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大学生の時に住んでいた部屋
6畳ワンルーム、家賃3万円ほど。
冷蔵庫エアコン洗濯機付き。
学生アパートなので、隣もその隣も同じ大学のひとが住んでいた。
ユニットバス、非独立洗面台。
洗面台の裏はカビとサビでカビカビのサビサビで、覗きこんだ時ほんとにゾッとした。
換気扇だけで浴室乾燥なんてないからすぐにカビが生えてうんざりした。カビキラーやハイターで殺してもすぐ芽を出してくるからキリがない。
キッチンはIHのコンロが一口。
極狭のため食材を切るスペースはない。
シンクの角に上手にまな板を乗せて野菜を切っていた。
ベランダはあったけど、洗濯物にはカメムシほか訳の分からない虫が付いてくるので外にはあまり干さなかった。
一番近い駅までは歩くと30分以上はかかる。
その電車というのも、廃線しかけで有名な路線なので、都心までの移動手段は高速バスが最も便利。
電車、線路が1本しかないことに驚いた。
バスなど乗ったこともなかったので乗り方がわからなかった。
そこそこの都会で生きてきたためカルチャーショックの連続。
スーパーやコンビニは近くにあるが、学校までは坂道がきつい。
慌てて免許をとって原付で移動するのが基本だった。
冬は厳寒、芯まで冷える。暗くて寂しくて死にたくなる。夏はそれほど涼しくはない。
狭くて可愛いパリのアパルトマンなんかに憧れを抱きながら、4年間。
あの部屋の好きなところなんてひとつもなかった。
一回生の頃から4年間続けたバイト先のお店は家族経営で、
孫のように可愛がってくれて、第二の故郷だと思えるくらい、あれほど愛おしい居場所はなかった。
お客さんもおなじみの常連さんばかりでいつも温かった。
何度も虫と戦って、夜を更かして、寝坊して、
一人でご飯を食べて、時々誰かと過ごし、
遊びながらも必死に勉強したあの小さい6畳の部屋には今は誰か別の人が住んでいるだろうか。
あ、今年も、居酒屋の家族に年賀状を出さないとなあ。
家賃2倍以上の7畳で今ふとひとり思った。
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