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極東から極西に行くことにした⑩:カミーノ準備編・ユーはどうやってフランスへ?

 前回の粗筋
 退職するのでちょっとだけセンチメンタルな気分になった。





・飛行機の時間


 行きは日本からフランスまでの直通便を使う。ここで大きな問題が一つ。それは私が飛行機初心者ということ。
 普段大体移動は車かバイク。都内にだったら電車の3択で、飛行機なんてかなり縁の薄い乗り物なのだ。
 国内線は辛うじて、飛行機慣れしている友人(実家帰るのに飛行機に乗るから)に連れられ、ごく最近乗った。そしてなぜか検閲? で引っ掛かってヒヤヒヤさせていた。

「あんねー……調べたら1時間くらいあればいいのかと思ったんだけど、国際線だと2〜3時間前にはいた方がいいんだって」
「あれ? 飛行機の時間何時でしたっけ」
「9時35分」

 Sさんとの恒例の、会話できる時にする短い相談。
 
「あらー、そうでしたっけ。早いっすねぇ」
「そう、早いんだよね。さてどうするかなあ、電車の始発……は無理みたい。国内線なら間に合うけど、国際線は無理そう。そうすると夜行バス?」

 答えの出ないまま、ナースコールに呼ばれて会話は中断された。
 そのまま忙しく働いて、その日は帰って死んだように寝てしまって何も調べられなかった。



・夜行バス、どうでしょう


 羽田に辿り着くのにも難儀するようでは先が思いやられる。休みの日に取り敢えず夜行バスを調べることにした。


夜行バスの時刻表。丸が大雑把。どれに乗りたいのか分かりにくいが、3:50分のを狙っていたらしい。


 2、3時間前だと3時台に自宅から車で1時間ほど離れた駅近くのバスターミナルに行く必要がある。車で行けないから終電でターミナルの最寄りまで行ったとして、3時間以上荷物を抱えて待たなければならない。

「……。現実的じゃないなあ。でもパリでお金使うし」

 パリのシャルル・ド・ゴール空港から、モンパルナス駅のある市街地まで移動するのに交通費がかかる。到着時間的に宿泊も必須で、やっぱりそれなりにお金がかかるのだ。

「前乗り……うーむ、空港近辺って何もないんじゃ……」
「いや、あるでしょ」

 珈琲を飲んでいた母に呆れたように言われた。
 空港は母の方が詳しい。父の仕事の関係で私達一家は暫くカナダに住んでいたことがある。渡航と、現地での生活を一から調べた人だから説得力がある。
 因みに、カナダに行くのは旅行だと思っていた子供の頃の私。行ったばかりの頃、まさかの向こうの学校への転校にショックを受けた。暫くの間、休み時間にプレーリードッグを見ながら呆然と膝を抱えた。

「え、だだっ広いとこに空港だけあるイメージなんだけど」
「天候不順で帰れない人とか、早い便、遅い便の人とか、ホテル無かったらどうすんのよ」
「なるほど!」

 調べると空港直通のホテルがいくつかヒットした。これなら、余裕でカウンターでのチェックインが可能だ。

「昔あんたがタイ行くって言った時、夜行バスのとこまで送ってったじゃない?」
「え、そうだっけ」
「そうよ、夜中。あん時は学生だったから送ってったけど、もういい歳なんだし自分らでなんとかしな」

 そういえば20年以上前にタイに行った事があった。そうか、だから夜行バスの選択肢が頭の中にあったのか。にしても驚くほど空港の記憶が無い。
 Sさんに連絡し、夜行バスの値段と時間、ホテルの値段とメリットを伝え、相談の上前乗りすることとなった。

 一先ず羽田には着けそうだが、パリはまだまだ遠い。



・フランス市街地にはどうやって?


 シャルル・ド・ゴール空港からパリ市街地までは車で約40から50分離れているそうだ。中心地に行くのには三つの方法があるらしい。

 その一、地下鉄。
 安いし早いし目的のモンパルナスまで行けちゃうけれど、治安が悪すぎるので却下。一番下の妹に、奇抜な格好なら誰にも声かけられないよと言われたけれど、そんなフランス人もびっくりな服なんてない。
 デザイン系の学校出のお前さんと一緒にするでない。

 そのニ、バス。
 以前、空港からモンパルナスまでの直通バスがあったらしいが、現在は運行していないとのこと。とても残念だ。オペラ座まで行くロワシーバスはあるそうだけれど、オペラ座からモンパルナスは約4kmほど離れている。+アルファで安全に荷物を運ぶ交通手段が必要な為、難しいだろう。
 東京なら1時間程度なんて全然歩く(人間の歩行速度は個人差があるけれど大体時速4キロ)けれど、パリ着が夕方なので余りリスキーなことはしたくない。

 その三、タクシー。
 空港から市街地までは定額料金らしい。パリ右岸55ユーロ、パリ左岸62ユーロ。二人で使うので、料金的にもベター、いや、ベストな選択な気がする。白タクにさえ気をつけて無事に乗ることができれば、多分市街地まで辿り着ける。
 「××までお願いします」くらいはフランス語で言えるようにしておこう。あとは、いざとなったらホテルの住所をメモって渡そう。


 余談だけれど、昔見たNHKのフランス語会話のワンフレーズを今でも覚えている。

 C'était quand notre mariage ?
(僕たちの結婚式はいつだっけ?)

 そんな馬鹿な問いある!?
 と思ったら、質問投げかけられた相手の女優さんもテレビの中で自分と同じような反応をしていた。

「セ・コン、ノートre、マリアージュ?」

 今回の旅行では使いそうもない。


 段取りはつけたけれど、ウィーはちゃんとパリに着く事ができるのか?

 正直とても不安である。





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