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【ショート集】コタンの雌ぎつね

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ショート小説集第二篇
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【ショート小説】宿命さえ運命さえも、どうぞ輝かせて

【ショート小説】宿命さえ運命さえも、どうぞ輝かせて

僅かに冷え込んできた空気を喉に入れ、微かな張りを感じると、意識は鮮明に色を付けていく。顔を上げて、いつもの景色を見ると顔面に張り付いた風が優しく髪をかきあげて、冷気を残したまま何処かへ消えていった。5年は乗っているアレックスモールトンの小振りなペダルに力を入れて、出来る限りの最速を保ったまま、僕は幼い頃から通い慣れた道を走っていた。田んぼの間を縫って広がる道路から、細い砂利道に入っていくと、再び突

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