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死人と銀河の哲学

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オリジナルマスクに纏わるストーリーを届ける短編集
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#SF

【ショート小説】素数0号

【ショート小説】素数0号

CQCQと打ち込んだ画面を落として部屋に一つだけある窓から外を見た。鼠色の雲からは、はらはらと黒く濁った汚い雪が舞い始めている。眼前にはかつて栄華を誇ったであろう真っ赤な鉄骨の塊が全身に苔の緑を生やしながら食い散らかされた死肉の様に物を言わずに横たわっていた。

僕はキッチンに行くと夏の間に備蓄した水を取り出して、近場で取れた樹液を入れてかき混ぜる。暖炉の火で温めてレモンを一欠片その中にいれると、

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