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【ショート集】草原と枕

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ショート小説集第一編
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#空気が読めない

【ショート小説】ココロポツリ

【ショート小説】ココロポツリ

いつだか読んだ本に、他人の心の声が聞こえる主人公の物語があった事を今も鮮明に覚えている。
“さとり”と呼ばれるその能力のせいで、さまざまな挫折を味わいながら苦悩する主人公。それでも、理解者との出会いで、まるで奇跡のような困難を乗り越えていく、ヒューマンストーリー。僕はそれが羨ましくてたまらなかった。そう、僕は”さとれず”。
僕がこの能力にはっきりと気づいたのは、中学二年の頃。当時の僕は来年の受験を

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