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【ゲームエッセイ】ゲームテキストのデザイン力。「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」

ペルソナシリーズはゲームとして
RPGとしてとても面白い。

時代は変わっても人間の"心"を
扱うので、時代にカンケーなく楽しめる。

"若者向け"と言うと学生メイン。
青い・未熟といったイメージが先行しがち。

実際ヒットしているのは若い子もいるだろうが
コアなファンは皆熟したオトナである。

ペルソナを手がけているのは
いいお年の"オトナたち"だしね。

「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」は
若者が主人公だから"ことば使い"が若い。

お見事すぎる「ら抜き言葉」で
普段話している言語と違和感がない。

たとえば「やってらない」
正しくは「やってらない」になるだろう。

シチュエーションによるけど
普段は「やってらないよね」と言う。

"らりるれろ"はポジションが悪いのだ。

文章としては上のシチュエーションに
"よるけ(れ)ど"が正しい。

やっぱり"ら抜き"は自然。

ゲームは違和感を持たせない工夫の塊。
テキストひとつ、文字ひとつで印象が変わる。



事件の捜査中、仲間のひとりが
行方不明になり、メンバーが探しに向かう。

捜索中女友達のひとりが
力の解放で疲れ切ってしまった。

疲れている場合じゃないのに!!と意気込むが、
状況を察しているメンバーは彼女を止める。

メンバーのひとりのクマが

「無理しちゃイヤクマ!

と言う。


イヤ!」

ここで同じ状況ならば、ぼくは

ダメ!

と言うだろう。とっさにしてもぜったいに
ダメ!」と言える自信がある。

もしクマが

「ダメ!」

と言いはなったらどうだろう?

「ダメ!」って命令口調だし、
相手の事を思っているようで
じぶんの事として言っている気分になる。

「ダメ!」と言われたら
すぐにでも追いかけたい彼女のハートに
火がつきそうだし、
"大丈夫!"って言い張りそうだ。

もしかしたら「うるさい!」と言われ
聞く耳持たずでケンカ別れ…なんて展開も。


なによりも先に行きたいのは彼女ではなく
"プレイヤー"である。

ストーリー的にも先が気になるシーンなので
余力さえあれば突っ走りたいところ。

それをクマが

ダメ!」と止めたならば
「なにおう!?」とケンカ腰になりそうだ。

ぼくだけだろうか?

だがクマはやさしい性格でもあるし
「イヤクマ!」と訴えることで心に響く。

「イヤ!」ってとことんじぶん目線だよね。

命令でもない、相手の事を思うことでもない、
完全主観のひとこと。

子供らしさも兼ね合わせ
いかにも"クマらしい"発言。

「イヤ!」と言われたら
「あ、ごめん・・・」と冷静になれるし、

こちらも「クマを傷つけるつもりはないんだよ」
との意思も生まれる。





たったひとつのテキストで
印象もモチベーションも変わる。

ゲームはプレイヤーがいて
プレイヤーがインタラクティブに関わる遊び。

「無理しちゃダメクマ!」
「無理しちゃイヤクマ!」

ダメと言われたら・・・

進みたくなるのは
人間のゴールデンなサガですよね。






コケでした〜。

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