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私が重度の鬱病と幸せにお付き合いする話。

正直、鬱病になった自覚はなかった。

仕事はそれなりに出来ていたし、同僚からの評価も割と高かったと思う。
子供はいなかったけどパートナーはいて、家の中でも明るく過ごしていた。

鬱病と診断されたのは12年も前で、かれこれ同じ期間、ずっと心療内科に通っていることになる。
繰り返しになるが、鬱病になった自覚はなかった。
なんなら、今も鬱病である自覚はない(ここ重要)。

バラエティ番組を見れば大笑いもするし、
感動する映画を見れば泣きはしないまでも友達に「あの映画は泣けた」と軽く嘘の評論もする。
小説も読む。もっぱらミステリーを読むから必ず人が最低一人死ぬ話を好んで読んでいることになる。
鬱病である自覚は薄い。

【鬱病を疑ったきっかけ】

ある日、部下に、取引先との会議を設定するよう指示をした。
部下のYさん(美人で人妻。)が少し驚いて返事をした。

「そのミーティング、Negさんが自分で企画して、先週終わっていますよ?」

データを見ると、確かに私が議事録を作っている。
先週、取引先と行ったミーティングが、本当に、全く頭の片隅にもない。
私は考えた。
会議のデータは残っている。ということは、間違いなく会議はやったのだろう。
いやまて、このデータの作成者は私だ。部下にアクセス権限はない。
ということは、私が会議をやったということをデータで改竄しただけで、本当はまだ会議は行なっていないのではないか。
よし、取引先に電話してみよう。

取引先「先週の会議は良かったですねー!とこで今日は何の用d」

やってるわー。これ私会議やってるわー。それ忘れてるわー。

今思えば、これがきっかけだった。
どうも、「短期記憶」に障害が生じているらしい(詳細は不明。)。
部下のYさん(人妻で美人。)に謝ってみた。

Yさん「あの・・・言いにくいんですけど・・・Negさん、他にも同じようなこと(つい最近の出来事を忘れていること)がいっぱいあるんですよ。大丈夫ですか?」

どうやらそのときの私は仕事バリバリホモサピエンスだと思っていたのだが、周囲は何やら私に起きている異変に気づいていたようで、

上司「すぐ、心療内科に行くことを命じる。心療内科に行くまで出勤をするな。」
私「あい。」

ということになった。

【初めての心療内科】

先生こんにちは。初めまして。よろしくお願いします。

N先生(クールビューティー美人)「はい、Negさんね、まず最近のあなたの生活について聞かせてね。どんな感じ。」

普通です。これこれこんな感じで、あれそれそんな感じです。

N先生「さいきん、どれぐらい眠れている?」

あんま眠れていないですね。

N先生「昨日は?」

寝れてないです。

N先生「一昨日は?」

1時間・・・くらい?

N先生「はいNegさん、ちょっとこれから質問始めるから5段階評価で直感的に答えてねー(目だけ笑ってない。)」

検査の正確な結果は覚えていないのですが、結論からすると、「重度の鬱病であり、1か月以上の休職が必要である。」とのことでした。
私は号泣し、N先生(クールビューティー美人)に、「頼みます、仕事だけはさせてください。」と診察室でお願いしたのは覚えています。

【クールビューティーN先生】

これがだいたい12年前の話です。
この初診後、通院を始めることになりますが、正直、通院開始後3〜4年ぐらいの記憶は、今、すっぽり抜け落ちています。
聞くところによると、これはどうやら人間の防衛本能によるところらしく、あまりに辛い体験だったため、記憶を消去したのかもしれません。

当時あった症状を箇条書きすると、
・圧倒的な睡眠障害(眠剤がないと全く眠れない)
・ベッドから起き上がることができない情緒
・短期記憶障害
とかがありました。

このほか、年数が経つにつれ、他の障害を併発するなど様々なことがありましたが、今、私は、あれから12年生き続けています。

N先生(クールビューティー美人)は面白くて、そんな私に同情するそぶりは一切なく、私との会話を楽しみ、最終的には「知らないわよ、なんとかなるわよ人生なんて」と言い放つ超スーパー精神科医でした。
私は、そんなN先生とたまたまバッチリ噛み合ったのだと思います。
下手に同情されていたら、今、私はきっと違う形で生きていると思います。

【この話】

私の話は、重度の鬱病になったけど元気に生きられた話。
周りのサポートを受けて元気になろうとした話。
ときには自分の力だけで元気になろうとした話。
幸せとは何かを真剣に考えた話。
誰の目にも止まらなくたっていい。ただ、私が書いておきたい話。

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