上咽頭炎で鼻の奥が痛いときに試したい鼻うがいのやり方
鼻と喉の奥が痛い…と感じたら、それは上咽頭炎の可能性があります。鼻と喉の奥にある上咽頭が炎症を起こしている状態で、実はこの上咽頭炎になるとさまざまな不調を引き起こすとも言われているのです。
上咽頭炎についてはまだ医学的に全容が解明されていないので、全て上咽頭炎が原因とも言い難い部分ではありますが、現在解明されているだけでも上咽頭炎が原因でさまざまな不調が起こるとされています。
鼻の奥の痛みだけではなく、肩こりや頭痛、全身痛といった全身の不調を引き起こす可能性がある上咽頭炎。
そんな上咽頭炎に最適なケアが鼻うがいです。鼻とのどの繋がっている奥の部分である上咽頭をすっきり洗い流すことで、上咽頭炎の原因であるウイルスや細菌を洗い流すことができます。
この記事では、上咽頭炎の原因や症状、ケアに最適な鼻うがいのやり方や注意点についてご紹介します。
辛い症状を抱えて悩んでいるという方は、是非参考にしてみて下さい。
上咽頭炎とは
上咽頭とは鼻と喉の奥の突き当り部分を指します。上咽頭に細菌やウイルスが付着して感染すると上咽頭炎が起こります。
そのほかにもさまざまな原因が上咽頭炎を引き起こし、上咽頭炎になることで体全体の不調を引き起こすこともあります。
口を空けても見えない部分にあるため、なかなか認知しにくい病気でもある上咽頭炎の原因や症状、対策を詳しくご紹介していきます。
原因と症状
上咽頭炎の原因として考えられるのは以下のようなものがあります。
細菌、ウイルスの感染
アレルギー性鼻炎
口呼吸
疲労やストレス
急激な気温や湿度の変化
副鼻腔炎
逆流性食道炎
細菌やウイルスが入り込むと、免疫機能が働き軽い炎症を起こすことがあります。軽い炎症の状態なら症状が現れることは少ないのですが、炎症が強くなると症状が気になってくるとともに治療が必要になります。
上咽頭炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。
のどの上の痛み
鼻とのどの間の痛み、違和感、乾燥
後鼻漏
肩こり
頭痛
耳管狭窄症
耳管開放症
過敏性腸症候群、胃もたれ
全身痛
このように、上咽頭炎が直接原因となる喉の痛みなどの他にも、上咽頭炎になることでさまざまな体の不調を引き起こすのです。
前途したように、上咽頭に異物が入り込むと免疫機能が働き炎症を起こしやすくなります。さらに、上咽頭の近くには血液やリンパ管が豊富に張り巡らされているため、炎症が血液やリンパ管を通じて全身に回りやすいというのが、全身の不調に繋がる原因です。
また、上咽頭は内臓の働きに関係している神経線維の分布もあります。そのため心臓、胃、腸に対して症状が出ることがあると考えられています。
上咽頭炎の診断
上咽頭は口を開けただけでは見えない位置にあるので、上咽頭炎の診断は耳鼻咽喉科で内視鏡の検査を行う場合があります。
急性上咽頭炎は上咽頭に赤みが発生するため、内視鏡で確認することで診断ができますが、慢性上咽頭炎の場合は内視鏡でも一部正常に見えることがあり、異常なしと診断されてしまうこともあります。
慢性上咽頭炎の場合は、綿棒にEAT治療(Bスポット療法)用の塩化亜鉛などを塗布し、患部を擦ることで出血や痛みが出るという反応で診断が可能となります。
治療法
上咽頭炎の治療は、EAT治療(Bスポット療法)という治療法を用いて行われます。東京医科歯科大学元教授の堀口先生によって考案された治療法で、上咽頭の消炎に効果的です。
綿棒に塩化亜鉛などの消炎剤をつけ、鼻の中からに塗布して擦過します。この治療法を行うと、前途したように痛みを伴う出血が確認できます。
しかし、治療中は痛みを感じますが、その後の痛みや後鼻漏、頭痛などが改善するというケースが多く見れられます。
慢性上咽頭炎の治療であるEAT治療(Bスポット療法)は、1度の治療で症状が改善する場合もありますが、週に1~2回のペースで10回程度を目安に治療を行っていきます。
家庭でできる予防法と改善策
上咽頭炎には、家庭で簡単にできる対処法があるのでぜひ試してみて下さい。家庭でできる対処法は、しっかり通院してEAT治療を行っているという方にも家庭でのセルフケアとして医師が推奨している内容になります。
症状をぶり返さない予防のためにも、一度上咽頭炎になってしまったという方は治った後も鼻うがいやあいうべ体操をすることをおすすめします。
鼻うがい
鼻うがいは、鼻の中に生理食塩水を流し込む方法で、のどのうがいでは届かない上咽頭に付着してしまったウイルスや細菌を洗い流すことができます。
ウイルスや細菌だけではなく、花粉やPM2.5、ハウスダストなどのアレルギー物質、インフルエンザや新型コロナウイルスのように小さいウイルスも除去できるので、アレルギー対策、ウイルス対策として行うのもおすすめです。
あいうべ体操
上咽頭炎の原因の1つに口呼吸という項目が挙げられていたのを覚えていますか?通常鼻から入った細菌やウイルスはが免疫器官としての役割を担っているので、上咽頭で退治されます。
しかし、口呼吸をしてしまうことで鼻からも口からも細菌やウイルスが入り込み、乱気流状態になってしまい、上咽頭炎を引き起こすのです。
口呼吸が癖になっている方は、夜寝るときに口にテープを貼るなどの対処をする必要がありますが「あいうべ体操」をすることで口呼吸から鼻呼吸に変える訓練をすることができます。
みらいクリニックの今井院長が考案して話題になっている体操で、舌の力がついて自然に口を閉じることができるようになります。
あいうべ体操は以下のようにして行います。
「あー」と口を大きく開く
「いー」と口を大きく横に広げる
「うー」と口を大きく前に出す
「べー」と舌を突き出して舌に伸ばす
この1~4までを1セットとして1日30セットを目安に食後などの決まった時間に毎日行うようにしましょう。
鼻うがいの効果的なやり方
上咽頭炎の治療には、鼻うがいが欠かせません。上咽頭を直接洗い流すことができるのは鼻うがいだけで、のどのうがいをするだけで上咽頭には届かないからです。
そんな鼻うがいですが、気を付けるべきこともいくつかあり、実際に鼻うがいを行うときは注意が必要です。
ここからは、鼻うがいの効果的なやり方や気を付けるべきことをご紹介します。
上咽頭炎に悩まされているという方は、鼻うがいをマスターして鼻の中をすっきりさせ、症状を改善させましょう。
生理食塩水を用意する
お風呂やプールなどで鼻の中に水が入ってしまってツーンと痛い思いをしたという経験は、誰もが感じたことのあることですよね。
鼻うがいと聞くとあのツーンとする感覚が蘇り、怖いからやりたくない…と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、鼻に水が入ってしまった時に痛む原因は、水と体液の浸透圧の違いにより起きているので、体液と同じくらいの塩分濃度にすることで、痛むことなく鼻うがいを行うことができ、鼻の粘膜に対する負担も軽減されます。
水1Lに対して0.9%の食塩を入れることで、生理食塩水を作ることができます。また、重曹が自宅にある方は重曹も入れるとより刺激の少ない洗浄液を作ることも可能です。
1回の使用量は200~300cc程度なので、200cc用意するなら塩は1.8g入れましょう。重曹を入れる場合は0.25g程度入れるようにしましょう。
生理食塩水は、一度作ったら使い切るようにします。多めに作って使いまわすということは、雑菌が繁殖する危険が高まるためやめましょう。
また、家庭でも用意できる生理食塩水ですが、慣れないうちは市販の鼻洗浄器具と洗浄液のもとを使って行うとスムーズに鼻うがいを行うことができるのでおすすめです。
鼻うがいの手順
鼻うがいは以下のようにして行います。鼻の中に生理食塩水を流し込むので、専用の鼻洗浄器具か、ノズルのついたボトルを使うのがおすすめです。
顔を下に向けて鼻洗浄器具に鼻を差し込む
ゆっくり生理食塩水を鼻に流し込む
生理食塩水を入れた鼻の穴と反対の鼻の穴から生理食塩水を出す
生理食塩水を流しいれるときには、斜め下を向くような感じで顔を横に向けると流し込みやすくなります。
気を付けるべきこと
鼻うがいは手軽に洗い流すことができるので、セルフケアとして必ず行ったほうが良い方法ですが、注意点もいくつかあります。
以下のことに気を付けて鼻うがいを行いましょう。
上を向かない
生理食塩水を流しいれているときにつばを飲み込まない
洗浄後に強く鼻をかまない
何度も行わない
生理食塩水は、耳に入り込むと中耳炎になってしまう可能性があります。上を向いたり、つばを飲み込んでしまうと生理食塩水が耳に移動してしまうので、注意しましょう。
洗浄したあと強く鼻をかんでしまうことにも注意が必要です。強く鼻をかむことでも耳に洗浄液が流れてしまう可能性があるため、優しくふき取り軽く鼻をかむ程度にしましょう。
また、1日に何度も鼻うがいをすると鼻の粘膜を傷つけてしまう恐れがあるため、朝と夜の2回程度にして効果的に行うようにしましょう。
まとめ
上咽頭炎の原因や症状、ケアに最適な鼻うがいのやり方や注意点についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
さまざまな不調を引き起こす上咽頭炎は、放っておきたくない病気の1つと言えます。現在肩こりや頭痛などの症状を慢性的に感じている方は、上咽頭炎を疑った方が良いかもしれません。
アレルゲンやウイルス除去にも役立つ鼻うがいは、日々の生活に取り入れたい内容です。注意点をよく理解して行うことで、安全に、簡単に鼻うがいを行うことができます。
上咽頭炎の痛みや原因不明の体の不調に悩んでいる方は、是非鼻うがいを取り入れて健康な身体を維持しましょう。
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