連載小説『ネアンデルタールの朝』⑦(第一部第2章‐1)
第2章
1、
民喜は駅前広場から車を出発させた。遮断機が失われた踏切を通り抜け、ロウソク岩が見えるあの浜へと向かう。
漁港があった辺りは現在すべて更地になっており、その更地の上を無数のフレコンバックが積み上げられている。傷口から生じた膿のように、汚染土の袋の山は海岸部の至るところに点在していた。
フレコンバックの山の脇を通り過ぎる。すぐ近くをクレーン車が運転している。通路はもちろん舗装はされておらず、でこぼこの表面に合わせて車体が大きく揺れる。
大量のフレコンバックを見つめ