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高知の八彩帖(ヤイロチョウ)11・「おきゃくと皿鉢」

 かつてとある会社のサイトに連載していたショートエッセイです。高知のあれこれを書いています。書いた時期が春なのでご了承ください。

 今回のテーマは「おきゃくと皿鉢(さわち)」。高知県人は酒豪で知られていますが、その飲み方も豪快。

 高知では宴会のことを「おきゃく」と言います。そのおきゃくに欠かせないのが「皿鉢(さわち)料理」。大きなお皿に何種類もの料理を盛り付けています。法事などには欠かさず皿鉢が出ていたものです。

 今は時代背景やコロナの影響もあり、すっかり皿鉢が出るおきゃくは減ってしまいました。親戚で皿鉢を囲む光景は、子どもの頃の懐かしい思い出です。

 土佐路の春といえば、コレ、「土佐の大おきゃく」。街をあげてみんなで酔っ払うというトンデモイベントである。デハラユキノリ氏の「べろべろの神様(ところで神様の股間に付いている丸いモノは何だろう?)」をたてまつり、いざ、おきゃくの始まり始まり〜♪

 …いつぞやのニュースで見たことがあるが、教育熱心なことで有名な某県(N野県だったか?)で、「お城を見ながらクラフトビール試飲会」というイベントが開催されることになった。

 ところが、どこぞの団体から「文化財でアルコールとはけしからん!」というお叱りが入り、あえなく中止となったらしい。なんたることかである。

 高知県なんか文化財どころか、真昼間から街のど真ん中のアーケードにこたつを広げて、飲めや歌えやの大騒ぎである。誰も反対する人なんていない。N野県人の気が知れぬ。あたしゃ高知県人でつくづく良かった。

 おきゃくに彩りを添えるのが、皿鉢。昔はお正月に祖父母が頼んでくれた皿鉢を、親戚一同で囲んだものだ。冠婚葬祭にも必ず皿鉢が出ていた。ただ、コドモの私には食欲をそそられる食べ物が乗っていない。

 エビフライと唐揚げ、それに激レアアイテムの蟹グラタンをいかに手に入れるかばかりを考えていた。また、皿鉢でしか見たことない「マイゴ」や「チャンバラ」といった貝、あれはどこまで食べるのが正解なのか今だに分からぬ。

 父親世代は、誰が鯖寿司の頭の部分を取るのかで忖度し合っている。翌日に焼くと美味いのだよね。そうそう、皿鉢と言えばあの蛍光色の、通称「ケミカル羊羹」!

 毒々しいピンクとグリーンでニッキの風味、しかもなんかゴリゴリした歯触りで、コドモの私には全く美味しいと思えなかった。あれは父親世代には好評らしい。箸休めか何かなのかね?

 おきゃくに花を添えるのがよさこいやしばてん音頭。実は小学校の運動会で、しばてん音頭を踊ったことがある。図工の時間に河童の皿と甲羅を作った記憶が。音頭系の踊りは大好きなワタシ、今でも少し踊れるぞ。春らんまん、おきゃくでおおいに盛り上がろう!

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