のお二人。普通の早さで会話できるありがたさをしみじみ味わう。
カミーノブートキャンプは、英語・スペイン語ブートキャンプでもある訳だけれど、思った事を即言えるのは本当にノンストレスだった。
あやさんは、まさかの同い年。「同期じゃん!」と喜び合う。彼女はロンセスバージェスでアルベルゲから夜に締め出されるという、稀有な体験をしたらしい。本当は大変な事なのに、テンポよく面白おかしく話すものだから笑いが止まらなかった。
ひろさんは熊野古道の近くで日本版アルベルゲを開くらしく、HPを教えてくれた。日本に帰ったら行ってみようと思う。
多分、今回のカミーノのお話を色々聞けると思う。ロンセスバージェス のお話は特に抱腹絶倒間違いなし。
カミーノには今しかない、というタイミングがそれぞれあるらしい。確かにそんな風に前に思ったことがあるけれど、お二人も似た考えだった。
このアルベルゲの料理は今までで1番か2番くらいに美味しかった。
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周りのソースがめちゃくちゃ美味しい。
葉っぱの盛り合わせじゃないことに感動する。
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米……米だよ……。日本の米じゃないけど美味しい。
嬉しい。嬉しすぎておかわりした。
レオンではラーメン屋さんを探して、怪しげなうどん屋さんしか発見出来なかったので涙が出そうだった。
食後にロジャーさん、カリマさんと散歩をした後で、寝袋に潜り込んだ。
マリンカさんから良いアルベルゲ情報が来たので、明日はそこに行ってみることにする。
次の話
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