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元日の過ごし方

 子どもの頃は、元日の朝「おかんし」をするのが慣わしだった。「おかんし」というのは、高知県や愛媛県宇和島市などに伝わる、お正月の風習である。

 床の間に飾られた鏡餅に向かい、お屠蘇を頂く。そしておせちを少しずつ食べながら、「レンコンは先を見通せるように」「黒豆はマメに働くように」などという言われを、祖父母たちから聞くのだ。

 まだ祖父母が存命だった頃は、毎年この「おかんし」をした。子ども心に神聖な気持ちになりながら、金箔の入った日本酒を飲み下したものだ。お酒は口には合わず、急いで黒豆を口に放り込んだのも懐かしい。

 さて、今年は東京から弟家族が帰って来た。5歳の姪は、わがまま放題やりたい放題である。せっかくの「皿鉢料理」も一瞥しただけで食べず、かまぼこを一口食べて「これ、きら〜い」と言った。

今回取ってみた皿鉢料理

 お寿司はイクラを数個食べたきり、すぐに席を立ち遊びに行った。これでは「おかんし」どころではない。難しい年頃なのだろう。2歳の姪は何やらお寿司を頬張っていた。「オイシイネー」などとよく食べる。

握りもあるぜよ

 ちなみに高知県人は12月中に仕出し屋から皿鉢や握りを注文しておく。皿は後日店に返却するという仕組みである。これで昔は「おきゃく」と呼ばれる宴会をしていた。

 おせち料理は地元スーパーの経営する寿司チェーンで注文したもの。早期注文でお餅が付いてくるというお得さ!ここの栗きんとんがはちみつ風味で美味しいのだ。

お重に入ったおせち

 食べ終わった後はお楽しみのお年玉タイム!我が家はなぜか大人たちにもお年玉があるのだ。なぜか5歳の姪はイヤイヤ期なのか、「お年玉、いらな〜い」などと言っていた。まっこと難しい年頃である。

 その後は初詣に出かけるのが恒例だが、今回は時間の都合で後日になった。そうそう、お雑煮のことも書いておこう。

 高知のお雑煮はすまし汁仕立てに角餅である。具といえば水菜や青菜のみのシンプルなもの。これは父方の祖母の方で食べた。神聖な元旦の食事は、あっさりと行きたい。

 母方の祖母の方は関西風の、白味噌に丸餅だった。具沢山でお昼ご飯代わりに食べて美味しかったのを思い出す。私はどちらのお雑煮も好きだ。

 昔景気が良かった頃は、正月の福引大会がどこそこで行われていた。寒風の中、店に並びに行ったのも良い思い出だ。自転車とか任天堂のWiiとか、結構豪華な商品が当たったこともある。最近ではすっかりそんな福引は影をひそめた。

 あっという間に三が日は過ぎて行く。ゆっくり正月気分を味わう間もなく、姪たちに揉まれる日が続くだろう。

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