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無職放浪記〜トルコ編〜

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無職放浪記・第2章 【期間】2022年8月1日〜28日 【ルート】イスタンブール→アンカラ→カッパドキア→エイルディル
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2022年9月の記事一覧

旅の偶然【無職放浪記・トルコ編(18)】

旅の偶然【無職放浪記・トルコ編(18)】

 旅にはどうしても“偶然”というものがついて回る。

 良い偶然があれば悪い偶然もあり、たまたま迷い込んだ道の先で絶景を見つけることもあれば、つまづいた先に牛の糞が待っていたなんてこともある。

 しかし面白いことに、悪いと思っていた偶然が巡り巡って良い偶然に繋がるという結果にもなる。例えばつまづいて足についた牛の糞を洗い流そうと近くの民家で水をもらったら、そこの住民と仲良くなった……なんて展開も

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リゾート地で寝込んでいた話(後編)【無職放浪記・トルコ編(17)】

リゾート地で寝込んでいた話(後編)【無職放浪記・トルコ編(17)】

前編はこちら↓

 翌朝。

 前日の就寝時間が早かったためか、午前6時に目を覚ました。
 起きたら嘘のように体が軽くなっていた……なんてことがあったらいいなと期待していたのだが、しっかりと熱っぽさと倦怠感は残っている。

 ——今日が勝負の日だな。

 体調を崩した状態が長引くのかどうか、この日にどれだけ回復ができるかにかかっていると私は直感した。リゾート地にいるのに部屋に引きこもるのはもったい

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リゾート地で寝込んでいた話(前編)【無職放浪記・トルコ編(16)】

リゾート地で寝込んでいた話(前編)【無職放浪記・トルコ編(16)】

 自分に備わった“力”は何かと問われたら、私は多分「回復力」だと答えるだろう。

 身体的な意味で言えば、昔から傷の治りも病気からの回復も早い方だった。メンタル的な意味でも、何か大きな失敗をして落ち込んでも次の日にはけろっと立ち直ってしまうのだ。
 この回復力を活かし、「失敗して傷つく→回復する→適応する」のスパンを高速で回すことで、割とどのような環境に放り込まれても順応できるのが私の強みと言えば

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ザリガニを食す【無職放浪記・トルコ編(15)】

ザリガニを食す【無職放浪記・トルコ編(15)】

 中国ではザリガニが人気食材で、ここ10年で消費が激増しているという。
 日本では馴染みのない食材だが、食べたことのある人が言うには「味はエビとカニの中間」で「思っていたよりおいしい」とか。

 エビとカニのいいとこ取りとは、どのような味なのだろうか。いつか機会があれば食べてみたいなと思っていたのだが、まさかトルコで実現するとは予想もしていなかった。

      *  *  *

 私はトルコ中

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エイルディル湖を望む【無職放浪記・トルコ編(14)】

エイルディル湖を望む【無職放浪記・トルコ編(14)】

 カッパドキアの街ギョレメに滞在している間、私は周辺の奇岩スポットに歩いて出かけていってはヘトヘトになって戻ってくるというのを繰り返していた。
 ラブバレーとローズバレーに行き、妖精が住んでいたという可愛らしい言い伝えが残る『妖精の煙突』という場所も訪れた。はっきりと測ったわけではないが、ここ数日は1日20キロは歩いていたと思う。

 そんな日々を過ごしていたからだろうか。ある朝目覚めると、体が異

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カッパドキアの風景と私の心の天邪鬼【無職放浪記・トルコ編(13)】

カッパドキアの風景と私の心の天邪鬼【無職放浪記・トルコ編(13)】

 カッパドキアと言えば奇岩地帯に気球が浮かぶ風景を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
 写真でよく見かけるあの景色を見るためには、少し早起きをしなければならない。熱気球が空に浮かぶのは夜明け前から日の出の時間帯なのだ。

 私はその日、スマホのアラームに起こされて午前4時半に目を覚ました。ドミトリーの同じ部屋に眠る人たちには、前日の夜に早起きをする旨を伝えてあったが、なるべく物音を立てないよ

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峡谷からの脱出【無職放浪記・トルコ編(12)】

峡谷からの脱出【無職放浪記・トルコ編(12)】

 カッパドキア観光の拠点の街であるギョレメには、旅行会社が星の数ほど存在する。
 中には観光客を引き込もうと、「○」の中に「i」の文字が入ったインフォメーションセンターのマークを看板に掲げている店もあり、少々たちが悪い。
 それぐらい競走過多なのである。

 旅行会社で体験できるアクティビティは様々だ。
 カッパドキアの定番である熱気球飛行のほか、荒野を走るバギーカーや乗馬も人気だ。また、ギョレメ

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カッパドキアの安宿探し【無職放浪記・トルコ編(11)】

カッパドキアの安宿探し【無職放浪記・トルコ編(11)】

 トルコの首都アンカラに3日間滞在した私は、次にカッパドキアを目指すことにした。
 カッパドキアはイスタンブールに並ぶトルコの有名観光地だ。奇岩地帯に気球が浮かぶ光景は、ガイドブックや旅行番組で何度も目にしてきた。

 居心地のいい街でゆっくり時間を過ごすことができたからか、体に活力が溢れている。ホテルを出た私はUlus駅からメトロを乗り継ぎ、再びアンカラのバスターミナルに戻ってきた。

 バスタ

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アンカラで過ごす素晴らしい1日【無職放浪記・トルコ編(10)】

アンカラで過ごす素晴らしい1日【無職放浪記・トルコ編(10)】

 朝、礼拝への参加を呼びかける放送が流れるのを聞いて目を覚ました。

 カーテンを開けると、窓から4本の立派な尖塔が立つモスクが見える。周囲に高い建物がないためか、一際存在感を放っていた。
 トルコの首都アンカラでの初めての目覚めは、非常に爽快なものだった。

 ——今日はいい日になりそうだ。

 気を良くした私は窓際で大きく伸びをしながら、上機嫌にそんなことを思った。

 ホテルの朝食を食べ終え

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