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【アメリカ渡航】母の旦那さんの話【1月16日】

ここ最近

母の体の調子が良くなったり、悪くなったりと、差が激しい。
一日のうちの活動時間がどんどん減っている。
ご飯と薬を飲む時間以外、だいたい3〜4時間ほど喋ったりするが、ほとんど寝ている状態の母を見ているのは、なんというか暇だ。
この状況にも慣れてきた。はじめの方はアレコレといらない世話を焼いていたが、どんな状況下でも人は人で、執拗に構われ続けるとうっとおしくもなってくる。
それは母も同じで、ぼくも同じだ。やっぱり緩くつながりたいというのが性分というか気質というか、そういうものなのだろう。
ただ、旦那さんに関してはアレコレと世話を焼きたくなるタイプなので、それはそれですごく助かっている。
どっちが良い、という話ではなくてどっちも良いという、そういう話だ。

旦那さんの話をしようとおもう。

彼は元軍人だ。今年で63才になる。ドイツ系アメリカ人で、性格は温和でたまに毒舌。
ジョーク好きの彼はしばしばブラックな話題を口にする。人種や宗教の話題で、系統としてはブリティッシュジョークに近い。日本の井戸端会議などでは話されなさそうな話題だ。
幼少期、礼節や作法はきちんと教えられて育った。
今の彼自身も、他人をないがしろにするようなタイプではないし、尊重しあう精神を持っている。
ただ、食事作法に関しては少し思うところがあるようだ。(床にボロボロとこぼすとか、壁にソースがつくとか、後々掃除に手間が掛かりそうなものはあまり好ましくないようだ。彼と同じく、ぼくもそう思っている。)
彼には離婚経験がある。15年ほど前、最初の妻と別れたとのことだが、話に聞く限り相当な泥沼だったようだ。
といっても彼の主観によるところもあると思うので、中立的に書くが、親権を持たない彼が支払った養育費はすべて元妻への贈与としてみなされ、およそ10年間、実際には離婚をしていないことになっていたようだ。
つまり、彼にとっては10年間子どもたちの養育費を払った後に改めて離婚手続きを踏み、財産を分与したことになる。
あまりお金に執着のない彼も、これには参ったと言っていた。
笑いながら話す彼に、ぼくも同じ男としてすこし参ってしまった。

。。。。。

彼は母に対して非常に甲斐甲斐しく尽くす。
妻の尻に敷かれている、とは少し違っていて彼は文句を言わない。
そういう気質なのだろう。母の喜びが彼の喜びで、またその逆もしかり、用効果がお互いに作用している。
母と出会ったのは10年ほど前で、当時は他の男も含む3人で仲が良かったようだが、もう1人の男が『お金と地位で女の人の気を惹こうとするタイプ』だったため関係が破綻し、成り行きで2人になった。ということらしい。(この件に関して、母いわく「面白い人だったんだけど、断ったら嫌がらせされた。そんなとき彼は一緒に居てくれた。」と言っていた)

。。。。。。

彼とぼくはガレージの喫煙所でしばしば話す。
母は入ってこれない男の巣だ。こういうのをメンズケイブというらしい。
彼の経験はぼくにとって全くの未知であるため、とても面白い。
といっても軍事機密に関わるような、本当に面白そうな話はしてもらえない。口が堅いのだ。当然のことだが、すこし残念に思う。
そしてごく稀に涙を見せることもある。
彼は母の前では泣かないのだ。それは彼のポリシーによるもので、ポジティブに、母の癌が奇跡によって治るように祈っている。反動。

。。。。。。。

彼はぼくたちをチームという。カフェイン中毒の2人チーム。
支え合っていけたら良いと思う。本当にそう思う。

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