My favorite sentences

クリエイターでも何でもありませんが、今まで惹かれてきた素敵な言葉を集めて、記録しようか…

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クリエイターでも何でもありませんが、今まで惹かれてきた素敵な言葉を集めて、記録しようかと思いました。

最近の記事

ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟」

『たとえ幾千人幾万人のものが、天上のパンのためにお前の後からついて行くとしても、天上のパンのために地上のパンを蔑視することの出来ない幾百幾千万の人間は、一体どうなるというのだ? それともお前の大事なのは、偉大で豪邁な幾万かの人間ばかりで、そのほかの弱い、けれどもお前を愛している幾百万かの人間、いや、浜の真砂のように数知れぬ人間は、偉大で豪邁な人間の材料とならねばならぬというのか?いやいや、我々にとっては弱い人間も大切なのだ。彼らは放蕩者で暴徒ではあるけれど、しまいにはこういう

    • 寺山修司 『新・病草紙』

      眼球のうらがへる病 「ある女、まなこ裏がへりて、外のこと見えずになりたり。瞠らむとすればするほどにおのが内のみ見え、胃や腸もあらはなる内臓の暗闇、あほう鳥の啼くこゑのみきこゆ。 女、かなしめども癒えず、剃刀もて眼球をゑぐり出し、もとのやうに表がへせむとすれど、眼球に表なし。耐へがたきまゝ、表なしの眼球を畑に埋めたり。 女、四十にして盲目のまゝはてしが、畑には花咲かず。 たゞ、隣人たちのみ、女を世間知らずとして遇せしと伝ふ。 鶏頭の首なしの茎流したる川こそ渡れわが地獄変

      • 呉智英 「現代人の論語」

        『第五十講 生身の理想主義者 或るひと曰く、徳を以て怨みに報いば何如。 子曰く、何を以てか徳に報いん。 直を以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ。 (憲問篇14-36) 或日、以徳報怨、何如、子曰、何以報徳、以直報怨、以徳報徳。 ある人が孔子に質問した。徳を以って怨みに報いるというのは、どうでしょうか。老子以前にもこの言葉は諺のように使われていたのだろう。質問者には、自分の寛容さを誇りたい気持ちもあったかもしれない。しかし、孔子は言った。それならば、徳に対しては何を以って報

        • 白川静 「漢字」

          『” はじめにことばがあった。ことばは神とともにあり、ことばは神であった” と、ヨハネ福音書にはしるされている。 たしかに、はじめにことばがあり、ことばは神であった。しかしことばが神であったのは、人がことばによって神を発見し、神を作り出したからである。 ことばが、その数十万年に及ぶ生活を通じて生み出した最も大きな遺産は、神話であった。 神話の時代には、神話が現実の根拠であり、現実の秩序を支える原理であった。 人々は、神話の中に語られている原理に従って生活した。そこでは、すべ

        ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟」

          オスカーワイルド 「幸福の王子」

          原作:オスカー・ワイルド  翻訳:結城浩 「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「もう一晩泊まってくれませんか」 「私はエジプトに行きたいと思っています」とツバメは答えました。「明日僕の友達は川を上り、二番目の滝へ飛んでいくでしょう。そこではパピルスのしげみの間でカバが休んでいます。そして巨大な御影石の玉座にはメムノン神が座っているんです。メムノン神は、星を一晩中見つめ続け、明けの明星が輝くと喜びの声を一声あげ、そしてまた沈黙に戻ると言われていま

          オスカーワイルド 「幸福の王子」

          ZELDA 「DEAR NATURAL」

          『 DEAR おてんとう様よ 私の麦ワラ帽 青い光に てらされた お月様はよそいき帽 火を受け 水に潜り 風にそよぎ 地を歩く とても大きな 地球に 愛をすいこむ 深呼吸 風のドレスに身をつつみ 砂のくつで駆けよう 星のルビー 身をかざり 花の匂いふりかける 火を受け 水に潜り 風にそよぎ 地を歩く とても 大きな地球に 愛をすいこむ•••• お誕生日にはスミレ色の 夜明けの雲 いっぱい摘んで 空の花束プレゼントしよう みんな集めて 黄金のフトウでパーティーしよう

          ZELDA 「DEAR NATURAL」

          中島みゆき 「歌をあなたに」

          『 何ンにも 言わないで この手を握ってよ 声にならない歌声が 伝わってゆくでしょう どんなに悲しくて 涙 流れる日も この手の中の 歌声を 受け取ってほしいのよ それが私の心 それが私の涙 なにも できない替わり 今、贈る 歌おう 謳おう 心の限り 愛をこめて あなたのために そうよ 目を閉じないで 明日を探すのよ 誰も助けはしないから あなたが探すのよ あんまり淋しくて 死にたくなるような日は この手の中の歌声を 受け取って歩くのよ いつか夢みたような いつか忘れたよう

          中島みゆき 「歌をあなたに」

          谷川俊太郎 「二十億光年の孤独」

          『 ~僕と神様~ 幸福な少年は 夢に不幸を知って 幸福を祈り 不幸な少年は 夢に幸福を知って 幸福を祈った 大きな夜が 二つの祈りを包み 明るい朝が それをやんわりとかしてしまった 何世紀かたって 神様は二つの祈りを本にされ 僕にくださった 怠け者の僕は それをまだ読めないでいる』 これを初めて読んだ時、思わず本の表紙を見返しました。 これは人の作り出した言葉なのかと。 でもちゃんと谷川俊太郎という名前が書かれていました。 どこからこのような言葉がやって来られるの

          谷川俊太郎 「二十億光年の孤独」

          高橋源一郎 「さようなら、ギャングたち」

          『私たちは、ギャングであることを自由に選択しました。その選択は義務でも強制でもありませんでした。もし再び、私たちに選択の機会が与えられれば、私たちは喜んでギャングであることを選ぶでしょう。 私たちは、ギャングであることを特権であると見なしたり、また逆にギャングであることに卑屈になったりもしませんでした。 私たちは、ギャングであることは相対的なものだと考えました。 私たちは、私たちの存在しているこの世界との関係の中でのみギャングであり、この世界との関係の変化だけが私たちをギャン

          高橋源一郎 「さようなら、ギャングたち」

          鴻上尚史 「トランス」

          『 私の愛する人は精神を病んでいます。 ですが、 私は、とても幸福です。 あなたが私を必要とする限り 私は変わり続けられるのです。 私があなたを愛する限り あなたは私の大切な人なのです。 あなたがなにに傷つき あなたでなくなったのか あなたの哀しみの深さを私は知りません。 ですが、 あなたが私を必要としていることだけは、 私は分かります。 あなたがどんな妄想に生きようと 私を必要としていることだけは、 分かるのです。 そしてそれは、 どんな妄想より大切な真実なのです。 そして

          鴻上尚史 「トランス」

          プレヴェール 「夜のパリ」

          『 三本のマッチ 一つ一つ擦る 夜のなか はじめのはきみの顔をいちどきに見るため つぎのは目をみるため 最後のはきみのくちびるを見るため 残りのくらやみは今のすべてを想い出すため きみを抱きしめながら 』 谷川俊太郎さんの「世界へ」と言う詩人論の中で引用されていました。 とてもドラマティックですね。 たった数行の言葉なのにまるで映画の様です。 いちどきにと言う言葉がまた良いです。 小笠原豊樹訳 原文 Trois allumettes, une à une allumée

          プレヴェール 「夜のパリ」

          村上春樹 「風の歌を聴け」

          『今、僕は語ろうと思う。もちろん問題は何ひとつ解決してはいないし、語り終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。 結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。 しかし、正直に語ることはひどくむずかしい。 僕が正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんでいく。 弁解するつもりはない。少なくともここに語られていることは現在の僕におけるベストだ。つけ加えることは何もない。それでも

          村上春樹 「風の歌を聴け」