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言葉の花束ーアキの詩集No.29

1.「普段の私達を見せれば良い」


私の働く老健にて
今日は社長が来るというので
朝から事務所がバタバタしていた

あそこが汚れているから
掃除しよう

ここに荷物があると
体裁が良くないから
この部屋にしまおう

施設のお偉いさんが来るからと
出迎える準備で忙しい

確かに
それ相応の対応は必要なのかもしれない

けれども
施設巡視というのは
本来、普段の様子を観察するものではないか?

ならば
色々指摘されるのはまずいからと
普段ではしないような片付けや掃除をするのは
すごく違和感がある

もう少し
自信を持って良いと思う

現事務長さんは
本当に丁寧でしっかりしているし

スタッフの皆さんも
だいたいの人達は
本当にまずいことはしていない

普段の私達でいいと思う

そもそも
どんなに体裁を整えても
普段の行動は
そう簡単に変えられるものではない

どうせ分かってしまうのならば
普段通りにやって
「きちんとやってます」と示せばいい



2.「たとえそこが地獄のような環境でも」


たとえそこが

痛くて苦しくてたまらない
正気を保てないような
地獄のような環境だとしても

私は
幸せな心を失わず

歌を歌い続けたい

その歌で
自分だけでなく
その場にいる人達に

少しでも安らぎや
癒しがもたらされれば
それほど嬉しいことはない



3.「彼は私にとってのアイドル」


気になるリハビリ課の彼が

施設の利用者さんとの会話で
「うちの妻が…」
なんて言っているのを聞いて

お、マジか…

衝撃を受けた

そりゃそうだよね
あんなに優しくて
面白くて
良い人が

独り身なんてこと
ないよね

勝手に
フリーの男の人だと想像して

何気ない仕草や
たまに冗談言って
笑わせてくれることに
きゅんきゅんして

関係が発展するのは無理だとしても
きゅんとする時間が
少しでも続いてくれたらと
願ったりして

あぁ
そうなんだ

でも
いいや

ショックの反面
ほっとしている自分がいる

側にいられない人だと
分かっていたから

現実を突きつけられ
むしろ安心している

彼は
好きは好きでも
アイドル的な方の好きに
近かったから

アイドルが結婚しても
好きの気持ちは
変わらない

これからも
彼をこっそり見つめては
きゅんとする

そういう日々に
喜びを感じたい



4.「晩秋の散歩」


日曜日の朝
眠りすぎて
なまった体を起こしたくて

お日様も顔を出し
辺りが明るく心地よさそうだったので
家の裏のあぜ道を散歩した

人通りが少なく
聞こえるのは
虫たちのちりちりと鳴く声や
農夫婦の語らう声

どれもうるさ過ぎず
心地よく響いてくる

そして
温かな日差しとは対称的に
冷たく吹いてくる風

上着を着てこなかったのは
冷えた風を感じたかったからだ

あぜ道の草が
所々白くなって
からからと枯れている

田んぼも
稲を全て刈り終えていて
新たな緑色の稲が生えたところもあれば

焼き畑をしたのか
黒く、または灰をかぶって白くなっている
ところもある

家を出たときに感じた
灰の臭いは
どうやらここから来たらしい

灰の匂いも香しく
どこか懐かしさを感じる

白や黒に変化した田んぼも
また晩秋を感じさせてくれて
風情がある感じがする

夏の終わりだったか
秋頃だったか忘れたが
用水路で見かけた
黒の蜻蛉は
もう見かけない

どんどん冬へと
季節は進んでいく



5.「光と闇の共存」


私は調和を求める

光と闇は
単体で存在することは無い

眩しすぎず
暗すぎない

正しすぎず
悪すぎない

お互いが
程よい濃度で溶け合い
存在しているから

全てのものが
それとして存在でき
認識できる

だから
光と闇は
どちらが欠けてもならない

光と闇が
共存する世界にこそ
物事の調和があり
平和がある

完全な正義もなく
完全な悪も無く

見方や捉え方によって
どちらとも取れるのは

正しすぎず
悪すぎない
光と闇の法則が存在するのと
同じ原理だ

ならばこそ
どんな存在であっても

悪だと決めつけて
攻撃はせず

認め受け入れ合うこと

成長を見守り
段階づけて
成長を促していくこと

それが大事

失敗も過ちも
つまずきも
悩み苦しむことも

答えを出していくことを繰り返し
さらなる最適解を導き出していくことに
必要な過程だ



6.「早く支援者になりたい」



何で掃除しているんだろう?

以前
務めていた仕事は
仕事が上手く出来なくて悩み
辞めてしまった

今の仕事は
分からないこともないし
出来ないことも無い

自分のペースで
自分のしたいように出来る

自分の考えをもとに
色々工夫して
発案したりして
好きなように出来ている

それでも
毎日がしんどくなる

出来ないしんどさではない

出来はするけれど
仕事の大部分が
単純作業の繰り返しだから

マンネリ化して
刺激という刺激がほとんどない

だから
もっと色々考えたくて仕方が無い

作業中は
頭の中で好きな音楽をイントロし続け

それでも鬱憤が治まらなければ
日々の出来事や悩みなどを振り返り
自問自答し続ける

空き時間は勉強して
できる限り
考えるようにしている

それでも
もう駄目だ

掃除という仕事
この単純作業を毎日繰り返していると
気がおかしくなる

本当にやりたいことは
こんなことじゃない

今でも諦めていない
支援の仕事

身体系の作業療法士の仕事は
諦めたけれど

元々興味があった
精神、発達分野の方で
精神保健福祉士の資格を取得して
生活、就労支援をするという
新たな夢を
私は抱いている

4月から
通信の受講が始まる

それが良い刺激に
なってくれればいいけれど

それまで
保ってくれるかな?

本当は
支援について沢山
考えたい

自分の頭は
支援に関わる色々なこと
支援を必要とする人々のために
使わなきゃいけない

それが上手く出来ていないから
エネルギーが溜まりすぎて
自滅しかかっている

早く
駆け出したい

早く支援者になって
世のため人のために
尽くしたい



7.最後に(詩の解説)


1.の詩

私の勤める老健にて社長巡視がありまして

その時の施設の様子と自分の心情を綴りました。

2.の詩

哲学的な詩です。

3.の詩

私の勤める老健で働く

片想いの相手であるリハ科主任さん(理学療法士さん)が

既婚者であることを知ってしまったことを

詩にして綴りました。

4.の詩

日曜日の朝に

家の裏のあぜ道を歩いていて思ったことを

綴りました。

5.の詩

光と闇について書いた哲学詩です。

6.の詩

掃除の仕事がマンネリ化し

精神的に苦痛になったことを率直に綴りました。


最後までお読み下さりありがとうございます(^^)/


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