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【パリの日々】十五夜

中秋の名月にあたった昨日土曜、パリは朝から曇り空、肌寒く雨が降ったり止んだりを繰り返していた。一足早く夜を迎えた日本から、満月の写真が届いたが「こちらでは見られないかもしれないな」と思っていた。

夕方、時折雨に降られながら散歩をして、いつもの土曜のように休日の赤ワインを堪能、時間は心地よく流れた。日の長い夏はとうに過ぎ去って、今は日没が20時過ぎになっている。

21時半頃、窓の外に目をやると大きな黄金の満月が強い光を放っていた。空も雲ももう灰色でなく、アパルトマンの部屋から漏れる電気の光よりもずっと強力な月のために、明るくなっていた。

写真を撮ったのは、どちらかと言えば誰かに伝えるためで、私自身は全力で輝く満月より、細い光を放つ三日月と暗く澄んだ空の方に惹かれる。迫力のある巨大なものから受ける一瞬の衝撃より、薄く慎ましく暗がりに佇む存在が少しずつ自分に沁みる、その感覚の方を好むと言ってもいい。

ともあれ、今年の十五夜をパリで迎えることができた。



フルムーンと言えば。
夫は、「満月の夜は眠れない」という迷信を持っている。日本では聞いたことがなかったが、夫に限らず職場の同僚も同じ話をしており、フランスには一定数この説を信じている人がいるようなのだ。

気になり日本語で検索をかけてみたら。
まさしく、「フランス人は『満月の夜は眠れない』と言う」といったネット記事が複数見つかった。検索ワードに「フランス」を含めていなかったにもかかわらず。

その一つによるとこれは単なる迷信ではなく、スイスの大学の生体リズムの研究チームが満月の夜の人間の脳波を調べ、実際に睡眠が浅くなっていることを発表してもいるそう。

……果たして信憑性はいかに。


ちなみに、昨夜私は非常によく眠れたし、夫も同様だったとのこと。
気にせず寝るが吉、ではないかな。

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